チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!
第29話(魔法実践・・・やっぱりトラブル)
初級魔術概論の講義の時間になると紫色のゆったりとしたローブを着て、眼鏡をかけた女性が入ってくる。30歳くらいで長い薄い水色の髪を頭の後ろでまとめていて、少し垂れた目をしていて瞳の色は青だった。
「統合学科の生徒さん。はじめましてぇ・・・私は、初級魔術を教える講師のケーニスっていいますぅ」
妙に甘ったるい語尾の喋り方をするのが特徴で、すごく蠱惑的な感じがする。
いざ講義が始まると、この世界における魔法が現れた経緯や発達した成り立ちの説明があり、その後に魔法のざっくりとした仕組みが説明される。
説明を聞いていると、都度眼鏡さんが大騒ぎするので、僕は接続を弱めざるを得なかった。
午前中の授業が終わると、翠とオスローで食堂に向かう。午後は初級魔法実践があるので、他の人の魔法が見れるので、とても楽しみだ。
「俺は魔術適性が低いから魔術実践はちょっと不安なんだよなー」
オスローが手を頭の後ろで組みながらボヤく。
「オスローのスタイルだと肉体強化とかが有効だよね」
「そうなんだよな。射撃系の魔法はどうも好きじゃない」
「ちなみに翠は魔法が使える?」
「魔法?全然、問題ないのだー!」
不安なオスローと自信満々の翠がとても対象的だった。
食事を終えて時間になると、僕たちは練習装備に着替えて、訓練場に向かう。
僕らが訓練場に入ると、先程魔法の講師をしていたケーニス先生が既に待機していた。
「それでわぁ、午前中に教えた事を実践してみましょう。あそこの的に向かってぇ炎弾の魔法を使ってみましょう」
僕たちが揃うのを確認すると、ケーニス先生から指示が出る。
まずエストリアさんが先生の教えたとおりの詠唱をする。
「炎よ灯れ」
「炎よ焼き尽くしなさい!炎弾!!」
最初の一節でエストリアさんの指の先に激しく燃える炎が灯り、二節目を唱えて炎を投げるように腕を振ると、指先の炎が礫となって標的に飛んでいく。
しかし、わずかに脇にそれて数m先の地面に着弾してしまった。
「さすがエストリアさん。一発で炎を呼び出せるなんて優秀ですぅ。魔法を使うには明確なイメージ力が大切なんですが、射撃魔法は投擲の技術がないと上手く当たらないので、皆さんは武術の投擲の技術を身に付けてくださいねぇ」
外れはしたものの、スムーズに炎を作り出したことにケーニス先生が称賛し、投擲技術の大事さを教えてくれる。
『ありえない!ありえない!!ありえない!!!何で2節に分ける必要があるんだ?!しかも目の前に的があって、的として認識しているのに何で投げるんだ?!事象制御の基礎中の基礎ができていないではないか!!』
僕は感心したのだが、僕の中の眼鏡さんが錯乱しながら否定しまくる。
「次は俺か。炎よ灯れ」
次にオスローが詠唱するが、炎は一瞬指先に灯っただけで消えてしまう。
「炎よ灯れ……炎よ灯れ……炎よ灯れ……」
何度か試すがうまくいかないようだった。
「オスロー君はイメージ力が足りていないみたいですぅ。他の人のをよく見たり、実際の炎をよく見てイメージ力を強化してくださいねぇ」
続いてイーリスさんもやってみるが、魔術が苦手らしく、オスローと同じように一瞬しか発動しなかった。
キーナさんは逆に魔術適性が高いらしく、すごく安定した炎が灯っていたが、投擲が致命的にダメで、全く標的に向かわず明後日の方角に飛んで行ってしまった。
ウォルトさんはエストリアさんのように問題なく炎を灯し、難なく標的に当てた。ただ淡々と寡黙に当たり前のように実行していた。
「ふっ。次は私の番か。私の華麗なる魔法を披露して差し上げよう!みな、私の才能に慄いてしまうがよい」
カイゼルさんが、いつものように前髪をかき上げて魔法を唱え始める。
「高貴なる炎よ!」
その一節で大きな青白い炎が灯る。
≪ほぅ、青い炎とは、あの者なかなか見どころがあるのぅ≫
龍爺さんが感心した声を上げる。青白い炎って何が違くて凄いんだろう?
