前世水乙女の公爵令嬢は婚約破棄を宣言されました。
第27話
メイヤー公爵は人から忘れ去られていた。
だが、水精霊の怒りからは逃れられないでいた。
木に縛られ、渇き死にするだけだったメイヤー公爵だったが、水精霊が生かさず殺さずの拷問を続けていた。
私兵の時と同じように、身体中の穴と言う穴から、砂を混ぜた水を出し入れして、激烈な痛みを与えていた。
体力の続く限り、痛みに苛まれる地獄が続いていた。
死ぬことも出来ず、四六時中苦痛に苛まれていた。
そこに地下用水路を使って、数多くのドラゴニュートが現れた。
ドラゴニュートの気配を嫌ったのか、オアシスの水は完全に干上がってしまった。
オアシスの周辺に生えていた果樹も力を失い、涸れる寸前となっていた。
ドラゴニュート達は、メイヤー公爵を抱きかかえて、地下水路に消えていった。
一方サライダ公爵領の城外農園には、ぽっかりと巨大なオアシスが生み出されていた。
オアシスが産まれたと言う話は、寸刻も惜しんでサライダ公爵の下に伝えられた。
城外農園に暮らし始めた元奴隷と貧民によって伝えられたのだ。
王太子直轄領とメイヤー公爵領の奴隷だった者は、カチュア公女の慈悲で解放されていた。
今のサライダ公爵領で、カチュア公女の言葉に逆らう者などいなかった。
うるさ方の城代ですら、何の諫言もしなかった。
表向きはカチュア公女の言う通りにするだけだったが、裏では家中の者を使って王都内外の噂を集めさせていた。
「御嬢様。
王都の噂では、水の精霊様が怒りに狂い、民を喰い殺しているとの事でございますが、真でございますか?」
「何の話です?!
私はそのような御告げは受けていません。
何かの間違いではないのですか?」
「いえ、真でございます。
情報収集に放った者達からは、どの坊でも地下用水路から化物が現れ、多くの民を喰い殺しているとの話が集まっております。
民は、王家や貴族の行いに御怒りになった精霊様が、化物に姿を変えたのだと噂しております」
「そのような事は決してありません。
現に、我がサライダ公爵領には、そのような化物は一切現れていないではありませんか」
「確かに我がサライダ家の坊や城外農園には、そのような化物は現れておりません。
ですがそれは、御嬢様の御加護があるからではありませんか。
他の坊では、精霊様の怒りが吹き荒れているのではないでしょうか」
「そんな事はありえません。
朝昼夕に加え、眠る前にも、民を許して下さるように。
民を護って下さるように祈っております。
精霊様はそれに答えてくださるはずです」
「しかしなかがら、現実に民が喰い殺されております」
「それは、恐らく、精霊様の加護がなくなっているからでしょう」
「加護でございますか」
「そうです。
王都の中心であったオアシスがなくなり、王都を縦横に走っていた地下用水路も干上がってしまったままです。
これでは王都に精霊様の加護が及ぶはずもありません。
精霊様の加護がなくなったから、地下奥深くから魔物が現れたとは考えられませんか」
「そうでございますな。
ここで無暗に精霊様を疑えば、本当に精霊様の加護を失いかねませんな」
「そうですよ。
ですから、今の話を王都中に広めてください」
「承りました」
だが、水精霊の怒りからは逃れられないでいた。
木に縛られ、渇き死にするだけだったメイヤー公爵だったが、水精霊が生かさず殺さずの拷問を続けていた。
私兵の時と同じように、身体中の穴と言う穴から、砂を混ぜた水を出し入れして、激烈な痛みを与えていた。
体力の続く限り、痛みに苛まれる地獄が続いていた。
死ぬことも出来ず、四六時中苦痛に苛まれていた。
そこに地下用水路を使って、数多くのドラゴニュートが現れた。
ドラゴニュートの気配を嫌ったのか、オアシスの水は完全に干上がってしまった。
オアシスの周辺に生えていた果樹も力を失い、涸れる寸前となっていた。
ドラゴニュート達は、メイヤー公爵を抱きかかえて、地下水路に消えていった。
一方サライダ公爵領の城外農園には、ぽっかりと巨大なオアシスが生み出されていた。
オアシスが産まれたと言う話は、寸刻も惜しんでサライダ公爵の下に伝えられた。
城外農園に暮らし始めた元奴隷と貧民によって伝えられたのだ。
王太子直轄領とメイヤー公爵領の奴隷だった者は、カチュア公女の慈悲で解放されていた。
今のサライダ公爵領で、カチュア公女の言葉に逆らう者などいなかった。
うるさ方の城代ですら、何の諫言もしなかった。
表向きはカチュア公女の言う通りにするだけだったが、裏では家中の者を使って王都内外の噂を集めさせていた。
「御嬢様。
王都の噂では、水の精霊様が怒りに狂い、民を喰い殺しているとの事でございますが、真でございますか?」
「何の話です?!
私はそのような御告げは受けていません。
何かの間違いではないのですか?」
「いえ、真でございます。
情報収集に放った者達からは、どの坊でも地下用水路から化物が現れ、多くの民を喰い殺しているとの話が集まっております。
民は、王家や貴族の行いに御怒りになった精霊様が、化物に姿を変えたのだと噂しております」
「そのような事は決してありません。
現に、我がサライダ公爵領には、そのような化物は一切現れていないではありませんか」
「確かに我がサライダ家の坊や城外農園には、そのような化物は現れておりません。
ですがそれは、御嬢様の御加護があるからではありませんか。
他の坊では、精霊様の怒りが吹き荒れているのではないでしょうか」
「そんな事はありえません。
朝昼夕に加え、眠る前にも、民を許して下さるように。
民を護って下さるように祈っております。
精霊様はそれに答えてくださるはずです」
「しかしなかがら、現実に民が喰い殺されております」
「それは、恐らく、精霊様の加護がなくなっているからでしょう」
「加護でございますか」
「そうです。
王都の中心であったオアシスがなくなり、王都を縦横に走っていた地下用水路も干上がってしまったままです。
これでは王都に精霊様の加護が及ぶはずもありません。
精霊様の加護がなくなったから、地下奥深くから魔物が現れたとは考えられませんか」
「そうでございますな。
ここで無暗に精霊様を疑えば、本当に精霊様の加護を失いかねませんな」
「そうですよ。
ですから、今の話を王都中に広めてください」
「承りました」
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