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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第189話リュウの出現

ローファン王国・ビラン街:

「なんだと?!」

ギルドマスターは思わず声を出してしまったが、正気を保っているだけで優秀な方だ。ゾッティ伯爵や大半の警備兵は、失神して失禁脱糞(しっきんだっぷん)してしまっている。それは冒険者も同じで、いま街の残っているような冒険者では、とても正気を保てなかった。

ゾッティ伯爵家の親衛隊であっても、正気を保っているのは5人に過ぎない。その5人も、余りに強烈な威圧感と恐怖で、身体が動かなくなってしまっている。

原初の竜が現れると言うのは、その圧倒的な存在感で、周囲の生物を圧し潰す事もある重大事件なのだ。だが普段は、その世界を支配する原初の存在に遠慮して、自分の気配を全て消し去るのだが、今回は脅迫(きょうはく)が目的なので、ほんの少し気配をもらしたのだ。

だがそんな少しの気配であっても、人間には強烈な影響があり、多くの人が失神してしまった。いや、本当は大量のショック死を出してしまったのだが、リュウが慌てて蘇生魔法を使って生きかえらせたのだ。

今回は領主一味と冒険者ギルドだけを脅(おど)してくれと、セイとミノルに依頼されていた。報酬として、ミノルの世界の料理を食べさせてもらう事になっていたから、2つ返事で応じたのだ。だが市民を殺してしまったとあっては、料理を食べさせてもらえないかもしれない。しかたなく、人間ごときに使うのは嫌だったが、蘇生魔法を使ったのだ。

この世界を統(す)べる原初に人間への配慮よりも、ミノルの料理を食べたいと言う思いの方が上だった。原初の人間が聞いたら、それこそ争いの元になりかねない事なのだが、それがリュウの偽(いつわ)りのない本心だ。

(く! なんと言う威圧感だ、こんな存在がこのようにいたのか!)

ゾッティ伯爵家親衛隊のヴィルナは、この威圧感が制御したわずかなものだとは思わず、必死で意識を保とうとしていた。伯爵を護るために身体を動かそうとするが、ピクリとも動けない。

(よく聞け、愚かで矮小な人間どもよ。我が盟友ミノルに逆らうものは、余に敵対するものと考える。そのような愚か者は、余がことごとく喰い殺してくれる)

リュウはこの脅し文句を、意識を保っている猛者に送ったのだが、リュウの念話を送られた方はたまったものではない。圧倒的な強者の力を意識レベルに送り込まれ、何とか正気を保っていた猛者も、全員失神してしまった。ついでに言えば、見事に失禁と脱糞もしてしまった。

(人間とは何と脆弱な存在なのだ、力加減が難しすぎるではないか。これではセイやミノルに文句を言われてしまう。仕方がない、もう1仕事してやるか)

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