『炎とは温度によって色が変わります。青い炎は赤い炎の10倍以上の熱量を持っているのです。しかし見たところ、熱量はそんなに変わってなさそうなので、色を変えてるだけですね』
僕がそんなふうに疑問に思うと、眼鏡さんが答えてくれる。
「高貴なる炎よ!かの敵を打て、炎弾!!」
第二節と共に腕を突き出すと、青い炎の礫が標的に命中して爆音をあげる。
「ふっ、どうだい?私を称えても良いのだよ」
そうカイゼルさんは得意気に髪をかきあげるポーズをしながらアピールする。確かに命中したし威力も他の人より高かったから凄いと思う。
カイゼルさんの魔法は講師の説明した魔法式ではなく、眼鏡さんに教えてもらった魔法式に近いみたいで、投擲しておらず魔法が自分の意志があるかのごとく標的へと向かっていっていた。
「な、なんですか!その魔法は?!」
教えていない魔法、しかも自動命中する魔法にケーニス先生が慌てる。
「我がローランド家の秘術になります」
「そ、そう……」
カイゼルさんが笑みを浮かべながら説明する言葉を失ってしまった。
これでまだ実践していないのは、僕と翠だけになる。
「次は翠がやるのだ!」
そう翠が元気よく言うと、無造作に右手を突き出す。
「燃えちゃえ!」
翠が右手に魔力を込めると、とんでもない量の魔力が右手に集約され、炎が掌から渦を巻くように噴き出し、その螺旋状の炎は標的を焼き尽くしながら、訓練場の壁に激突する。
ビキビキビキッ!!!
嫌な予感がする異音が響いて、まるで訓練場の防御結界が悲鳴をあげているかように思える。普段は可視できないドーム状の結界が光り、翠の魔法に耐え続けているかのように明滅を繰り返す。
結界が破壊されるかと思ったが、先に翠の魔法が終了し、何とか訓練場の結界は壊れずに済んだようだ。
僕は翠がやり過ぎなかった事にホッと胸を撫で下ろす。
翠の魔法にケーニス先生はパニックを起こし呆けてしまう。そして意識が飛んでいるような表情で、僕に実践するようにと指示をしてくる。
「じゃぁ、炎よ灯」
『ダメです!!』
僕は教えられた通りに魔法を唱えようとすると、頭の中で眼鏡さんが大声を上げる。僕はびっくりして詠唱を止めてしまう。
『あんなに人を侮辱した魔法はありません。私が本当の魔法というものを見せてあげますので、君はキチンと言うとおり実践して下さい』
眼鏡さんが激怒しながら言ってくいる。僕はその迫力に逆らいきれず言う通りにしてしまう。
まず僕は人差し指と親指だけを立てて他の指を握り込むと、人差し指の先を標的に向け、指の先から礫が標的を撃ち抜くのをイメージする。
「炎よ!かの敵を撃ち貫け!!」
眼鏡さんの指示通り魔法を唱える。
右腕に集約された魔力が1cmくらいの流線型の形に集束しながら時計回りに強烈に回転する。
「炎弾!!」
そして射出のキーワードを発する!
キーワードにより魔法が起動し、集束した魔力が猛烈な回転を伴いながら凄まじい勢いで腕を通して人差し指から射出され、その反動で僕の腕が後方に弾かれる。
キュンッ!
音速を超えた速度で打ち出された弾は標的を容易に貫通すると、キンッ!という甲高い音と共に防御結界を貫通/破壊し、訓練場の壁を突き破り周辺の林をも吹き飛ばし薙ぎ払う。
『これこそが初級火炎魔法を少々カスタマイズした炎弾の魔法です!!』
眼鏡さんが興奮ぎみに叫ぶ。
あー、うん。これはまたやっちゃったって事だよね。
この結界をまるでなかったの如く貫く貫通力……どんな硬い鎧でも、むしろ竜の鱗すら容易に貫通しちゃうような極悪魔法じゃないの?
しかも防御貫通にもかかわらず、この速度で射出されるって……回避も不可能だよね。
つまり撃たれたら終わりの必中必殺魔法だとおもうんだけど……これが初級火炎魔法?!
