第89話転売

「一朗君、予定通り貨幣の鋳造が進んでいるわ」

「現金を払わずに、地金と物々交換できるのは助かります」

「政府が後押ししてくれているから、色々な規制は突破できるけど、その分賄賂を要求して来る人もいるから、絶対騙されちゃ駄目よ」

「分かりました、絶対不義不正には加担しません」

「油断して隙を見せてしまったら、Ｔ国やＫ国だけでなくＡ国も介入しかねないから、重々気をつけてね」

「姉さんも身辺には気をつけて下さい」

「分かっているは、ちゃんと後身辺警護の人員を増やしたわ。それで地金の売買価格と貨幣鋳造の大体の見積もりを送るわ」

「造幣局での製造原価は５円でしたよね？」

「ええ、造幣局が諸外国の貨幣製造を入札した時の価格と、日本の硬貨を製造する時の原価を参考にして算出した額よ」

「買い取り価格」
粗銅　：１０トン×１ｋｇ７６０円＝７６０万円
粗鉛　：１０トン×１ｋｇ３１２円＝３１２万円
粗亜鉛：１０トン×１ｋｇ３７９円＝３７９万円

「精錬後抽出された金銀」
金：１・５ｋｇ×５１３１＝７６９万６５００円
銀：１５ｋｇ×６９・６６＝１０４万４９００円

「金と銀は銀行の貸金庫に保管するのでしたね？」

「倒産したり合併併合されて売却された、元銀行の建物を購入して大金庫を利用する計画もあるわ」

「それだと資金が掛かり過ぎませんか？」

「そうでもないわ、元相互銀行や信用金庫・信用組合の建物で再利用されている物件は有るし、農協の合併で使われずに放置されている物件も多いわ。そんな建物なら、政府の後押しで格安で借りれる可能性もあるわ」

「分かりました、その辺は姉さんにお任せしますが、その為に資金の調達額を増やさないといけませんね」

「異世界の銭が爆発的に売れているんでしょ？」

「はい、それはそうなんですが、何で売れているのか理解出来ません」

「少しでも異世界の雰囲気を感じたいのかもしれないわね」

「銅貨１枚が１００円で売れていますが、送料がこちら負担の銅貨５０枚入り５０００円のセットが１番売れています」

「１００万セット売れているんだよね？」

「ナンバリングした保証書を入れているのが安心感があるのかもしれませんが、世界的な規模で売れています」

「それだけで５０億円だよね、それに動画配信収入も５０億円を超えたんだよね」

「はい、工芸品や衣服なども結構売れています、特に地球に存在しない生物の骨や毛皮を入札すると、軽く１憶２億を越えてしまいます」

「貨幣の鋳造は急がないから、その資金の半分を大金庫付きビルや店舗購入に充ててもいい？」

「大丈夫です、それで御願します」