大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第46話魔斧槍(ハルバード)

「私も欲しい! 忠誠、誓う」
「分かったよ。オリビアは大好きだから、武器だけではなく防具も特別製の物を作ってあげるよ」
ルイがギースに魔槍を作ってあげると、オリビアも魔力が付与された武器を欲しがり、忠誠どころか身体さえささげかねない勢いで詰め寄ってきた。
ルイは多少慌てたし心も動いたのだが、母国で待ってくれているガブリエラ公女の事を想い、ぐっと我慢するのであった。
それにもともとオリビアが魔力に開眼しなかった時には、魔力を付与したハルバードを作ってあげるつもりだったので、いまさらそれを恩に着せるのも気が引けたのだ。
そしてオーランド王国の魔境では、以前からルイが欲しかった粘土が大量に埋蔵されていたので、遠慮せずに全て魔法袋に収納してしまった。
もちろん粘土だけではなく、価値のある貴金属も全て魔法袋に収納したが、オーランド王国は貴金属が埋蔵されているのを知らないし、何より発掘するだけの技術も魔力もないのだ。
粘土を手に入れたルイは、何十もの魔法を組み合わせて、ダイヤモンドよりも硬い陶器を薄く焼き上げ、その両面に柔らかく粘りのある金属を張り付けるという事を何千層も積み重ね、固く切れ味があるのに折れ難く欠け難いセラミックの刀身を創り上げた!
その刀身も刀・剣・槍先・斧槍(ハルバード)などの武器によって、心金・棟金・刃金・側金の4つの部分によってセラミックと軟鉄の配合や厚みを変え、最高の硬度と柔軟性を兼ね備えた武器を創り上げた!
だがそのような武器をこの世界に広めるのは、新たな争いを引き起こしてしまうので、自分の魔法袋の死蔵することにした。
だからオリビアに与えた魔斧槍は、レイラに与えた魔剣と同じ作り方の斧槍と防具で、それぞれに何十もの魔法陣が幾層にも刻み込まれており、美しく散りばめられて埋め込まれた魔晶石の魔力を使い、オリビアに魔法の加護を与えるのであった。
ルイがオリビアに魔斧槍を与えて、その重さや重心の位置がオリビアに適切かを確認する為に、一緒に魔境で戦って確認することにした。
もちろん魔境に入る前に、ダイが対戦相手となり使用訓練をしたのだが、鉄性の槍で普通に討ち合っていた。
ただダイ以外の人間が討ち合っていたら、オリビアが渾身の力で討ちこんだハルバードを受けた時点で、槍がへし折れているだろう。
何の魔法的支援も受けないで普通の状態で、並みの武器を使って白銀級冒険者の強さにまで実力を上げたオリビアが、ルイが創り上げた魔力を帯びたハルバードを使うのだから、その実力はどれほど向上したことだろう!

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