大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第167話夫婦の力

玉鋼級の魔法から金剛石級の魔法に切り替えた場合は、単純に十倍の魔力が必要になる。
だが、魔力を増幅する魔法陣を描くことが出来れば、その魔力を抑える事が可能だ。
たかが一割抑える事が出来るだけでも、連戦や長期戦を戦うのに大きな違いが出てくる。
私やダイは、魔力があり余っているから、そんな小細工は必要なかったが、何時どれほどの強敵と対峙するか分からないので、知識や技としては完璧に習得していた。
それをダイに使うとは思わなかったが、これも運命なのかもしれない。
「ルイ様。集中してください」
「大丈夫だよ」
「では、連携魔法を使います」
「分かった。実戦で連携魔法を使うのは初めてだね」
「そうですね。ただ斃すだけなら不要ですが、此方もダイも無傷で、ダイを無力化するとなると、連携技を使った方が確実です」
「そうだね」
「魔力増幅魔法を使って攻撃魔法を増力して、それを連携させることで相乗効果と増幅効果をもたらします」
「分かっているよ」
並の敵が相手なら、属性効果も狙うのだけど、龍に変化したダイが相手だと、属性効果などない。
ガビが言うには、龍化したダイは、全ての属性を兼ね備えた存在なのだそうだ。
だから属性を考えるだけ無駄だし、属性を考える事で、僅か数コンマ一秒でも攻撃速度が遅くなってしまう。
他の龍もそうなのか、ダイだからなのかは教えてくれなかった。
聞くべきではないと思ったので、それ以上はガビに聞かなかった。
「私がルイ様に合わせますから、自由に魔法を使ってください」
「分かったよ」
女性に年齢を尋ねるのは失礼だから、ガビに年齢を聞いたことはない。
だけで、ミカサ一族が長命なのは、我が王家では常識だ。
ガビが見た目通りの年齢ではない事は、私も理解していたし、王家の者も理解していた。
だから常は私を立ててくれるガビも、命が変わる状況では、姉さん女房と化してリードしてくれる。
いや、普段から全てリードしてくれいるのかな。
「もっと早く放てますか」
「任せてくれ」
手加減したわけではないが、余り強く早く放つと、ダイに怪我をさせてしまうかもしれないと思ったのだが、全くそんな心配はいらなかった。
ガビと連携する事で、玉鋼級の魔力を使い、金剛石級の魔法攻撃を連射したが、全く何のダメージを与えることが出来なかった。
有り余る魔界の魔力で回復したのではなく、防御魔法で防いだのでもなく、ブレス攻撃と魔法攻撃で此方の魔法攻撃を霧散させてしまった。
しかもその余波が強烈で、大きく移動して避けなければいけないほどだった。
「緋緋色金級の攻撃を放って下さい」
「分かった」
遂に緋緋色金級か。
今迄の様子なら、緋緋色金級の攻撃でも致命傷を与えることはないだろう。
くよくよ考えず、仕掛けるしかない。

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