大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第108話二階層へ

第二ダンジョンの地下一階に住む全ての魔物を討伐したルイとダイは、地下二階に降りることにしたが、そこでも楽勝であった。
地下一階と地下二階でそれほど魔物の強さに違いはなく、サクサクと皆殺しにしていくのだが、どうしても狩りたいわけではない。
だがダンジョンを追い詰めて、家臣にして人間と共生できるダンジョンに変化させる目的なので、共生関係にある魔物を全滅させる事には意味があった。
それに餌に与える魔晶石を確保する意味では有効であった。
地下二階で手に入れた宝石や鉱物は、一階層と同程度の価値があり、階層の違いで宝石や鉱物の価値が違うと言う事はなかった。
多分これは、今まで一度も人間に宝物を奪われたことがないので、全階層で同価値の宝物が置かれているのだと推測された。
地下二階を四時間ほどで制覇したルイとダイは、休むことなく地下三階に降りていったのだが、おとぎ話と違って、奥に行けば行くほど強い魔物が出てきたりはしなかった。
たまに金級の魔物に出会うこともあったが、それは地下深くに強い魔物がいると言うよりは、地下深くまで降りた魔物が成長した事と、地下深くまで降りられるだけの強さがあったという事のようだ。
ダンジョン本体が意識して地下に強い魔物を配置したのではなく、弱肉強食の魔境の掟に従い、自然とそうなってしまったようだった。
地下三階も四時間ほどで制覇したルイとダイは、交代で休憩を取るべく、ダンジョン内でキャンプを張ることにした。
二人にしたら、今のような魔物だけと戦うのなら、全く休みなく戦い続けても平気なのだが、古竜が存在する可能性もあるので、交代で小休憩と仮眠を取ることにしたのだった。
「ダイは魔力に余裕がありますか?」
「狩った魔核に魔力を充填するのですか?」
「はい。このダンジョンを餌付けするなら、ある程度の魔晶石が必要でしょうから、自然消滅自然拡散してしまう魔力がもったいないですから、魔晶石に充填しましょう」
「そうですね。若様と私だと、使いきれずに無駄にしてしまう魔力も多いですから、手に入れた魔核は全て魔晶石に育てるべきですね」
「今この階には一頭の魔物もいないし、ダイと私が交代で魔力充填するのなら、片方は必ず魔力を完全状態にしておけますからね」
「そうですね。ですが若様、それでもこのダンジョンには古竜が住んでいる確率が高いので、身体強化魔法や支援魔法、防御魔法や攻撃反射魔法はかけ直しておく方がいいですよ」
「そうですね。ではお互いに重ね掛けしましょう」
ルイとダイは、絶対強者であるのもかかわらず、常に油断することなく、最適と思われる準備を怠らないのだった。

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