大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第144話二重罠

ダイはここが勝負時と判断し、使い魔たちを自分の後方に逃がし、残った魔力の半分を何の技も使わずに一気に放出した!
狙いは魔王とその周囲にいる魔王親衛隊。
収束されていないとはいえ、ダイの魔力の半分を放った破壊力は桁外れなモノで、ダイをとらえていた大規模攻撃魔法陣を吹き飛ばした上に、五千の魔王親衛隊を消滅させた。
何より狙われた魔王は、全ての魔力を使った防御魔法を展開していたが、百魔の大公が連合して放った最大級攻撃魔法でも防ぐ防御魔法なのに、跡形もなく破壊してしまった。
そして魔王自身も、必死で回避したにもかかわらず、逃げきれずに身体の九割を消滅させられていた。
だがダイは、ここで手を抜いたり詰めを誤ったりするような、素人でもなければ未熟者でもなかった。
倒せる時にはきっちり倒す、歴戦の戦士なのだ。
まがりなりにも魔王とまで言われる魔族なら、身体再生能力があると考えておくべきで、身体の一割が残っていれば、復活すると想定しておくべきなのだ。
だからダイは、新たな防御魔法や攻撃反射魔法を展開する時間を惜しんで、一気に魔王を消滅させようと距離を詰めた。
ダイに残された魔力は少なく、いくら魔力回復が桁外れに速いダイでも、魔力回復を待っていては何が起こるか分からないので、一番早い攻撃方法である長槍の一撃を加えることにしたのだ。
もちろんただ長槍攻撃ではなく、ダイの魔力を増幅する魔法陣が刻まれているので、自然回復する魔力の一部を使って、魔王を滅殺するほどの破壊力を込めた一撃であった。
だがここで、反魔王派が長年かけて準備してきた、大規模攻城魔法陣が狙いを定めて発動された。
もちろん目標はダイと魔王の残骸であり、一気に魔王の座に就こうとした反魔王派の大公が、乾坤一擲で発動させた切り札中の切り札だった。
「グァ!」
絶対に弱音を吐かないはずのダイが、思わず苦痛のうめき声をあげてしまった。
同じ苦痛でも、事前に攻撃を受けることが分かっていたなら、ダイは表情一つ変えず耐えたのだろうが、全く想定していなかった不意討ちの一撃だったので、思わず無意識に苦痛のうめき声が漏れ出てしまったのだ。
ルイが創り出した複合セラミック製完全鎧に防御魔法と攻撃反射魔法は一瞬で破壊され、鎧自身も消滅してしまい、残ったのはダイ自身の防御力と体力だけだった。
反魔王派大公のしかけた攻撃は、魔王城と一緒に魔王自身を殺そうと準備された魔法陣であったので、その破壊力からは考えられないほど長時間持続するものであった。
ダイはその攻撃を受けて徐々に光り輝きだし、ついには破裂して四方八方に光を放ってしまった!

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