講師も仲間達も僕も皆唖然として言葉がでない。
何で初級魔法を撃つだけでこうなってしまうんだろうか?
「統合学科の生徒さん。はじめましてぇ・・・私は、初級魔術を教える講師のケーニスっていいますぅ」
妙に甘ったるい語尾の喋り方をするのが特徴で、すごく蠱惑的な感じがする。
いざ講義が始まると、この世界における魔法が現れた経緯や発達した成り立ちの説明があり、その後に魔法のざっくりとした仕組みが説明される。
説明を聞いていると、都度眼鏡さんが大騒ぎするので、僕は接続を弱めざるを得なかった。
午前中の授業が終わると、翠とオスローで食堂に向かう。午後は初級魔法実践があるので、他の人の魔法が見れるので、とても楽しみだ。
「俺は魔術適性が低いから魔術実践はちょっと不安なんだよなー」
オスローが手を頭の後ろで組みながらボヤく。
「オスローのスタイルだと肉体強化とかが有効だよね」
「そうなんだよな。射撃系の魔法はどうも好きじゃない」
「ちなみに翠は魔法が使える?」
「魔法?全然、問題ないのだー!」
不安なオスローと自信満々の翠がとても対象的だった。
食事を終えて時間になると、僕たちは練習装備に着替えて、訓練場に向かう。
僕らが訓練場に入ると、先程魔法の講師をしていたケーニス先生が既に待機していた。
「それでわぁ、午前中に教えた事を実践してみましょう。あそこの的に向かってぇ炎弾の魔法を使ってみましょう」
僕たちが揃うのを確認すると、ケーニス先生から指示が出る。
まずエストリアさんが先生の教えたとおりの詠唱をする。
「炎よ灯れ」
「炎よ焼き尽くしなさい!炎弾!!」
最初の一節でエストリアさんの指の先に激しく燃える炎が灯り、二節目を唱えて炎を投げるように腕を振ると、指先の炎が礫となって標的に飛んでいく。
しかし、わずかに脇にそれて数m先の地面に着弾してしまった。
「さすがエストリアさん。一発で炎を呼び出せるなんて優秀ですぅ。魔法を使うには明確なイメージ力が大切なんですが、射撃魔法は投擲の技術がないと上手く当たらないので、皆さんは武術の投擲の技術を身に付けてくださいねぇ」
外れはしたものの、スムーズに炎を作り出したことにケーニス先生が称賛し、投擲技術の大事さを教えてくれる。
『ありえない!ありえない!!ありえない!!!何で2節に分ける必要があるんだ?!しかも目の前に的があって、的として認識しているのに何で投げるんだ?!事象制御の基礎中の基礎ができていないではないか!!』
僕は感心したのだが、僕の中の眼鏡さんが錯乱しながら否定しまくる。
「次は俺か。炎よ灯れ」
次にオスローが詠唱するが、炎は一瞬指先に灯っただけで消えてしまう。
「炎よ灯れ……炎よ灯れ……炎よ灯れ……」
何度か試すがうまくいかないようだった。
「オスロー君はイメージ力が足りていないみたいですぅ。他の人のをよく見たり、実際の炎をよく見てイメージ力を強化してくださいねぇ」
続いてイーリスさんもやってみるが、魔術が苦手らしく、オスローと同じように一瞬しか発動しなかった。
キーナさんは逆に魔術適性が高いらしく、すごく安定した炎が灯っていたが、投擲が致命的にダメで、全く標的に向かわず明後日の方角に飛んで行ってしまった。
ウォルトさんはエストリアさんのように問題なく炎を灯し、難なく標的に当てた。ただ淡々と寡黙に当たり前のように実行していた。
「ふっ。次は私の番か。私の華麗なる魔法を披露して差し上げよう!みな、私の才能に慄いてしまうがよい」
カイゼルさんが、いつものように前髪をかき上げて魔法を唱え始める。
「高貴なる炎よ!」
その一節で大きな青白い炎が灯る。
≪ほぅ、青い炎とは、あの者なかなか見どころがあるのぅ≫
龍爺さんが感心した声を上げる。青白い炎って何が違くて凄いんだろう?
