「異世界動画で億万長者・ドローンの御蔭で助かっています」(神隠しで異世界に迷い込んだ人間不信の僕は、又従姉の助けを受けて異世界で生き残ろうと必死です)

克全

第76話克服

初の殺しを実行した後は、ほとんど夢遊病のような状態で殺しを続けた!

実際には主導的に行った訳では無く、人獣族が捕えた獣や魔獣をツェツィーリアの介助を受けて受動的に殺して行った。初殺しの衝撃で心が凍り付いていたので、夢遊病のような状態だったが、それこそ次々と止めの突きを心臓に突き刺し続けた。

後で聞いた話だが、俺は42頭の獣・魔獣・魔者を殺したそうなのだが、自分では何が何だかわからずツェツィーリアの介助のままに殺し続けただけだ。後半は介助されなくても殺す事も魔法を使う事も出来ていたようなのだが、全く覚えていない。

この日の夜から高熱を発し、三日三晩悪夢にうなされ苦しんだことだけは確かだ。

その三日三晩は獣人家事奴隷(メイド)隊が交代で介護してくれたのだが、その間にもいろいろと動きがあった。

T国の命じられるままにK国がY組戦闘部隊を次々とこちらに送り込んで来たのだが、全員がこちらにたどり着いた時には死んでしまったいた。もちろんその事実はローゼンミュラー家が俺に代わって動画投稿してくれていたのだが、これがまた再生回数を増やす事になり、俺の資金を増やしてくれる結果となった。

「イチロウ様、大丈夫でございますか?」

「ありがとうビアンカ、まさかずっと看病してくれていたの?」

「いえ、パソコンで魔境や領界線を監視をしなければなりませんし、ほとんど獣人家事奴隷が看ていてくれました」

「そんなに忙しいのに看病もしてくれたんだね、ありがとう」

「失礼したします、入ってよろしいでしょうか?」

ビアンカが俺を看てくれている間は、控えの間で気配を伺ってくれていたのだろう、寝室付きの獣人家事奴隷が声をかけて来てくれた。

「ああ入ってくれ」

「御着替えと御飲み物でございます、御飲み物は御主人様が御用意しておられた物を御持ちいたしました」

「そうかありがとう」

こうなることは予想出来ていたから、寝込んでいる間飲ませてもらう物として経口補水液をドローンで取り寄せておいた。色々なタイプの物が売り出されているが、『特別用途食品個別評価型病者用食品』の表示許可を受けている物を購入しておいた。これなら家臣領民が感染性腸炎・感冒による下痢・嘔吐(おうと)・発熱を伴う脱水状態になった場合にでも、点滴代わりに使う事ができる。いや、特別な器具を必要としないし、実際にアジア・アフリカの難民キャンプでは点滴より救命率が高かったはずだ。

俺は早く飲みすぎないように、心を落ち着けて経口補水液を1本飲み干し、獣人家事奴隷に現況を確認することにした。

「今どのような状況だ?」

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