大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第171話超龍級

「ルイ様。ダイは自分の限界魔法を使い心算です」
「ダイの限界とは、どれくらいの魔法なんだい」
「龍級を超える魔法です」
「超龍級と言う事かい」
「はい。最低限の龍級魔法から比べれば、三十倍の破壊力があります」
「超龍級の中でも、最低限から見て三倍の破壊力と言う事だね」
「はい」
「ガビはそれを受けても平気なのかい」
「人型では厳しいです」
「ダイのように、本来の形態に戻れば大丈夫なのだね」
「はい。でも、ルイ様と連携すれば、人型のままで対抗できます」
「本来の姿の戻る方が安全だと言うのなら、そうしてもらう方が余も安心だよ」
「ルイ様なら、私の正体を知っても、愛想を尽かされるとは思いませんが、乙女の嗜みとして、恋する人の前で正体を晒したくはありません」
「そうだね。余の想いがあるように、ガビにも想いがあるからね。分かったよ。余が前面に立って魔法陣を築くから、ガビは補助に徹してくれるかい」
「ありがとうございます。でも、大丈夫ですか」
「大丈夫だよ。愛する人を護るためだから、生まれて初めて本気で戦うよ」
「はい。ありがとうございます。愛しています」
やれやれ。
今までずっと隠し続けてきたけど。
いや、使う機会がなかったけど。
制限をかけてきた力を解放する事にしよう。
制限をかけたままでも、超龍級の三倍なら対応出来るが、ガビを護らないといけないから、制限は外す。
ダイを殺さないためにも、ガビの正体を現さないようにするためにも、圧倒的な力で対応する。
「ダイ、今楽にしてあげます」
「ルイ様」
「ウガァルルゥ」
ダイは、今まで以上に急いで魔力を錬ろうとした。
本能が危険を察したのだろう。
だが、これ以上苦しませる気はない。
超龍級でも、九倍の力を使って、強制的にダイの魔力を奪いとる。
チャーム・ドレインを使って、無理矢理魔力を奪いとる。
よくあるドレインは、自分は何の魔力も体力も消費せず、格下の相手から生命力や魔力を奪うモノだ。
だが、今回の相手は、超龍級のダイだ。
此方が何の代償も支払わずに、ドレインの効果を及ばせる相手ではない。
超龍級三倍の力を使って、重層防御魔法陣を張り巡らせる。
ダイの魔力の補給は許さない。
一点突破のブレスを放ってきた場合は、超龍級六倍の力で補強する。
この防御魔法とは別に、攻撃魔法としてチャーム・ドレインを使う。
ダイの三倍の魔力を使って、強制的に無力化する。
「ダイ。これで終わりです」
「ウガァルルゥ」
「ルイ様。無理はなさらないでください」

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