大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第182話女難

「ルイ様、随分とオモテになっているようですね」
「いや、そんな事を言われても、ガビの言ったように、女の幻を観させているのだ。それに憧れて女達が近寄って来たのだから、余の所為ではないぞ」
「確かに私が言い出した事ですが、何も絶世の美女に化ける必要などないではありませんか」
「そんな事を言われても、わざわざブスに化ける人間などおらぬぞ」
「それは、そうでございますが……」
「兎に角だ、これはガビの言ったとおりにした結果なのだから、仕方がない事なのだ。それに、女達は不用意に近づかないように、幻覚魔法で屈強な男の姿にした、魔晶石使い魔に周囲を護らせている」
「それも理解しておりますが……」
「心配しなくても、余の愛する女性はガビだけだから」
「はい。では、私も幻覚魔法で変化させた魔晶石使い魔に家臣達の相手をさせます」
「まさか、一緒について来ると言うのかい」
「後ろめたいことがないのなら、私が一緒でも大丈夫でしょ」
「しかし、政を蔑ろにするのは賛成できない」
「私が直接指示を出さなくても、魔晶石使い魔が上手くやってくれます。実際の政策決定は、宰相と大臣達が上手くやってくれます」
まあ確かに、ガビがいなくても、長年ミカサ公爵家の政に携わってきた家宰と重臣達が、王国の政を取り仕切ってくれている。
ガビのなすべきことは、家宰と重臣が不正に走らないように、強大な統治者として君臨する事だけだ。
ガビは現在の戦闘能力に加えて、これから伸びる潜在能力も強大なので、一門や家臣達から敬われていた。
だが、魔界へ遠征を行い、実戦経験を得たことにより、一段と強く統制が可能になっている。
何より大きかったのが、婿養子に選ばれた余が、ミカサ一門が想像していた以上に強大だったことだ。
ミカサ一門の中でも、一二を争う強さを誇ったダイを、余が傷つけることなく正気に戻したので、その潜在能力がダイを数倍凌駕している事がはっきりしたのだ。
強さでダイを凌駕していると言う事は、ミカサ一門最強という事だ。
そんな余とガビが一緒に行動するのなら、ほぼ無敵だと言う事なので、危険だと反対する事も出来ない。
政務に支障があると言う事は、自分達が無能だと言っている事になる。
儀礼上の問題は、魔晶石使い魔が成り代わってくれる。
人間や魔族の替え玉と違って、成り代わって国を乗っ取ろうとする事もない。
そんな事よりも、一日も早く余の子種を得て、次期当主を生んで欲しいと言う事になったそうだ。
ミカサ家はそれでいいのかもしれないが、余は不本意である。
ガビの事は大好きだが、四六時中一緒は嫌なのだ。
余には一人の時間が必要なのだ。

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