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前世水乙女の公爵令嬢は婚約破棄を宣言されました。

克全

第21話

王都内では、カチュア公女が本当の水乙女だと言う噂が一気に広まった。
同時に多くの兵が激痛にのたうち回り、見るも無残な狂い死にしたと言う噂も伝わった。
実際物見高い民が、野次馬となって戦場跡を見に行き、痛みに苦しみ踊るように暴れ回る兵を見てきた。

野次馬たちの御陰で、私兵達が一昼夜痛みにのたうち回り、狂い死にしたと言う確かな話が伝わった。
同時に水が城外に流れていると言う確かな話が伝わったので、高価な水を買うことが出来ない貧民がサライダ公爵領の小川に向かった。

多くの貧民が小川の前で叩頭し、恭しく祈りを捧げてから水を飲んだ。
最初に小川から水を飲んだ者は、命懸けであった。
実際問題、多くの私兵が狂い死にしているのだ。
小川の近くには、死んだ兵の亡骸が放置されているのだ。

むりやり兵に仕立てられた、貧民や奴隷の雑兵は助かっているのだが、民や王太子軍やメイヤー公爵軍には分からない事だった。
だから、精霊様の怒りに触れるのを覚悟で小川の水を飲むのは、水を購入することが出来ない貧民ばかりだった。

初日は恐々小川の水を飲んでいた民は、毒見役だった。
翌日には少し安心したようで、妻や幼い子供、老いた親を連れて小川までやってきた。
家族揃って小川の前で叩頭し、恭しく祈りを捧げてから水を飲んだ。
渇き死に寸前だった身体の隅々に清浄な水が行き渡り、まさに生き返る思いだった。

中には甕を持ってきて、水を汲む命知らずが現れた。
最初はそれを恐々見ていた者も、幼過ぎて小川まで連れてこれない子供や、老いて小川まで来れない親の為に、甕に水を汲んで家に持って帰るようになった。
だが、それでも精霊様の罰は起こらなかった。

だが三日目には、金に眼が眩んだ人間が現れた。
小川の水を大甕一杯に汲み、露店で売り出す者が現れたのだ。
しかし、そのような事を許す精霊ではなかった
水売りが露店で水を売ろうとした直後に、罰が現れたのだ。

私兵達と同じように、小川で飲んだ水が内臓を針のように刺し、激痛でのたうち回った。
その痛みは余りに激しく、痛みにのたうち回る姿は、まるで狂った踊りのようだった。
だが今度は一昼夜痛みに踊ると言うのではなく、精霊の怒りを聞いて集まった者達の前で、血袋のように破裂したのだ。

そこらじゅう一面に血液が撒き散ることになった。
それを見ていた人々が噂を広めたので、小川の水を売る者はただの一人もいなくなった。
その頃王太子直轄領とメイヤー公爵領では、水乙女の怒りを恐れて、異変が起こっていた。


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