『炎とは温度によって色が変わります。青い炎は赤い炎の10倍以上の熱量を持っているのです。しかし見たところ、熱量はそんなに変わってなさそうなので、色を変えてるだけですね』
僕がそんなふうに疑問に思うと、眼鏡さんが答えてくれる。
「高貴なる炎よ!かの敵を打て、炎弾!!」
第二節と共に腕を突き出すと、青い炎の礫が標的に命中して爆音をあげる。
「ふっ、どうだい?私を称えても良いのだよ」
そうカイゼルさんは得意気に髪をかきあげるポーズをしながらアピールする。確かに命中したし威力も他の人より高かったから凄いと思う。
カイゼルさんの魔法は講師の説明した魔法式ではなく、眼鏡さんに教えてもらった魔法式に近いみたいで、投擲しておらず魔法が自分の意志があるかのごとく標的へと向かっていっていた。
「な、なんですか!その魔法は?!」
教えていない魔法、しかも自動命中する魔法にケーニス先生が慌てる。
「我がローランド家の秘術になります」
「そ、そう……」
カイゼルさんが笑みを浮かべながら説明する言葉を失ってしまった。
これでまだ実践していないのは、僕と翠だけになる。
「次は翠がやるのだ!」
そう翠が元気よく言うと、無造作に右手を突き出す。
「燃えちゃえ!」
翠が右手に魔力を込めると、とんでもない量の魔力が右手に集約され、炎が掌から渦を巻くように噴き出し、その螺旋状の炎は標的を焼き尽くしながら、訓練場の壁に激突する。
ビキビキビキッ!!!
嫌な予感がする異音が響いて、まるで訓練場の防御結界が悲鳴をあげているかように思える。普段は可視できないドーム状の結界が光り、翠の魔法に耐え続けているかのように明滅を繰り返す。
結界が破壊されるかと思ったが、先に翠の魔法が終了し、何とか訓練場の結界は壊れずに済んだようだ。
僕は翠がやり過ぎなかった事にホッと胸を撫で下ろす。
翠の魔法にケーニス先生はパニックを起こし呆けてしまう。そして意識が飛んでいるような表情で、僕に実践するようにと指示をしてくる。
「じゃぁ、炎よ灯」
『ダメです!!』
僕は教えられた通りに魔法を唱えようとすると、頭の中で眼鏡さんが大声を上げる。僕はびっくりして詠唱を止めてしまう。
『あんなに人を侮辱した魔法はありません。私が本当の魔法というものを見せてあげますので、君はキチンと言うとおり実践して下さい』
眼鏡さんが激怒しながら言ってくいる。僕はその迫力に逆らいきれず言う通りにしてしまう。
まず僕は人差し指と親指だけを立てて他の指を握り込むと、人差し指の先を標的に向け、指の先から礫が標的を撃ち抜くのをイメージする。
「炎よ!かの敵を撃ち貫け!!」
眼鏡さんの指示通り魔法を唱える。
右腕に集約された魔力が1cmくらいの流線型の形に集束しながら時計回りに強烈に回転する。
「炎弾!!」
そして射出のキーワードを発する!
キーワードにより魔法が起動し、集束した魔力が猛烈な回転を伴いながら凄まじい勢いで腕を通して人差し指から射出され、その反動で僕の腕が後方に弾かれる。
キュンッ!
音速を超えた速度で打ち出された弾は標的を容易に貫通すると、キンッ!という甲高い音と共に防御結界を貫通/破壊し、訓練場の壁を突き破り周辺の林をも吹き飛ばし薙ぎ払う。
『これこそが初級火炎魔法を少々カスタマイズした炎弾の魔法です!!』
眼鏡さんが興奮ぎみに叫ぶ。
あー、うん。これはまたやっちゃったって事だよね。
この結界をまるでなかったの如く貫く貫通力……どんな硬い鎧でも、むしろ竜の鱗すら容易に貫通しちゃうような極悪魔法じゃないの?
しかも防御貫通にもかかわらず、この速度で射出されるって……回避も不可能だよね。
つまり撃たれたら終わりの必中必殺魔法だとおもうんだけど……これが初級火炎魔法?!
講師も仲間達も僕も皆唖然として言葉がでない。
何で初級魔法を撃つだけでこうなってしまうんだろうか?
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
4
-
-
0
-
-
32
-
-
20
-
-
17
-
-
969
-
-
59
-
-
70810
-
-
15254
コメント