第十六王子の建国記
第64話宣戦布告
「ネッツェ王国軍のようです」
「確かに盗賊団ではないな」
「どうなされますか?」
「ここは正々堂々と名乗りを上げるべきだろうな」
「その上で戦になされますか」
「ネッツェ王国次第だな」
「こちらからは仕掛けられないのですか?」
「正式にはしかけないが、向こうが火事場泥棒のように領地を掠め取ろうとしている以上、此方も同じ方法をとらしてもらうさ」
「同じ方法でございますか」
「そうだ」
余が爺と話しているように、ネッツェ王国は旧ボニオン公爵領の一部に入り込んでいる。
そして国境線にあるいくつかの村と街を占領している。
向こうの言い分は、前ボニオン公爵から金銭支援の代償に割譲されたというのだ。
余が王都に召喚され、ボニオン公爵領に碌な守備力がない時に行われた、火事場泥棒としか言いようのないやり方だった。
パトリック達が一騎当千の働きをしてくれていなかったら、ボニオン公爵領全てがネッツェ王国に占領されていた可能性があった。
まあこんな状況だったからこそ、父王陛下も正妃殿下も、アンドルー王子を一時的に切り捨てる決断をされたのだろう。
だからこそここが余の正念場でもある。
ここで更に活躍し、国民の評判を上げておけば、父王陛下も正妃殿下も余を切り捨てることが出来なくなる。
同時にネッツェ王国の戦力を潰し過ぎもいけない。
外圧が少なくなると、余を切り捨てる余裕が出来てしまう。
「騎兵が五万騎と言う所でしょうか」
「さすがネッツェ王国と言うべきかな」
「そうでございますな。騎兵の発達した平野部を統一したイブラヒム王家は、騎兵を活用する軍略に長けております」
「だが、魔境がない分、突出した戦士が少ない」
「確かに突出した武威を放つ戦士がおりません」
「では、余が直々に名乗りを上げるぞ」
「御供いたします」
余は爺だけを引き連れて、ネッツェ王国騎馬軍団五万騎の前にその身を晒した。
「余はボニオン騎士団団長を務める、アリステラ王国第十八王子、アレクサンダー・ウィリアム・ヘンリー・アルバート・アリステラである。ネッツェ王国の不当な侵略に抗議する」
余の口上を受けて、ネッツェ王国軍から煌びやかな甲冑を纏った騎士が、百騎を超える親衛隊に護られながら前進してきた。
たった二騎の使者に対して百騎で対応するとは、臆病にも程がある。
「余はビアージョ・アゴスティーノ・チェザリーノ・イブラヒム第二王子である。十八番目の庶子など相手に出来ん。対等な話がしたければ、王太子を連れてこい!」
「本当に第二王子なのか?」
「ビアージョ殿下は妾腹の王子などとは話されん」
「そう言う御前は何者だ」
爺が余に代わって話してくれる。
ビアージョ王子が家臣に話をさせるのに対応して、余の格が下がらないように配慮してくれたのだ。
「名乗りも上げぬ者に礼を送る必要なし! ボニオン騎士団を率いられるアレクサンダー・ウィリアム・ヘンリー・アルバート・アリステラ王子の名において、不当な侵略者、ネッツェ王国に対して宣戦布告をする!」
「確かに盗賊団ではないな」
「どうなされますか?」
「ここは正々堂々と名乗りを上げるべきだろうな」
「その上で戦になされますか」
「ネッツェ王国次第だな」
「こちらからは仕掛けられないのですか?」
「正式にはしかけないが、向こうが火事場泥棒のように領地を掠め取ろうとしている以上、此方も同じ方法をとらしてもらうさ」
「同じ方法でございますか」
「そうだ」
余が爺と話しているように、ネッツェ王国は旧ボニオン公爵領の一部に入り込んでいる。
そして国境線にあるいくつかの村と街を占領している。
向こうの言い分は、前ボニオン公爵から金銭支援の代償に割譲されたというのだ。
余が王都に召喚され、ボニオン公爵領に碌な守備力がない時に行われた、火事場泥棒としか言いようのないやり方だった。
パトリック達が一騎当千の働きをしてくれていなかったら、ボニオン公爵領全てがネッツェ王国に占領されていた可能性があった。
まあこんな状況だったからこそ、父王陛下も正妃殿下も、アンドルー王子を一時的に切り捨てる決断をされたのだろう。
だからこそここが余の正念場でもある。
ここで更に活躍し、国民の評判を上げておけば、父王陛下も正妃殿下も余を切り捨てることが出来なくなる。
同時にネッツェ王国の戦力を潰し過ぎもいけない。
外圧が少なくなると、余を切り捨てる余裕が出来てしまう。
「騎兵が五万騎と言う所でしょうか」
「さすがネッツェ王国と言うべきかな」
「そうでございますな。騎兵の発達した平野部を統一したイブラヒム王家は、騎兵を活用する軍略に長けております」
「だが、魔境がない分、突出した戦士が少ない」
「確かに突出した武威を放つ戦士がおりません」
「では、余が直々に名乗りを上げるぞ」
「御供いたします」
余は爺だけを引き連れて、ネッツェ王国騎馬軍団五万騎の前にその身を晒した。
「余はボニオン騎士団団長を務める、アリステラ王国第十八王子、アレクサンダー・ウィリアム・ヘンリー・アルバート・アリステラである。ネッツェ王国の不当な侵略に抗議する」
余の口上を受けて、ネッツェ王国軍から煌びやかな甲冑を纏った騎士が、百騎を超える親衛隊に護られながら前進してきた。
たった二騎の使者に対して百騎で対応するとは、臆病にも程がある。
「余はビアージョ・アゴスティーノ・チェザリーノ・イブラヒム第二王子である。十八番目の庶子など相手に出来ん。対等な話がしたければ、王太子を連れてこい!」
「本当に第二王子なのか?」
「ビアージョ殿下は妾腹の王子などとは話されん」
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爺が余に代わって話してくれる。
ビアージョ王子が家臣に話をさせるのに対応して、余の格が下がらないように配慮してくれたのだ。
「名乗りも上げぬ者に礼を送る必要なし! ボニオン騎士団を率いられるアレクサンダー・ウィリアム・ヘンリー・アルバート・アリステラ王子の名において、不当な侵略者、ネッツェ王国に対して宣戦布告をする!」
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