「異世界動画で億万長者・ドローンの御蔭で助かっています」(神隠しで異世界に迷い込んだ人間不信の僕は、又従姉の助けを受けて異世界で生き残ろうと必死です)

克全

第83話結婚

龍子姉さんとの相談と言うか日本政府の意向を知って、ローゼンミュラー家にべアトリクスを正室に迎える決断をしたと伝えた。

表向きローゼンミュラー家は喜んでくれたのだが、ビアンカは7歳児ながら両親に対して不実だと抗議したそうだ。7歳児の婚約者から解放された事はうれしいような悲しいような微妙な感情だったが、ビアンカが魔道具を搭載したドローンの名操縦士なので、いつ闇討ちされるかと言うストーカー的な心配も少しある。

まあ俺から婚約破棄した訳ではなく、ローゼンミュラー家から婚姻政策上の都合で婚約者を変更したのだから、俺よりも両親や祖父の方への怨みが大きいから大丈夫だと言われたが、それでも女の怨みは怖いのだ!

まあローゼンミュラー家としても、アバーテ地区での交易が順調で、交易利益が莫大になっている。その利益の分だけ有力貴族に攻め込まれる危険が高くなり、俺と関係を強くしなければならない切実な事情があったのだ。

ビアンカも幼いとはいえ魔境に囲まれた中で生まれ育ち、貧乏騎士家の困難な状況で躾を受けていただけあって、家を保つための否応の無い政策だと言われて抗議を止めたそうだ。だがまあなんだ、そんな7歳児を正室に迎えるのは躊躇(ちゅうちょ)してしまう。

まあそんな状況下だったから、べアトリクスがサートウ領に輿入れして来たのは、龍子姉さんと話をしてから僅(わず)か3日後だった。

べアトリクスはアバーテ城攻防戦でも活躍したように、アーデルハイトに不測の事態があった場合に、嫡女としてローゼンミュラー家を継ぐべく鍛えられた女騎士だ。次女のバルバラが貴族待遇となる魔法使いの才能があったので、三女のべアトリクスが予備として幼い頃から厳しい騎士訓練を受けて来たそうだ。幸いべアトリクスはアーデルハイト程ではないにしろ、170cmと長身で剣の才能もあり、双剣使いとして騎士になってもおかしくないほどの剣士に育ったそうだ。

俺は家族を事故で失うまでは真面目一方な学生だったし、その後も長らく人間不信で引きこもって暮らしていたから、女性とお付き合いした経験が全くない。獣人家事奴隷(メイド)達は、いつでも性的実戦訓練させてくれると言うのだが、なかなかその決断はつかなかった。人型モンスターを殺す事には慣れても、女性全般は未だに大の苦手だ。

だが初夜で恥をかく訳にもいけないし、相手の女性を不安にさせる訳にもいかない。ビアンカが相手だと思っていたから、本戦はもっともっと先の未来の事だと悠長に構えてしまっていた。だから慌ててハウツー本とビデオや動画で勉強したのだが、そんな俺にローゼンミュラー家から衝撃の事実が知らされた!

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