チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!
第19話(出発、そして入学手続き)
バタンッ!!
「アルー!はやくいこー!!」
乱暴にドアを開くと、元気な声と騒々しい足音が部屋に入ってくる。
「おはよう翠。まだ日も昇ってないし、それに入学式は明日だよ」
僕は既に起きていて、部屋が広いのを良いことに日課の素振りをしながら答える。
「父様と母様が、前もって町に行って慣れておいた方が良いって言ってたのだー」
翠がそう言ってくる。なるほど、確かにどこに何があるか分からないと、当日に色々戸惑うかもしれない。特に翠は人族嫌いだったから、ここのところ町なんかにも行ってなかっただろうし、しかも前日移動するとなると人目が気になる昼間は避けた方がいいのもあるなと僕は考えを改めると、すぐ準備するから賢王様と竜妃様に出発を伝えておいてと翠に頼む。
「世間知らずのあの子をお願いします。少しばかりですが何か入用になった際はお使い下さい」
荷物を持って大広間に行った僕を賢王様と竜妃様が出迎えてくれて、竜妃様からは小袋を手渡される。賢王様からは、精緻な竜の細工が施された腕輪を僕と翠に手渡し、僕だけに聞こえるように耳打ちする。
「この腕輪はお互いの位置の把握と簡単な意思疎通ができる魔道具だが、もし翠が暴れだして言う事を聞かなくなったら、この腕輪の宝石を砕いてくれ。しばらくの間おとなしくなるはずだ」
僕に手渡された銀色の腕輪の竜の口の部分には翠の鱗と同じ色の宝石が埋まっており、翠に手渡された金色の腕輪の竜の口の部分には紅い宝石が埋まっている。
翠が待ちきれなく化身を解き、竜の姿に戻ると僕はその背にまたがって賢王様と竜妃様の送り出しの言葉を受けながら、開いた大広間の天井から勢い良く飛び出していく。
「楽しみだね。アル」
「うん。どんな事が僕らを待っているかと思うとワクワクするよ」
そう言いながら僕らは、地方都市アインツ目指して飛び立った。
夜明け前に城壁が見えるあたりの近くの草原に降り立つと、翠は化身して人の姿になり、そこから徒歩で移動する事になる。草原から街道に出ると日が昇り始め、朝日がさす中を城壁目指して進む。
夜明け直後に出発する馬車などすれ違いながらのんびり歩いていると、たまに気の良い御者さんが心配そうに声をかけてくれたりする。
13歳くらいの子供二人で朝早くに歩いていれば、何かあると勘ぐってもおかしくない。その時は「学園に入学しに来たんだけど、いてもたってもいられなくて宿を早く出ちゃいました」と言い訳になってないような言い訳でも、皆苦笑を浮かべながら「頑張れよ」と応援してくれる。
翠は人に話しかけられるたび、僕の後ろに隠れて様子を伺っているけど、何人かの御者さんが害を与えず接してくれているところを見て、少しは安心しているようだ。僕の上着を掴んだまま離さないけどね。
そうして日も昇り少し暖かくなってきた頃、僕らは南門の前にいて、生徒証を翠は合格証を見せて地方都市アインツに入った。翠の合格証とは晩餐の席で賢王様が生成した書類の一枚で、ちなみに他には入学推薦状なども生成していた。
町に入った僕は、まず翠の入学手続きをしたかったのだが、まだ時間が早いので、朝ごはんを取ろうと、父さんの知り合いがやっている冒険者の宿に向かった。
「いらっしゃいませっ!また来てくれた!」
冒険者の宿に入ると、僕に蛙の根付をくれた女の子が元気良く駆け寄ってきてくれる。
「おかーさん!アルお兄ちゃんがきたよ!!」
僕は女の子に手を引かれてカウンターに向かうと大きな声でお母さんを呼ぶ。
「あら、いらっしゃい。朝早いわね、宿泊?」
「1日だけお願いできませんか?明日の入学式以降は寮になると思います。あ、今回は2部屋でお願いします」
「えー、翠はアルと一緒がいいのだー」
女将さんに宿泊予定を伝えると翠が不満そうにと口を尖らせる。
「2部屋だと銀貨8枚だね。夕食と朝食をつけるなら銀貨10枚にまけとくよ」
「あ、これから朝食を別に頼もうと思っていたんですけど」
「何か商売のうまい子だね・・・なら銀貨11枚でどうだい?」
そんな僕ら女将さんが二人を我が子と見守るような優しい視線で見る。
相場で言うと、宿泊で一人銀貨4枚は普通。食事はピンきりだが一食銀貨1枚程度になるので、3回の食事と1泊が2組だから本当は銀貨14枚かかる所を11枚にしてくれたようだ。
「ありがとうございます。ではそれでお願いします」
僕はそう言うと自分の小袋から銀貨11枚を取り出して渡す。
「部屋は空いてた所が2部屋あるからそこに荷物を置いて食堂に下りておいで後で軽く掃除しておくからね」
