前世水乙女の公爵令嬢は婚約破棄を宣言されました。
第1話
「清らかな心の持ち主だけが、精霊に愛され、水乙女になれるのです」
それが教会の教えだった。
公爵令嬢のカチュア・サライダは、その事をよく知っていた。
何故なら、彼女は前世で水乙女だったからだ。
そして彼女は、その記憶を持って生まれ変わっていた。
この国は、砂漠と荒野に囲まれた中にあって、オアシスの恵みで成り立っている。
水乙女が精霊に祈る事で、オアシスの水が涸れないのだ。
水乙女がいなくなったら、精霊が立ち去ってしまい、オアシスが涸れてしまう。
そんな事になったら、国が滅んでしまう。
教会では、繰り返しその教えを説いていた。
新たな水乙女を見出すために、国中を探し回っていた。
象徴として、多くの寄付を集めるために。
王家に圧力をかけ、自分達の有利な政策をとらせるために。
前世の経験で、そんな教会の悪い部分も知っているカチュアは、自分が水乙女であることを名乗り出なかった。
貧民に生まれていたなら、生きるために直ぐに名乗り出ていただろう。
だが今のカチュアは、名乗り出なくても十分安全で豊かな生活が出来たし、祈りはどこにいても出来たからだ。
何よりカチュアには、大切にしたい人達がいた。
今生の両親が、目に入れても痛くないというほど、慈しんでくれているのだ。
二人を置いて、善とは言えない教会に入る気にはならなかった。
何故なら、カチュアは一人っ子なのだ。
名門中の名門、サライダ公爵家に生まれた、たった一人の子供なのだ。
更に言えば、王家と公爵家の結びつきを強めるために、生まれた時から王太子の婚約者に選ばれていた。
二人の間に子供が生まれたら、長男が王家を継ぎ、次男が公爵家を継ぐことまで決まっていた。
だから、ずっと祈り続けていた。
愛する両親と、将来の夫・王太子殿下の為に。
殿下と共に護るべき民の為に。
祈り続けていたのだ。
「余はカチュアとの婚約を破棄する」
だが、いきなりカチュアは婚約破棄を言い渡された。
心当たりなど全くなかった。
カチュアは別に婚約解消がいやな訳ではなかった。
両親と共に、心静かに祈りの暮らしが出来ればよかった
だが疑問には思った。
「ですが、何故でございますか。
婚約破棄の理由を聞かせていただけますか」
だから、理由は聞いておかなければいけなかった。
両親と安寧に暮らす為には、裏に謀略がない事を確かめておかなければいけなかった。
前世では、利権を求めて教会と王家貴族が暗闘を繰り返していた。
今生でも、同じことが繰り返されるのは目に見えていた。
「簡単な事だ。
水乙女が見つかったのだ。
彼女こそ、我が妻に相応しい」
そう言って王太子は、侍らせていた女性に目を遣った。
それが教会の教えだった。
公爵令嬢のカチュア・サライダは、その事をよく知っていた。
何故なら、彼女は前世で水乙女だったからだ。
そして彼女は、その記憶を持って生まれ変わっていた。
この国は、砂漠と荒野に囲まれた中にあって、オアシスの恵みで成り立っている。
水乙女が精霊に祈る事で、オアシスの水が涸れないのだ。
水乙女がいなくなったら、精霊が立ち去ってしまい、オアシスが涸れてしまう。
そんな事になったら、国が滅んでしまう。
教会では、繰り返しその教えを説いていた。
新たな水乙女を見出すために、国中を探し回っていた。
象徴として、多くの寄付を集めるために。
王家に圧力をかけ、自分達の有利な政策をとらせるために。
前世の経験で、そんな教会の悪い部分も知っているカチュアは、自分が水乙女であることを名乗り出なかった。
貧民に生まれていたなら、生きるために直ぐに名乗り出ていただろう。
だが今のカチュアは、名乗り出なくても十分安全で豊かな生活が出来たし、祈りはどこにいても出来たからだ。
何よりカチュアには、大切にしたい人達がいた。
今生の両親が、目に入れても痛くないというほど、慈しんでくれているのだ。
二人を置いて、善とは言えない教会に入る気にはならなかった。
何故なら、カチュアは一人っ子なのだ。
名門中の名門、サライダ公爵家に生まれた、たった一人の子供なのだ。
更に言えば、王家と公爵家の結びつきを強めるために、生まれた時から王太子の婚約者に選ばれていた。
二人の間に子供が生まれたら、長男が王家を継ぎ、次男が公爵家を継ぐことまで決まっていた。
だから、ずっと祈り続けていた。
愛する両親と、将来の夫・王太子殿下の為に。
殿下と共に護るべき民の為に。
祈り続けていたのだ。
「余はカチュアとの婚約を破棄する」
だが、いきなりカチュアは婚約破棄を言い渡された。
心当たりなど全くなかった。
カチュアは別に婚約解消がいやな訳ではなかった。
両親と共に、心静かに祈りの暮らしが出来ればよかった
だが疑問には思った。
「ですが、何故でございますか。
婚約破棄の理由を聞かせていただけますか」
だから、理由は聞いておかなければいけなかった。
両親と安寧に暮らす為には、裏に謀略がない事を確かめておかなければいけなかった。
前世では、利権を求めて教会と王家貴族が暗闘を繰り返していた。
今生でも、同じことが繰り返されるのは目に見えていた。
「簡単な事だ。
水乙女が見つかったのだ。
彼女こそ、我が妻に相応しい」
そう言って王太子は、侍らせていた女性に目を遣った。
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