初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第204話焼餅

ビラン近郊秘密キャンプ

「主、そいつは何者だ?」

「紹介するぞ、今日から一緒に暮らすことになった、俺の妻のオードリーだ」

「妻? 主はそいつと番(つがい)になるのか?」

「番(つがい)とは何だ番(つがい)とは! 夫婦と言え!」

「それで他にはいないのか?」

「他にいないのかとはなんだ、俺が節操のない女誑しみたいじゃないか!」

「女誑しかどうかは知らんが、主ほどの実力者なら、ハーレルムを作るのが普通だろう?」

「俺はそれほどマメじゃないぞ」

「だが強い雄が多くの子孫を残す事で、その種族が強くなり生き残ることができるのだろ? 今のままでは、何(いず)れ人間は滅ぶのではないか?」

「馬鹿なことを言うな、この世界には原初の人間がいて、人間が繁栄するようになっているんだろ!」

「それはあくまでも、他の原初を撃退できる実力があっての話だろう。そうじゃないのか?」

「そんな話はもういい、とにかくここにいるオードリーだけが俺の妻だ、ちゃんとあいさつしろ!」

「ちぇ! 俺は白虎だ」

(白虎! 主人の奥様にその言い方は何だ!)

(ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!)

「主の従魔の白虎と言います、よろしくお願い」

「オードリー? 大丈夫かい?」

「え、あ、はい、でも、あの、このモンスターは、まさか、あの、聖獣ではないですよね?」

「あん? 俺はまぎれもない聖獣だぞ!」

「そんな、いくらミノル様でも、伝説の聖獣を従魔にされてるなんて・・・・・」

「まあ驚くのは仕方ないんだろうけど、聖獣だからこそ、実力さえあれば話し合いで色々決められるんだよ。まあ白虎の事は、おいおい納得してくれればいいよ。それでここにいるのが、俺が可愛がっているアグネスだ」

「ふん! そいつは嫌いミャ! あっち行けみゃ!」

「おいおいおい、アグネス、そんな事言っちゃだめだよ。これからみんなで仲良く暮らすんだよ」

「そいつ嫌いミャ! 主と一緒に寝るのはアグネスみゃ! そいつは邪魔ミャ!」

「そっか、アグネスちゃんもミノル様が大好きなのね」

「主はアグネスと一緒に寝ていたミャ! お前のせいで一緒に寝てくれなくなったみゃ! 全部お前のせいミャ!」

(これは恋の鞘当てと言うべきかな?)

(妙なチャチャは入れないでくれ、それでなくても頭痛いんだから)

(主はモテるな)

(白虎は黙っていろ!)

(ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!)

(白虎のチャチャは横に置いておくにしても、どうするつもりだミノル?)

(どうもこうもないよ、獣形態のアグネスを妻にする気にはならないよ。それにアグネスは、俺にとったら子供のようなものだよ)

(はっきりそう言ってやればよかろう)

(そうだな、それがいいな)

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