「異世界動画で億万長者・ドローンの御蔭で助かっています」(神隠しで異世界に迷い込んだ人間不信の僕は、又従姉の助けを受けて異世界で生き残ろうと必死です)

克全

第73話初魔法

「睡魔!」

俺は日本から有精卵をドローンで輸送し、大々的に養鶏しているブロイラーに魔法をかけた!

幸いにして1発でブロイラーはその場で立ったま眠りについたが、眠りの深さを確認するために突(つつ)いてみたが、魔法のかかりがよかったのだろう倒れても寝ている。

「睡魔!」

ブロイラー程度で満足する訳にはいかない、もっと大型で抵抗力のある動物で練習しなければならない。だから俺は非常食用に捕え檻で飼育している鹿に睡魔の魔法をかけてみたのだが、鹿も1発で眠らせる事に成功した。

だが問題は敵意を持った訓練された兵士に通用するかだ!

やましい気持ちは全くないが、獣人家事奴隷(メイド)相手に睡魔の魔法をかけるのは少々後ろめたい感じがする。眠らせた後で、意識のなくなった獣人家事奴隷(メイド)に悪さをする心算は全くないが、やったからと言ってとがめられることもない。

いや、むしろ獣人家事奴隷(メイド)は、御手付きになる事を望んでいる素振りすらある。それはそうだろう、この世界での俺は既に男爵様なのだ。奴隷妾とは言っても俺の子供を産んだら、その子は領地を分けてもらって一門衆となるのだ。

当然奴隷身分から解放されて、領地持ち騎士の母親として生きて行ける。長く奴隷として生きて来て、辛酸(しんさん)を舐(な)めた者ほど積極的に誘惑して来る。でも、対人恐怖症が完全に癒えていない俺は、大人しく控えてくれている人間とはコミュニケーションが取れても、積極的な人間が迫って来ると逃げてしまうのだ。

有り難い事にツェツィーリアたちは全てを心得てくれているので、俺に負担がかからない獣人家事奴隷(メイド)を選抜してくれた。

「睡魔!」

「御見事でございます男爵閣下!」

「ありがとう! 5人全員1発で魔法の効果が現れた、後はもっと精神力の強い相手に効果があるかだな」

「いつ男爵閣下の故国から敵が襲ってくるか分からないと言う事ですから、味方の手練れ兵士に魔法を掛ける訳にはいきません。ここは半月期を利用して、さまよい暴れている魔獣や獣に魔法を試してみませんか?」

「う~ん、だが俺の心が魔獣や獣と対峙(たいじ)して持ちこたえることが出来るだろうか?」

「男爵閣下、どのような魔獣であろうと閣下に指1本触れさせたりしません、我ら姉妹を信じて下さいませんか?」

「ツェツィーリアたちが必ず護ってくれるから、安心して魔法に専念しろと言うことだな?」

「はい! それに我らだけではありません、新たに志願してきた人獣族は全員命を投げ出して閣下を御守りさせていただきます」

「土地を与えて騎士に取り立てると言うのは、それほど人獣族には重要な事なのか?」

「魔獣と人間に挟まれて暮らす人獣族は、僅かな土地を護るために、同じ人獣族と殺し合わねばならないくらい追い詰められているのでございます。そんな状況にあって、食糧と武器を支援して下さった上に領地を与えて下さる男爵閣下は、我ら獣人族の希望でございます」

「分かった、御前たちを信じて実戦訓練に挑戦しよう」

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