大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。
第92話思案
エルフたちは、生まれ持っての高い魔力と、長い寿命の間に発達した高度な魔法を駆使して、異形の化け物に攻撃をしかけたのだが、その全てを混沌に取り込まれてしまった。
ただ取り込まれてしまっただけならよかったのだが、事もあろうに混沌に取り込まれた魔力を、異形の化け物が自分の魔力にしてしまったのだ。
「族長。しばらくはあの場所から出てこられないようだから、一度休憩して話し合ってはどうか?」
「だがそれでは、あの化け物に不意を突かれてしまうのではないか?」
「だがすでに多くの魔力を使ってしまっていて、今のままでは勝てないのではないか?」
「お父様。ここはこの者の言う通りにいたしましょう。万が一ここで私たちが負けてしまい、あの異形の化け物をこの世界に放ってしまったら、エルフの恥を世界に知られてしまいます。ここは万全の体制を築いて、絶対に勝たねばなりません」
「皆の者! いったん休憩して魔力を回復させるぞ」
「「「「「うぉ~」」」」」
だが異形の化け物に不意討ちされる訳にはいかないので、老練なエルフ七人を混沌の周囲に残し、その場で魔力の回復を図りつつ、見張りをさせることになった。
「人間よ。あのままでは、こちらの攻撃が届かないどころか、化物を強くしてしまうだけだ。どうすればいいと思う」
よほど困っているのだろう。
誇り高いエルフが、普段は蔑んでいる人間に、どうすればいいか質問してきた。
「まだ何とか助けたいと思って、七属性の魔法陣を築かないようだが、ここはまず混沌に魔力を奪われ取り込まれないように、先に混沌を終わらせるべきだろう」
「七つの魔法陣を築き、混沌を抑え込んでから化物を倒せと言うのだな」
「そうです。余裕を持って先に魔法陣を築き、消耗した魔力を回復させ、そこから攻撃を開始するのが一番安全な方法でしょう」
「人間も手伝ってくれるのか?」
「いいですよ。あのような生き物を野放しにできませんから」
ルイが族長と話し、色々と具体的な方法を話し合っていると、見張りに残したエルフが慌てて駆け込んできた。
「族長大変です!」
「それほど慌てていったい何事だ?」
「化物が魔法陣を書いています。大地から魔力を集める魔法陣を書いています!」
「なんだと?!」
「若様。もはや放っておけません。私に倒せと命じて下さい」
「やれやれ、しかたありませんね。これ以上強くなると厄介です。私たちで倒させて頂きます」
「なんだと? あれをたった二人で倒すと言うのか?!」
族長が驚くのも当然で、普通人間の魔力や魔法は、エルフの十分の一程度と思われているので、百人を越えるエルフでも勝てなかった化物に、人間二人だけで勝てると言うのは、妄言としか言えない事だった。
ただ取り込まれてしまっただけならよかったのだが、事もあろうに混沌に取り込まれた魔力を、異形の化け物が自分の魔力にしてしまったのだ。
「族長。しばらくはあの場所から出てこられないようだから、一度休憩して話し合ってはどうか?」
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よほど困っているのだろう。
誇り高いエルフが、普段は蔑んでいる人間に、どうすればいいか質問してきた。
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