大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第107話第二ダンジョン探査

「またダンジョンですか?」
「はい。あれもダンジョンだと思われます」
「しかしあの反応は、少し強すぎるのではありませんか?」
「そうですね、少し長生きしたダンジョンのようですね」
「あれを少しと言いますか! さすがはダイと言うべきでしょうか?」
「からかわないでください! まあ確かに古竜と同等の魔力ですから、もしかしたらダンジョン内に古竜が住んでいるかもしれませんね」
ルイとダイは、家臣にしたダンジョンから出て、さらに魔境の奥まで探査すべく、のんびりと歩いていたのだが、二人の魔法探査範囲は非常識に広いので、その気になれば魔境全体を探査することも可能だった。
二人が徐々に探査範囲を広げると、またダンジョン特有の気配を探知したのだが、今度のダンジョンは最初のダンジョンとは段違いに強力なダンジョンだった。
二人は特に急ぐこともなく、周囲に生える薬草や魔法薬の材料集めを優先しながら、ぼちぼちと二つ目のダンジョンに近づいて行った。
「入り口が小さくないですか?」
「確かにそうですね。古竜が住むには小さすぎる入り口ですが、ここだけが入り口とは限りませんし、古竜なら小さくなる事も不可能ではありません」
「しかし普通の古竜は必要もなく小さくなったりしませんよね?」
「それはそうです。何も好き好んで弱くなることはありませんから」
「この入り口しかないとしたら、この太さか大きさの古竜がいると言う事ですね。ダイは聞いたことありませんか?」
「実物に会ったことはありませんが、小さい一族の古竜種がいたと聞いたことはあります」
「なるほど、その一族かもしれませんね」
「まあないとは申しませんが、普通は他に入り口があると考えるべきでしょう」
「まあそうでしょうね。実際に確かめてみましょう」
「はい、若様」
ルイとダイは、さきほどより少し広い三メート四方の入り口を入っていった。
この大きさなら、四つ足で体高の低い種族の玉鋼級魔物なら出入りが可能なので、それくらいの魔物に襲われる可能性は高かった。
ダンジョン内に入ってみると、今度のダンジョンは迷宮タイプになっていて、円状か方形かは判断できなかったが、四方に広がるタイプだった。
しかも通路の左右の多くの部屋が作られていて、そこには無数の魔物が暮らしている、一つの世界を創り出したダンジョンだった。
ダンジョンを調べ上げるには、全ての部屋を確認する必要があるので、仕方なく出会う魔物全てを狩ることになってしまったが、多くは銅級・鉄級・銀級の魔物だった。
この魔境には人間や獣人が入ったことが無いので、ダンジョンに蓄えられた宝物も初心で、鉱物も宝石も普通では考えられない量と品質だった。
わずか一階層を探査し終わっただけで、小国の年間予算に匹敵する宝物を得ることができた。

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