初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第211話築城

「ミノル、ここは思い切って、誰も入ってこれないような城壁を創り出したらどうだ?」

「それはいいんだけど、あれだけ大量の解放奴隷やその家族を抱えて、ちゃんと喰わせていけるかな?」

「あのなぁ~ミノル、ミノルのアイテムボックスに、どれくらい大量の肉が蓄えられていると思っているんだ?」

「だがセイ、肉ばかりじゃ身体に悪いだろ」

「そんな事ないみゃ、肉は最高ミャ」

「そうだぞ主、肉さえ食べていれば何の問題もない」

「あのねアグネス、アグネスや白虎は肉食だから大丈夫だけど、人間は野菜や果物も食べないといけないんだよ」

「嘘を言ってはいかんぞ、ミノル。ミノルの故郷でも、肉ばかり食べている民族がいたではないか」

「それはそうだけどさ」

「どうしても必要だと言うのなら、唸るほど金はあるんだから、穀物も含めて野菜や果物は買えばよかろう」

「まあそれはそうなんだけどさ、俺やセイがいなくなった、直ぐに餓えてしまうようじゃ困るだろう」

「ミノルは彼らを見捨てるのか?」

「いや、せっかく解放したんだから、見捨てる心算はないけど、どうしてもここに居れない事が起こるかもしれないじゃないか」

「ミノル、分身体を使うかどうかは別にして、リュウや白虎を使って、解決できない事などないぞ」

「それはそうなんだけどさ」

「ミノル様、せっかく助けてあげたのですから、先々の事はともかく、今は精一杯手助けしてあげればいいのではありませんか?」

「そうか、そうだね、オードリー言う通りだね」

「やれやれ、もうオードリーの尻に敷かれているのか?」

「うるさいな! 奥さんの話を聞いてどこが悪いんだ!」

「悪いとは言っておらんよ、それよりも話が決まったのなら、さっさと濠と城壁を創り出すがよい」

「分かったよ、じゃあアグネスも魔法の練習として、俺と同じ事をやってみなさい」

「分かったみゃ!」

さて、俺たちが辺境伯の領都で暴れた結果、同じく脅し付けたゾッティ伯爵との領界線に、広大な領地を割譲させることに成功した。

まあほとんどは、魔獣やモンスターが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する、魔境と言うしかない地域なのだ。

だがその広大さは、辺境伯が領有していた領地の1/3と、ゾッティ伯爵が領有していた領地の1/8と言う広さだった。

まあジャイアント・レッドベアーが住む、国境線側はゾッティ伯爵に残した。だがもうジャイアント・レッドベアーを狩れるような冒険者は、誰1人ゾッティ伯爵の領内に残っていない。全員俺が手に入れた領地に築く、冒険者村に移住している。

猛者ぞろいの冒険者村とは言え、多くの解放奴隷とその家族を受け入れたので、早々に濠と城壁を築く必要があるのだ。

領界線を明確にするためにも、通常の伯爵領より遥かに広大な領地全体を覆う、圧倒的な濠と城壁を築く必要があるだろう。

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