チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第27話(魔法を教えてもらうんだけど……全然わかりません)

 気が付くといつもの夢の中だった。どうやら会いたいとか相談したいと考えながら寝ると、ここに辿り着くみたいだ。

「久しぶりじゃの」
 コタツでミカンを食べていた龍爺さんが一番目に声をかけてくれる。

「元気か坊主?」
 長剣と小手を身に着けた筋肉さんが、浮遊している様々な武器の攻撃をいなしながら聞いてくる。

「何をしているんですか?」
「坊主が小剣と小手を武器に選んだみたいだからな。一通りの動きを再確認しているところだ」
 凄く切れ味の鋭そうな武器が踊るように同時に攻撃してきているのだが、僕と花しながら平気な顔で受け払っている。僕は凄いなぁと思いながら見とれてしまったが、今回の目的は眼鏡さんと龍爺さんなので、二人が座っているコタツに近付いていく。

「魔法の使い方を教えてもらえませんか?」
「君の世界の魔法を教えるというのなら、断らせて頂きます」
 僕がお願いすると眼鏡さんから即座に拒否の返答。

「……」
 まさか即答で拒否されると思わなかった僕は唖然としてしまう。

「いや今まで君を通して見てきたのですが、君の世界の魔法は口語魔法のようですね。口語魔法は分かりやすい反面、非常に無駄が多いのです。そういう無駄な魔法は私の美的センスが許せないのですよ。とはいえ、それでは君が困ると思うので、簡単な仕組みを教えておきますから、うまい事やってください」
 本当に嫌そうに眼鏡さんが言う。

「悪いのぅ。儂の世界の魔法の方が、お主の世界に近しい魔法なのだが儂は感覚で魔法を使ってきておるから、うまく説明できないのじゃ」
 龍爺さんが僕の期待に答えられない事を申し訳無さそう謝る。無理言っているのは僕なので、逆に僕のほうが申し訳なく思ってしまう。

「まず、君の世界の口語魔法を使ってみましょうか」
炎よFireBoltなりてConvertかの敵Targetを、打ち砕けAttack炎のFireBolt
 眼鏡さんがそう唱えると、炎の小さな礫が発生し、指さした方角に飛んでいく。

「これが君の世界の魔法です。無駄なConvert句や2度も使われるFire句とBolt句が我慢ならないのですよ。なので使うなら、算術魔法式です」

「Execute(FireBolt(1,t))」
 眼鏡さんがそう唱えると、さっきと同じように炎の小さな礫が指さした方角に飛んでいく。

「1は威力、tはターゲット。ターゲットは君が標的として認識しているものになります。両方とも認識していればよいので、わざわざ口に出す必要はありません。Executeも慣れていけば省略が可能で、君が魔力を集中して放出しようとする行為をExcute句として発動するように設定しておけば、全ての算術魔法式のExecute句が不要になります。簡単に言うと、慣れれば<ファイアボルト>だけで発動します。君の世界だとこのような魔法は、≪無詠唱≫という呼ばれ方をして奇異な目で見られるようなので 使用は控えめにしたほうが良いでしょう」

「これで口語魔法と算術魔法の違いが分かりましたか?」
 全然わからないんだけど……と僕は戸惑っているが、眼鏡さんは僕を置いてけぼりで話を進める。

「ちなみに私が考案した汎用算術魔法式はこうです。Execute(ElementBlast(f,b,1,t,1))」
 さっきと同じ炎の小さな礫が指さした方角に飛んでいく。

「1番目のパラメータを変えることにより属性が変化し、最後のパラメータを変えることにより本数が変化します。Execute(ElementBlast(i,b,1,t,1))、Execute(ElementBlast(s,b,1,t,2))、Execute(ElementBlast(w,b,1,t,3))」
 眼鏡さんが連続で唱えると、氷の礫が1つ、石の礫が2つ、風の礫が3つ飛んでいく。

「パラメータをそれぞれ、炎、槍、魔法威力10、ターゲット、5本とするとこうなります。
Execute(ElementBlast(f,l,10,t,5))」
 眼鏡さんが魔法式を発動させると、5本の巨大な炎の槍が轟音を上げながら指さした方向に飛んでいく。

「というように一つ仕組みを覚えれば、簡単に他属性にしたり、攻撃力を上げたりできます。どうです。算術魔法式は応用性が高く、とても素晴らしいでしょう?」
 眼鏡さんは眼鏡をクイッと持ち上げながら得意げに語るが、僕は全く全然わかっていない。

「おい眼鏡。坊主が全くついていけてないじゃねーか」
 見るに見かねた筋肉さんが突っ込みを入れる。

「こんなに丁寧にわかりやすく教えているのに分からないとは……」
 眼鏡さんが唖然とした顔をする。僕は非常に申し訳ない気で一杯で俯いてしまう。

「坊主大丈夫だ。俺もぜんぜんわからん。このクソ眼鏡の頭がおかしいんだ」
 筋肉さんがフォローになってないフォローをくれる。

「儂も眼鏡の言うことは、よくわからんのぅ」
 龍爺さんもボソっと言っているのを聞いて、僕だけがわからない訳ではない事にほっとする。

「あなた方も……揃いも揃って理解できないとは」
 肩をすくめながら眼鏡さんが言うが、多分眼鏡さんが異常なだけだと思う。

「仕方ないですね。魔法の練習の際にアドバイスしてあげますから、この間の算術魔法を使うように」
 そういえば、バタバタしてて忘れていたけど、魂魄と意思疎通する魔法を教えてもらっていたんだった。

「<パッシブ コミュニケーション ソウル>でしたっけ?」
「そうです。起きたら唱えておくようにして下さい」

 僕は不安で一杯になりながらも夢の世界を後にしたのだった。

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