大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第24話クリューサーオールとペーガソス

振り返ったダイの眼には、全ての血液が出た後の頚から、翼のある猪:クリューサーオールと、翼のある馬:ペーガソスが生まれるのが映った。
伝承では、メドゥーサの血液からクリューサーオールとペーガソスが産まれるとあったので、全ての血液を魔法袋に入れたので、クリューサーオールとペーガソスは、血液を魔法袋から出した際に生まれるものだと、ダイは思っていたのだ。
ダイはクリューサーオールとペーガソスが、母親の敵を取るために襲い掛かってくるかと身構えていたのだが、逆に甘えるように近づいてきた。
生れ出たばかりのモノ、しかも自分を母親のように慕う幼い生き物を、無暗に殺せるほどダイは無情ではなかった。
仕方なくダイは、クリューサーオールとペーガソスを連れてルイの所に戻っていった。
「それでメドゥーサはその場に残して来たんだね」
「はい、若様」
「メドゥーサなら何度生き返っても倒せるかい」
「それはお任せください。メドゥーサの血で死者を生き返らせることができるか、メドゥーサ自身を使って試されるのですか」
「ああ、母親を殺されたクリューサーオールとペーガソスが可哀想だよ。母親を殺したダイを母親のように慕っているのを見るのは、いくら何でも耐えられないよ」
「そうですね。それは私も胸が痛みます」
ダイがクリューサーオールとペーガソスを連れて帰ったことに驚き恐れている老人と孤児たちに、銅級の蛇型魔物を持たせ、レイラに率いさせて冒険者ギルドに換金に行かせた。
その間にルイとダイは、今度は一緒にメドゥーサの遺体のある所に行った。
殺されて間がなかったことがよかったのか、それともメドゥーサの遺体に残る魔力のお陰か、まだ遺体掃除の虫や小動物に食べられていなかった。
さっそくメドゥーサの右血管から出た血液をメドゥーサの遺体に注ぎかけたのだが、1L程度かけても蘇らなかった。
「蘇らないですな」
「血をすべて失っているから、銅級の魔物を狩った際に手に入れた血液を飲ませてみたらどうだろうか?」
「試してみます」
「別の種族の血液だと効果がないかもしれないから、蛇か魔族の血液を飲ませてくれ。ああ、だが同じ魔族の血を飲ませる吸血行為はちょっと気味が悪いから、最初は蛇の血で試してくれるかな」
「分かりました。そのようにいたします」
ルイとダイは色々と相談して、さっき狩ったばかりの蛇型魔獣の血液をメドゥーサの口に注ぎ、1L2Lと飲ませていった。
メドゥーサの喉が動き、ゴクリゴクリと蛇型魔獣の血液を飲むうちに、真っ青だったメドゥーサの肌が生気を取り戻し、ドクンドクンと心臓が動き出した!
メドゥーサ右生血の効果が証明され、メドゥーサが生き返ったのだ!

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