初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第215話リュウとの交渉

(おいミノル、そろそろ余も姿をあらわしていいだろ)

(駄目だ! リュウの凶悪な姿を見たら、オードリーが死んでしまう!)

(余の神々しい姿を凶悪と言うのは、ミノルと言えども許し難いぞ!)

(だったら、辺境伯軍やビランの領民がショック死したのは何故(なぜ)だ?!)

(それは人間が弱すぎるからだ、余の責任ではない)

(オードリーはごく普通の人間なんだ、リュウの姿を見たら死ぬかもしれん。どうしても俺の飯が喰いたいと言うのなら、姿も気配も消したままだ!)

(うぬぅぅぅぅぅ)

(うぬぅぅぅぅぅじゃないよ、分かってるのか? もしオードリー死んでしまったら、例え蘇生できたとしても、絶対にリュウに飯を喰わせんからな! 俺だけじゃないぞ、セイや白虎はもちろん、開拓村の住民にも作らせないからな!)

(うぬぅぅぅぅぅ)

(だから、うぬぅぅぅぅぅじゃないと言ってるだろ! ちゃんと約束しろ!)

(分かった、オードリーの前では、ほんの少しの気配も漏らさないし、姿もあらわさん。それで飯を喰わせてくれるのだな?!)

(よし! 原初の竜として誓ってくれたから、俺もご褒美(ほうび)をあげようではないか)

(ご褒美? いくらミノルとは言え、原初の竜である余が、人間にごときにご褒美をもらうのか・・・・・)

(嫌ならいいんだよ、嫌なら。今回は特別に、祖国から取り寄せた料理を、腹一杯喰わせてやろうと思ったんだけど、嫌なら別に構わないよ)

(待て! 待ってくれ! ミノルの故国の料理を食べさせてくれるのか?! 腹一杯食べさせてくれるのだな!)

(ああ食べさせてやるぞ、エビマヨもエビチリソースも食べさせてやる。何なら生ハムやロースハム、チーズの塊はもちろん、それらを使ったピザだって喰わせてやるぞ)

(約束する、原初の竜として誓おうではないか。オードリーの前では、絶対に気配を漏らさんし、姿もあらわさん!)

(そうか、だが人間ごときと言われたのは少々腹が立ったな)

(うぬぅぅぅぅぅ、余に謝れと言うのか?!)

(いや、謝ってもらわなくてもいいんだが、今までより多めに仕事を手伝って欲しいな)

(余に何をさせようと言うのだ?)

(いやぁ~、リュウの力からすれば、些細(ささい)な仕事なんだよ)

(だから何をすれば、ミノルの故国料理を喰わせてくれるのだ?!)

(今日創り出していた、領界線の水濠と城壁を、リュウ1人で創り出して欲しんだよ)

(うぬぅぅぅぅぅ、あんなチマチマした事を、余にやれと申すか!)

(リュウの魔力量からすれば些細(ささい)な仕事だろ? 俺の料理が対価なら安いもんだと思うがな)

(魔力量から言えば些細(ささい)な量だが、余は破壊は得意だが、チマチマと創り出すのは苦手なのだ!)

(だったら故国料理の件はなかったことにしよう)

(分かった! 創り出せばいいのだろう、創り出せば!)

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