大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第142話激闘

ルイは焦る気持ちを抑えながら、着実に堅実に魔族とスライムを倒していった。
魔族とスライムが外へ外へと広がるのは絶対に防がねばならず、大きな余裕を持って先回りして、自分で決めた絶対防衛ラインより広がらせないようにした。
そのためには手持ちの魔晶石を全て使って、防衛ラインを形成する使い魔を創り出さねばならず、自分の手元に残ったのは、事前に武器や防具に埋め込んだ魔晶石だけだった。
時には魔力がなくなりそうな使い魔に魔力を補充する為に、急ぐ討伐を途中で止めなければいけない事もあったが、何としてもでも絶対防衛ラインは死守しなければならず、唇から血がにじむほどの悔しさと反省の中で、着実に魔族とスライムを倒すのであった。
そしてその時ダイは、ついに魔王城に向かって攻撃魔法を放ち、集約された大魔力の塊が、魔王城の防御結界を破壊し、幾百の防御魔法陣と形態維持魔法陣を刻み込んだ魔王城自体も破壊し、周辺に危険な密度の魔力をまき散らしたのであった。
ダイが魔王城にもたらした破壊は激烈なモノで、四重の城壁と濠が完膚なきまでに破壊され、地上の建設されていた全ての城壁と塔が粉々に粉砕されてしまっていた。
だが魔王と城内の親衛隊は、地下に築かれた魔王城に避難していたので、何とか生き残っていたが、このままでは勝てないと冷徹に計算をしていた。
ここに血気にはやる王太子と王太子親衛隊がいれば、結果は変わっていたのかもしれないが、魔王は事前に彼らを離宮に追いやっていた。
「侵入者よ、いったい何が望みなのだ?」
「問答無用!」
「平和に暮らしている我らを虐殺して何が面白いのだ」
「・・・・・」
ダイは魔王の言葉には答えず、ルイが作ってくれた複合セラミック製の長槍を振るい、魔王の首をはねるべく突撃していった。
「我ら魔族は、人間が召喚するからしかたなくそちらに行っているだけだ。好きで魔界を離れている訳ではないぞ!」
「・・・・・」
魔王のしかける舌戦に対して、ダイは無言で攻撃を繰り出していた。
今まで戦っていた魔王親衛隊に、さらに城内にいた魔王親衛隊が加わり、遠距離魔法を絶え間なく加えてくるので、ダイは新たな魔法を放つ事ができないでいた。
さらに魔王が振るう青龍偃月刀に内蔵された魔力が油断出来ないモノで、さすがのダイもうかつに攻撃できないと感じていた。
魔王の持つ青龍偃月刀は代々の魔王に伝えられた累代の武器で、累代の魔王が込めてきた魔力だけでなく、累代の魔王に虐殺された魔族や各界の生物の怨念まで取り込んでおり、触れただけで呪われてしまうモノだった。
完全鎧以外の防御を失っているダイは、思い切って斬り込むことができない状態で、複合セラミック製の長槍で青龍偃月刀と討ち合い、徐々に魔王を追い込んでいた!

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