女将さんから2階の続き部屋の鍵を受け取ると、僕達は2階の部屋に入り、翠の入学推薦状以外の荷物を置くと、1階の食堂に移動し食事をした。
翠は一人部屋を嫌がって僕の部屋に来ようとしてたけど……
食事が終わると10時の鐘の音が聞こえたので、僕らは学園に向かう。入学式が明日なので学校内は手続きや準備などで結構慌しく、受付事務の人はとても忙しそうで、後にしてくれといわんばかりの目で見られたが、学園長宛の翠の入学推薦状を提出し、手続きをお願いする。
受け取ったときは疑うような目で見ていて、事務長っぽい人にその書類をぞんざいに渡す。事務長っぽい人がその書類に目を通すと、顔色を変えて走って出て行ってしまった
「どっかいっちゃたのだ?」
翠が不安そうに僕を見るが、僕にも何がなんだか……と思っていると、事務長っぽい人が慌てた表情で戻ってきて、学園長室に案内してくれる。
「アルカード君、来てくれたのね。しかも統合学科へ志望してくれてありがとう。で、これなんだけど」
学園長室はこの間より書類の山が多くなっており、書類の山に埋もれながらエレン学園長が、翠の入学推薦状をヒラヒラさせながら歓迎してくれる。なにか問題があったのかと僕の背筋に冷や汗が流れる。
「本当にキミは無茶苦茶ですね。まさか賢王様のお子様を連れてくるなんて……この間の一件でもうこれ以上ない程の驚きを味わったのに、1ヶ月で早速記録更新よ。あの賢王様のお子様なら断る理由がないわ。しかもアルカード君が保護者任命されているから自動的に特待生用の統合学科に確定ね。
生徒証は急ぎで作成するように事務長に言っておいたから、帰りに受付でもらっておいて」
「何かすみません」
なんかすごく疲れた顔になって説明するエレン学園長を見て、何か悪い気がした僕は、とりあえず謝罪する。
「アルと同じとこか?嬉しいのだー!!」
翠は無邪気に大喜びしていたけどね。
学園長室を出て、指示通り受付に向かう。
「そういえば、その子の制服も用意するそうだから夕刻の鐘がなる頃に取りに来て」
受付の人は頭に拳骨をもらったような顔をしていて、僕達を一睨みすると、仏頂面で学生証を手渡される。
僕達は校門に向かいながら、これで明日は翠と一緒に問題なく入学できるとほっと胸をなでおろして学園を出て町に向かうのであった。
「アルー!はやくいこー!!」
乱暴にドアを開くと、元気な声と騒々しい足音が部屋に入ってくる。
「おはよう翠。まだ日も昇ってないし、それに入学式は明日だよ」
僕は既に起きていて、部屋が広いのを良いことに日課の素振りをしながら答える。
「父様と母様が、前もって町に行って慣れておいた方が良いって言ってたのだー」
翠がそう言ってくる。なるほど、確かにどこに何があるか分からないと、当日に色々戸惑うかもしれない。特に翠は人族嫌いだったから、ここのところ町なんかにも行ってなかっただろうし、しかも前日移動するとなると人目が気になる昼間は避けた方がいいのもあるなと僕は考えを改めると、すぐ準備するから賢王様と竜妃様に出発を伝えておいてと翠に頼む。
「世間知らずのあの子をお願いします。少しばかりですが何か入用になった際はお使い下さい」
荷物を持って大広間に行った僕を賢王様と竜妃様が出迎えてくれて、竜妃様からは小袋を手渡される。賢王様からは、精緻な竜の細工が施された腕輪を僕と翠に手渡し、僕だけに聞こえるように耳打ちする。
「この腕輪はお互いの位置の把握と簡単な意思疎通ができる魔道具だが、もし翠が暴れだして言う事を聞かなくなったら、この腕輪の宝石を砕いてくれ。しばらくの間おとなしくなるはずだ」
僕に手渡された銀色の腕輪の竜の口の部分には翠の鱗と同じ色の宝石が埋まっており、翠に手渡された金色の腕輪の竜の口の部分には紅い宝石が埋まっている。
翠が待ちきれなく化身を解き、竜の姿に戻ると僕はその背にまたがって賢王様と竜妃様の送り出しの言葉を受けながら、開いた大広間の天井から勢い良く飛び出していく。
「楽しみだね。アル」
「うん。どんな事が僕らを待っているかと思うとワクワクするよ」
そう言いながら僕らは、地方都市アインツ目指して飛び立った。
夜明け前に城壁が見えるあたりの近くの草原に降り立つと、翠は化身して人の姿になり、そこから徒歩で移動する事になる。草原から街道に出ると日が昇り始め、朝日がさす中を城壁目指して進む。
夜明け直後に出発する馬車などすれ違いながらのんびり歩いていると、たまに気の良い御者さんが心配そうに声をかけてくれたりする。
