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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第177話貧民街調査

ローファン王国・ビラン街:貧民街

「ここに住んでいるのか?」

「はい、ミノル様」

「いったい何人いるんだ?」

「17人です」

「トイレとか食事はどうしてるんだ?」

「トイレは奥に共同トイレがあります。食事は1階の手前に共用の竈があるので、それを使用しています」

「竈はあっても食材はどうしているんだ?」

「街の雑用や肥え運びをしてお金を貰って、それで買っていました」

「肥えって、糞尿のことだな?」

「はい、私もようやく身体が出来て、肥え運びが出来るようになりました」

「そうか、もっと小さい子達は雑用で食料を買って暮らしていたんだね?」

「はい、でもそれくらいでは餓えてしまうので、大人や年長の子供達が貰ったお金で、小さい子達を食べさせてました」

「街からの援助はないんだね?」

「何もせずにお金をくれる事はありませんでした。街の大人たちやギルドからの仕事をして、その報酬としてお金を貰っていました」

(冒険者ギルドのマスターが言っていた通りだな)

(そうだね、明確な奴隷制度はないものの、実質的な奴隷待遇だな)

(それでどうするんだ?)

(子供達を支援しよう、そうしないと奴隷的な待遇はなくならないよ。噂では幼児や小児の性的虐待もあるようだから、俺の不完全な良心回路でも許さない)

俺はセイと心の中で会話して、今後の方針について確認した。

「そうか、今日からは俺の商会で働いてもらうから、肥え運びの出来ないような子供は全員集めてくれ」

「全員ですか? 結構な人数になりますが、全員雇えるのですか?」

「雇えるよ、ジャイアント・レッドベアーを1匹売れば、全員を雇うくらい簡単だよ」

「そうなんですか?!」

「ああ任せろ」

(なんで肥え運びが出来る人間は除外するんだ?)

(糞尿を運ぶ人間は残しておかないと、街中が糞尿に溢れてしまう。そんな事になったら、簡単に街に疫病が蔓延してしまうからね)

(なるほど、そう言う事なら理解できるが、大人の方が力仕事が出来るだろう)

(それはそうだけど、大人は自分で生きられると思うから、子供が減った分も頑張って街の為に働いてもらうよ)

(だがそれでは、実質的な奴隷を認める事になるぞ)

(徐々に変わっていくさ)

(どう言うことだ?)

(俺のところで働く道が出来たから、街の雑用をする人間が減るからね)

(なるほど、辛く汚く危険な仕事を受ける人数が減るから、報酬が高くなると言いたいのだな)

(そう言う事だよ。最も弱者である子供達を俺が雇えば、安い3K仕事を受ける人間が減る。そうなれば、3K仕事は駆け出しの冒険者の仕事になるさ)

(今と変わらない気もするが、冒険者にもなれない人間は、ミノルが全て雇用するのだな)

(ああ、今は子供達だけだけど、大人でも虐げられる人が出るようなら、その人たちも雇用するさ)

「ミノル様、今ここに残っていた子供達を連れて来ました」

俺の言葉を受けて、ミノル商会で見習ウエイターにする予定のディルクが、同じ建物に住んでいる子供達を集めてきた。

「そうか、この子達は貧民街を安全に移動できるのか?」

「中には危ない所もあるんですが、そこにはいかないように普段から言い聞かせています」

ディルクは貧民街では名前が売れているようで、多くの子供達を庇護していた。

ディルクは中堅どころの冒険者の子供だったのだが、冒険者だった両親がモンスターに殺されてしまい、10歳でいきなり孤児になってしまったそうだ。

だがディルクには持って産まれた魅力があるようで、有力な冒険者にも可愛がられ、色々な雑用を依頼されていたようだ。しかも通常の小銭だけではなく、チップとして多くの副収入もあったようで、自分と仲間の子供達が生きて行けるくらいは稼いでいたそうだ。

いやこれはディルクの魅力だけではなく、亡き両親の遺徳なのかも知れない。両親の事を知っている冒険者が、収入の好い時にチップを渡していたのかもしれない。

「ふむ、だったら俺も同行するから、ディルクが声をかけれる子供達の所に行こう。ディルクのグループ以外にも、子供達のグループはあるんだろ?」

「はい、あります。でも彼らは、悪い大人たちの下にいるので、ミノル様のところで雇うと何をするか分かりません」

「そんな奴らがいるのか? 冒険者ギルドのマスターはそんな事は言っていなかったが?」

「大きな犯罪はしていませんが、売春を斡旋したりしています」

「なるほどね、犯罪ではないけれど、悪質な仕事をしているんだね。だったらディルクの仲間の女の子が、悪い大人たちに攫われたりしなかったのかい?」

「亡くなった僕の両親が冒険者で、僕が現役冒険者から可愛がられているのを知っているので、表立って攫ったりはしませんでした」

「それでディルクを頼る子供達が増えたんだね?」

「はい、僕の仲間になれば、無理矢理売春させられる事はないですし、ミスしたからと言って、殴られたり蹴られたるする事はないですから」

「そうか、だったらディルクが仲間に入れていいと思う子だけ、俺に紹介してくれ」

「分かりました!」

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