大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第140話苦戦

「雑魚どものせいで、意外と時間がかかってしまった」
うっとうしい魔族をすべて倒したダイは、ようやく魔王城の前までやってきたのだが、予想していたよりも時間がかかってしまったので、思わず独り言をつぶやいてしまっていた。
ダイの前に立ちはだかる魔王城の防御結界は、魔王の座を狙う有力大公たちが、連合して大規模攻撃魔法陣を築いても破壊できないくらい強力なモノだった。
だがそれは魔族の常識であって、人間界で規格外のダイは、魔族基準で見ても常識外れで規格外だった。
普段のダイなら、消耗した魔力を回復するのを待った上に、自分の魔力消費を少しでも減らすために、魔法陣を使って魔王城の防御結界を破壊しただろう。
だが今のダイは、少しでも早く魔王を倒し、万が一にも魔王が魔界から人間界に召喚されるのを防がないといけない。
もしダイが倒す前に魔王が人間界に召喚されてしまったら、桁外れの魔力を使った魔法合戦が人間界で始まることになってしまう。
そんなことになってしまったら、魔王を倒すことができても、人間界は生物の住めない荒廃した世界になってしまう。
いや、ダイが魔王を倒すのは確定しているだろう。
だがその為には膨大な魔力を使わねばならず、その影響は恐ろしいくらい甚大な被害を人間界にもたらすだろう。
だからこそダイは、魔王との戦いを魔界で行わなければいけないと決意しており、一分一秒を争う気持ちで魔王城までやってきたのだった。
それでもダイは急ぐ気持ちを押し殺し、魔王城の防御結界強度を入念に探り、一度の攻撃で破壊できるようした。
もし攻撃魔法の詠唱途中で邪魔されてしまったら、貴重な魔力を攻撃に使うことなく霧散させてしまうことになるので、魔族の邪魔に対応できるようにしておかねばならなかった。
ダイは必ず魔王城から迎撃の魔法攻撃があると考え、事前に展開していた防御魔法と攻撃反射魔法、さらには各種支援魔法を自分にかけ直した。
その上でダイは、効率の悪さを無視してできるだけ短い詠唱時間で済む攻撃魔法を選択し、一気に魔王城の防御魔法陣を破壊しようとした。
だがダイが攻撃魔法の準備に入り、他のことができなくなったタイミングを見計らい、魔王親衛隊の勇士が攻撃を開始したのだ!
魔王親衛隊は、魔王に忠誠を誓う魔族の中でも最強の者たちで編成されており、魔界での階級は生まれが卑しかったので今でも侯爵伯爵と低いものの、その実力は公爵を超えるものばかりだった。
そんな最強の魔王親衛隊が、絶好の機会に攻撃をしかけてきたのだ!

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