大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。
第204話紅花村5
情けない事に、代官は痛みにめっぽう弱かった。
力尽く暴力に対抗出来る胆力がなかった。
士族家に生まれ、甘やかされて育ったので、自分を鍛えることがなかったようだ。
本物の拷問官ではなく、魔晶石使い魔に拷問道具を持たせただけで、ペラペラと全て自白した。
これでは調べていたもう一つの証拠を出すまでもなかった。
「さて村長」
「はい。巡検使様」
「ガブリエラ女王陛下の慈悲の心は納得してくれたか」
「はい。心にしみわたりました」
「では、新たな代官の下で、王家王国の為に働いてもらう」
「承りました」
胆力のある村長だから、元々の紅花村の運営は滞りなく務めてくれるだろう。
問題は、新たに出来た紅花村だ。
代官の糞野郎は、もともと栽培していた紅花村での紅花栽培を止めさせて、自分が奴隷に開墾させた隠し村で紅花を栽培しようとしていた。
独占的に闇で紅花を売買する心算のようだった。
「それで、先程話した新たな紅花村だが、村長や指導者となる人間を派遣してもらいたい」
「奴隷が開拓した村という事ですが、彼らの身分はどうなるのですか」
「御前達と同じ村人と言う事になる」
「王家王国が奴隷の身分から解放するという事ですか」
「そうだ」
村長が何か難しい顔をしている。
考えている事はだいたい想像がつくが、余の予想通りだとすれば、この村長にはもっと重要な役目を与えるべきだろう。
「巡検使様。人間は弱いもので、地位や権力に酔ってしまい、若いく純粋な頃の理想とは違う、欲望に満ちた生き方をしてしまう者でございます」
「確かにそのような面はあるな」
「この村にいる時は、多くの村人の眼もあり、善良であったものが、元奴隷を相手に力が振るえるとなると、するはずがなかった悪事に手を染めてしまう事がございます」
「村人を善良なまま暮らさせてやるためには、無用な地位や権力を与えるなと言いたいのだな」
「はい」
確かに村長の言う通りだ。
余が余計な事を命じなければ、悪事を働く事など思いもよらなかった善良な人間が、出来心で悪事を働いてしまうかもしれない。
だが、全ての管理を、人の心を持たない魔晶石使い魔に任せる訳にもいかない。
そんな事をしてしまったら、それこそ人が育たなくなってしまう。
「では監視の目を付ければどうだ」
「巡検使様が定期的に来て下さるのですか」
「我ら巡検使が定期的に村々を見て回るのは当然だが、それ以外に、常駐で村を見守る巡検使の従者を置こう」
「御代官様や御代官様の兵士ではないのですか」
「いずれはまた代官が派遣されるだろうが、代官とは別に、王家直轄の巡検使の配下が村を陰から見守ることになる」
「それならば、村人を推薦させていただきます」
力尽く暴力に対抗出来る胆力がなかった。
士族家に生まれ、甘やかされて育ったので、自分を鍛えることがなかったようだ。
本物の拷問官ではなく、魔晶石使い魔に拷問道具を持たせただけで、ペラペラと全て自白した。
これでは調べていたもう一つの証拠を出すまでもなかった。
「さて村長」
「はい。巡検使様」
「ガブリエラ女王陛下の慈悲の心は納得してくれたか」
「はい。心にしみわたりました」
「では、新たな代官の下で、王家王国の為に働いてもらう」
「承りました」
胆力のある村長だから、元々の紅花村の運営は滞りなく務めてくれるだろう。
問題は、新たに出来た紅花村だ。
代官の糞野郎は、もともと栽培していた紅花村での紅花栽培を止めさせて、自分が奴隷に開墾させた隠し村で紅花を栽培しようとしていた。
独占的に闇で紅花を売買する心算のようだった。
「それで、先程話した新たな紅花村だが、村長や指導者となる人間を派遣してもらいたい」
「奴隷が開拓した村という事ですが、彼らの身分はどうなるのですか」
「御前達と同じ村人と言う事になる」
「王家王国が奴隷の身分から解放するという事ですか」
「そうだ」
村長が何か難しい顔をしている。
考えている事はだいたい想像がつくが、余の予想通りだとすれば、この村長にはもっと重要な役目を与えるべきだろう。
「巡検使様。人間は弱いもので、地位や権力に酔ってしまい、若いく純粋な頃の理想とは違う、欲望に満ちた生き方をしてしまう者でございます」
「確かにそのような面はあるな」
「この村にいる時は、多くの村人の眼もあり、善良であったものが、元奴隷を相手に力が振るえるとなると、するはずがなかった悪事に手を染めてしまう事がございます」
「村人を善良なまま暮らさせてやるためには、無用な地位や権力を与えるなと言いたいのだな」
「はい」
確かに村長の言う通りだ。
余が余計な事を命じなければ、悪事を働く事など思いもよらなかった善良な人間が、出来心で悪事を働いてしまうかもしれない。
だが、全ての管理を、人の心を持たない魔晶石使い魔に任せる訳にもいかない。
そんな事をしてしまったら、それこそ人が育たなくなってしまう。
「では監視の目を付ければどうだ」
「巡検使様が定期的に来て下さるのですか」
「我ら巡検使が定期的に村々を見て回るのは当然だが、それ以外に、常駐で村を見守る巡検使の従者を置こう」
「御代官様や御代官様の兵士ではないのですか」
「いずれはまた代官が派遣されるだろうが、代官とは別に、王家直轄の巡検使の配下が村を陰から見守ることになる」
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