王家を追放されたわけじゃないけど、世直しすることにしました。

克全

第58話奴隷狩り2

「うぇ~ん、うぇ~ん、うぇ~ん」
「だいじょうぶだよ! なんのしんぱいもいらないよ」
「うぇ~ん、うぇ~ん、うぇ~ん」
「おなかがすいているの? これたべる?」
「うぇ~ん、たべていいの?」
「たべていいよ」
古株の奴隷の子供が、新しく奴隷になった子供をあやしている。
確かあの新しい子は孤児だったはずだ。
父親がネッツェ王国への盗賊行為の途中で殺されていたはずだ。
母親は夫がネッツェ王国に送り込まれている間に、イマーン王国から派遣された専従兵に乱暴され、それを苦にして狂死してしまったはず。
助けた時には餓死寸前だったが、何とか助けることが出来た。
「もう何の心配もいらないぞ。これからは飢えることもないし、他の国に略奪に行く必要もないぞ」
新たに集めてきた奴隷達に、古株の奴隷達が今後の事を説明している。
今回の奴隷狩りは、広く迅速に行う事になった。
ネッツェ王国が反攻を予定している領地は、イマーン王国との浅い国境線に限られていた。
ネッツェ王国にしたら、国境から奥深くまで入り込むのは経費も掛かり危険も大きくなるから、採算の取れる範囲の反攻なのだろう。
だからその領域にあるイマーン王国の村々を、急ぎ襲って村人を確保した。
だが彼らを収容する安全な城がなかったので、新たに城を築くことにした。
ダラム城に続いて王都級の巨大なアルタス城を築いてはいたが、ネッツェ王国とイマーン王国の両国に睨みを利かせるために、国境線に沿って長く城を築いた。
ラボック城はネッツェ王国に俺の実力を知られないように、強固な砦程度に抑えた縄張りになっている。
ダラム城とアルタス城は、一万人の民が籠城しても百年は自給自足出来る城を目指した設計になっている。
デートン城、ルイビル城、サバナ城、メーコン城に関しては、今のところ守備だけを重視しており、自給自足は目指していない。
兵糧に関しては、長期保存が可能な穀物と干肉に塩などを備蓄しており、一万人が一年間籠城できる状態してある。
だが実際に城にいるのは、二百の冒険者兵士と二千人の奴隷だけで、一万頭の家畜を飼うことで、自給自足が出来る状態にしている。
ここまでした理由は、助けたイマーン王国の民の人数が、想定を遥かに超えた三万人に達したからであった。

ラボック城:ネッツェ王国内に築いたアレクサンダーの城・野戦砦程度
ダラム城 :イマーン王国内にアレクサンダーが最初に築いた城
:本丸・三重の星形要塞・八個の五ノ丸外城
アルタス城:本丸・三重の星形要塞・八個の五ノ丸外城
デートン城:本丸・星型要塞の二ノ丸
ルイビル城:本丸・星型要塞の二ノ丸
サバナ城 :本丸・星型要塞の二ノ丸
メーコン城:本丸・星型要塞の二ノ丸

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