大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第33話連戦

ルイが次に連れてきたのは、魔猪:ビッグボアだった!
以前ルイが倒した普通の獣の猪は銀級だと思われるが、今回は魔に魅入られ魔境で完全に魔物化した猪で、中でも特に強大になっていた。
体長三百八十九センチメートル・胸囲二百五十八センチメートル・鼻先から後足の蹄まで四百七十三センチメートル・体重千七十七キログラムもの巨体で、その突進力を生かした攻撃は、ミスリル銀のプレートメイルを貫通するほどの強度を誇る牙と相まって、比べようもないものとなっていた。
そんなビッグボアであったが、ビッグタイガーと同じように本能で魔剣の恐ろしさを感じているようで、なかなか攻撃をしかけてこなかった。
そこでレイラは誘いをかける事にして、背中を向けて少し逃げるマネをした。
魔物になったとは言え、元の獣の習性には影響されてしまうので、ビッグボアはついレイラを追いかけて攻撃しようとしてしまった。
いったん突進を始めたビックボアは止まることが出来ないので、直ぐに振り返ったレイラは冷静にビッグボアの攻撃を見て、身体強化魔法と支援魔法で早くなった自分の動きで避けられると確信した。
その上でビッグボアが方向を変えられないように、ビッグボアの左右に土を圧縮強化した岩盤製の槍を下から生やせして、右にも左にも逃げられないようにした。
その上で自分も、ビッグボアの攻撃を受ける直前にサイドステップ足法で攻撃を避け、魔剣をビッグボアの眼から脳にかけて突き刺した!
一戦目のビッグタイガーに続いて二戦目のビッグボアも簡単に狩ったように見えたので、観戦していた冒険者や老人や孤児はレイラの強さに拍手喝采していた。
レイラ自身は一戦目よりは冷静に対処できたものの、二戦目も紙一重の状態だったので、実際には全身が震えそうな恐怖を味わっていた。
だがそんなレイラを休ませてくれるようなルイではなかった。
「よくやったね、では次の相手と修練してもらおう」
ルイの言葉に恐怖したレイラだったが、三戦目の相手は二戦目と同じビッグボアであったので、同じ戦い方をすればいいので少し安心できた。
二戦目も実際は紙一重の差だったので気を抜く事などできないが、それでも初めての相手ではないので少しは気が楽だった。
二戦目と同じ戦法で三戦目のビッグボアを狩ったレイラに対して、四戦目・五戦目・六戦目と同じビッグボアを対戦相手に出してくるルイであった。
だがルイには考えがあり、疲労で何も考える事ができなくなっても、無意識に同じ戦法・秘剣を繰り出すことができるように、身体に叩き込もうとしたのだ。
そしてレイラは同じビッグボアと七戦・八戦・九戦・十戦と戦う事で、白銀級に対する恐怖もなくなり、強大な魔物であろうと冷静に戦えるようになっていった。

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