13歳くらいの子供二人で朝早くに歩いていれば、何かあると勘ぐってもおかしくない。その時は「学園に入学しに来たんだけど、いてもたってもいられなくて宿を早く出ちゃいました」と言い訳になってないような言い訳でも、皆苦笑を浮かべながら「頑張れよ」と応援してくれる。
翠は人に話しかけられるたび、僕の後ろに隠れて様子を伺っているけど、何人かの御者さんが害を与えず接してくれているところを見て、少しは安心しているようだ。僕の上着を掴んだまま離さないけどね。
そうして日も昇り少し暖かくなってきた頃、僕らは南門の前にいて、生徒証を翠は合格証を見せて地方都市アインツに入った。翠の合格証とは晩餐の席で賢王様が生成した書類の一枚で、ちなみに他には入学推薦状なども生成していた。
町に入った僕は、まず翠の入学手続きをしたかったのだが、まだ時間が早いので、朝ごはんを取ろうと、父さんの知り合いがやっている冒険者の宿に向かった。
「いらっしゃいませっ!また来てくれた!」
冒険者の宿に入ると、僕に蛙の根付をくれた女の子が元気良く駆け寄ってきてくれる。
「おかーさん!アルお兄ちゃんがきたよ!!」
僕は女の子に手を引かれてカウンターに向かうと大きな声でお母さんを呼ぶ。
「あら、いらっしゃい。朝早いわね、宿泊?」
「1日だけお願いできませんか?明日の入学式以降は寮になると思います。あ、今回は2部屋でお願いします」
「えー、翠はアルと一緒がいいのだー」
女将さんに宿泊予定を伝えると翠が不満そうにと口を尖らせる。
「2部屋だと銀貨8枚だね。夕食と朝食をつけるなら銀貨10枚にまけとくよ」
「あ、これから朝食を別に頼もうと思っていたんですけど」
「何か商売のうまい子だね・・・なら銀貨11枚でどうだい?」
そんな僕ら女将さんが二人を我が子と見守るような優しい視線で見る。
相場で言うと、宿泊で一人銀貨4枚は普通。食事はピンきりだが一食銀貨1枚程度になるので、3回の食事と1泊が2組だから本当は銀貨14枚かかる所を11枚にしてくれたようだ。
「ありがとうございます。ではそれでお願いします」
僕はそう言うと自分の小袋から銀貨11枚を取り出して渡す。
「部屋は空いてた所が2部屋あるからそこに荷物を置いて食堂に下りておいで後で軽く掃除しておくからね」
女将さんから2階の続き部屋の鍵を受け取ると、僕達は2階の部屋に入り、翠の入学推薦状以外の荷物を置くと、1階の食堂に移動し食事をした。
翠は一人部屋を嫌がって僕の部屋に来ようとしてたけど……
食事が終わると10時の鐘の音が聞こえたので、僕らは学園に向かう。入学式が明日なので学校内は手続きや準備などで結構慌しく、受付事務の人はとても忙しそうで、後にしてくれといわんばかりの目で見られたが、学園長宛の翠の入学推薦状を提出し、手続きをお願いする。
受け取ったときは疑うような目で見ていて、事務長っぽい人にその書類をぞんざいに渡す。事務長っぽい人がその書類に目を通すと、顔色を変えて走って出て行ってしまった
「どっかいっちゃたのだ?」
翠が不安そうに僕を見るが、僕にも何がなんだか……と思っていると、事務長っぽい人が慌てた表情で戻ってきて、学園長室に案内してくれる。
「アルカード君、来てくれたのね。しかも統合学科へ志望してくれてありがとう。で、これなんだけど」
学園長室はこの間より書類の山が多くなっており、書類の山に埋もれながらエレン学園長が、翠の入学推薦状をヒラヒラさせながら歓迎してくれる。なにか問題があったのかと僕の背筋に冷や汗が流れる。
「本当にキミは無茶苦茶ですね。まさか賢王様のお子様を連れてくるなんて……この間の一件でもうこれ以上ない程の驚きを味わったのに、1ヶ月で早速記録更新よ。あの賢王様のお子様なら断る理由がないわ。しかもアルカード君が保護者任命されているから自動的に特待生用の統合学科に確定ね。
生徒証は急ぎで作成するように事務長に言っておいたから、帰りに受付でもらっておいて」
「何かすみません」
なんかすごく疲れた顔になって説明するエレン学園長を見て、何か悪い気がした僕は、とりあえず謝罪する。
「アルと同じとこか?嬉しいのだー!!」
翠は無邪気に大喜びしていたけどね。
学園長室を出て、指示通り受付に向かう。
「そういえば、その子の制服も用意するそうだから夕刻の鐘がなる頃に取りに来て」
受付の人は頭に拳骨をもらったような顔をしていて、僕達を一睨みすると、仏頂面で学生証を手渡される。
僕達は校門に向かいながら、これで明日は翠と一緒に問題なく入学できるとほっと胸をなでおろして学園を出て町に向かうのであった。
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