チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第13話(夢の中での修行)

 気が付くと僕は真っ白な世界に立っていた。いつもの夢の中で、視線の先にはコタツと呼ばれるテーブルに3人が座っている。

「眼鏡の、今回はかなり危なかったのではないかのぅ?」
「全く、誰があのような使い方すると想像できます?完全に仕様外の使用法ですよ」
「坊主が全力で俺の鬼闘法を使うことで事なきを得たけど、かなりやばかっただろーが!お前が自重しない魔法式作りまくっているせいでな」
「私の魔法式は間違ってないし、不具合を起こしたわけではないです。脳みそまで筋肉の貴方は黙っててください。ただ使い方がちょっとイレギュラーすぎただけだです」
「しかしだの、少年がどうにかなってしまったら、お主の検証とやらも出来なくなってしまうのではないかの?一考の必要はあると思っておるんじゃが?」
「仰る事はわかりました。被験者がいなくなっては算術魔法式の完成が困難になりますから、引き寄せ魔法アトラクトには、大きさ制限をかけるようにします」
「……コイツ全然解ってねぇ」
 龍爺さんと筋肉さんが眼鏡さんを責められているが、眼鏡さんは涼しい顔で聞き流している。

 龍爺さんが僕に気がつくと、手招きをして呼んでくれた。
「今回は怖い思いをさせたのぅ。すまんかったなぁ」

 龍爺さんはコタツから出ると、近付いた僕を抱えてこむと頭を撫でてくれる。筋肉さんが僕の肩を叩きながら、俺の闘術を上手く使ってるじゃないか!と褒めてくれる。全然ダメダメだと思って落ち込んでいた僕に二人は慰めてくれる。

「あー、私のせいですまなかった」
 眼鏡さんは、目をそらしながら謝罪する。僕はその姿が少しおかしくて笑ってしまった。

「でも私の算術魔法式に間違いはないのです」
 と少し恥ずかしがりながらうそぶくのが更におかしかった。

「取り敢えず、現実がすぐに危機的状況になることはないですが、近未来的には、あまりよろしくない状況です。運良くいろいろな瓦礫が重なりあったスペースで気絶しているので死にはしないですが……このままでは脱出できずに餓死します。どかそうにも、手順を間違えると瓦礫が崩れペシャンコになります。助かるには一度も間違えずに瓦礫を退かすか、外からの助けを待つか、瓦礫そのものを無くすかですね」

 眼鏡さんは、冷静に状況を分析して、いくつかの指針を教えてくれるけど、せっかく集めた材料を無くしちゃうのか……と僕は残念な気持ちで一杯になった。

「念の為の確認ですが、この材料の山は竜のねぐらの修復の為に集めたという事で良いですよね?」
 僕が頷くと眼鏡さんが嬉しそうな顔をする。

「龍爺、あなたの記憶に自分の住み処は残っていますか?残っているなら少し覗かせて頂きたいのですが」

 龍爺さんは顎に手を当て少し記憶を手繰り寄せると
「うむ。かなり詳細に覚えているみたいじゃ。少年の為になるのなら記憶を見るのは構わんよ」
「ありがとうございます。それでは……Execute(b,m,DetailSearch(m,{[t,m,f],[t,"住み処",]}))」
 不思議な言語で算術魔法式を展開すると、ほんの一瞬の間だけ眼鏡さんと龍爺さんの頭が光の帯で連結される。

「CallSpell(fa,d,ObjectControl(i,me,m))」
 眼鏡さんの目の前に四角い窓か現れ、緑色の線で大きなお城が描かれる。眼鏡さんの両手の前に現れた小さなボタン群を、まるで楽器を演奏するかの如く、物凄い勢いで指を躍らせる。

「なるほど、ずいぶんと広く機能的で豪華な所に住んでいたんですね。でも、ここの部分をこう弄って……まぁこんなものですかね。では Build(t,"Castle",Object,i)」
 しばらくの間、眼鏡さんは楽しそうに操作し算術魔法式を実行すると、中空に浮かんでいた窓などか光を発し、四角い黒いカードになる。

「さて、少年。君には二つの魔法式を授けましょう。1つは龍爺さんから石を扱うストーンの魔法式、もう1つは石を加工する算術魔法式になります。ストーンを覚えるのには時間が掛かるから後にするとして、覚えてもらう算術魔法は<エグゼキュート ストーンコンストラクション キャッスル>です。これを唱えれば一瞬にして君の安全は確保されますので、忘れないように」

「次は儂の番じゃの。もう覚えているじゃろうが、魔法を使うには事象を正確にイメージして具現化/制御することが大事な事は覚えているじゃろう?事象を正確に具現化すると……こうじゃ」
 龍爺さんが手を振ると大小/形/色が様々な石が現れ床に散らばる。

「これらは全て儂がイメージした石の形で具現化しておる。次に制御じゃが……」
 龍爺さんが落ちている石の一つを指差して、そのままついっと指を上に向けると、指差された石がゆっくり持ち上がる。そうして今度は指を軽く縦に前回転させると、石が真っ二つになる。
 真っ二つになった黒い石を見ると、断面が磨き上げられたようにツルツルで黒く光を反射している。

「その石は黒曜石という石で、今みたいに割ったり、磨き上げると黒い鏡のような綺麗な断面を見せる石じゃ。まずは現物の石を見ながら同じ石が作れるようにやってみるのじゃ」
 龍爺さんに色々なコツを聞きながら、何とか石を生成する術を身につける。次は割る、砕く、飛ばす、削る、溶かす、接着する、溶接する等の事象の制御を教えてもらってこれも何とか習得すると、現実の僕の周辺に散らばっている隕石を具現化/制御できるように訓練した。

「これで十分じゃろう。これでお主は雷と石の属性が十分に使えるようになった。魔術は非常に危険なものじゃから、扱いにはくれぐれも注意するのじゃぞ?」
 最後にいつも通りの教訓で締め括ると、算術魔法をキチンと覚えているか聞かれる。<エグゼキュート ストーンコンストラクション キャッスル>ですよねと答えると、皆が親指を立てて同意してくれる。

 すると僕の身体が薄く透けていき、意識が夢の世界から現実世界へと戻っていく……

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