初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!
第171話まずは食事から
領主支配下の高級料理店:ミノルとオードリー
「好きな物を頼んでくれていいよ」
「ありがとうございます! ジャイアント・レッドベアーのサーロインステーキをお願いします」
「オードリーは1人前でいいの?」
「あのぉ~、後でタンステーキの頂きたいんですが?」
「いいよ、焼き方はどうする?」
「どちらのもェルダンで食べたいんです」
「分かったよ、君、注文のお願いするよ」
俺の言葉を受けて、近くに控えていたウェーターが素早く近づいてきた。今のビランで、俺の顔と名声を知らない者などいないから、例え領主がオーナーの店であろうと、俺の機嫌を損ねる従業員など1人もいない。
「取りあえず、ジャイアント・レッドベアーのサーロインステーキとタンステーキを、この子と私に1人前づつ持ってきてくれ。追加はその都度注文させてもらうが、飲み物は何があるんだい?」
「正直に申し上げますが、ジャイアント・レッドベアー程の高レベルモンスターのステーキに合わせる御飲み物となりますと、ミノル様の御売りになっている焼酎でないと負けてしまいます」
「そうなのか? だったら焼酎を出してくれ」
「そう出来ましたらいいのですが、この店であっても仕入れられる焼酎の量には限りがりまして」
「ふむ、だがだからと言って、自分の焼酎をここで飲む訳にはいかんだろう?」
「この部屋はVIPルームとなっておりますので、こちらが御用意できなかったお酒を、お客様が持ち込まれるのは仕方がないと言う事になっております」
「なるほどね、ゾッティ伯爵閣下が持ち込まれるお酒は黙認すると言うルールが、元からこの店にはあるんだね?」
「はい、左様でございます」
「だったらグラスだけ用意してくれるかな、俺はオードリーの為にお酒を用意するよ」
「こちらの身勝手な言い分を御聞き届けて頂き、真に感謝いたします」
「なぁに、それくらい容易いことさ」
「ミノル様、何を飲ませていただけるのですか?!」
「そうだね、オードリーは何が飲みたい?」
「正直に言っていいのですか?」
「構わないよ、何でも言ってごらん」
「はなたれ焼酎が飲みたいです!」
(やはりそう言うと思っていたぞ)
(俺もそう言うと思っていたけど、ステーキに焼酎が合うのかな?)
(それは合うのであろうよ、そうでなければ毎晩毎晩白虎も酒を飲まんさ)
(それもそうだな、高レベルモンスターのレベル旨味に焼酒が負けるのなら、白虎も酒ではなく、リュウのようにスープをがぶ飲みするわな)
(リュウがいくら酒を寄越せて言っても、ミノルが金が無いの一言で却下しているではないか)
(そうだな、だからリュウが白虎から酒を奪うようになったんだったな)
(白虎がどれだけ泣きついても、ミノルは助けてやらんしな)
(それはセイも同じじゃないか)
(白虎は図に乗る性格だからな、少々痛い目にあった方がいいのだ)
(俺も少しそう思ったから、酒に関してはリュウの我儘を少しだけ見逃してやっているんだよ。それにリュウも全部取り上げる訳じゃなく、半分寄越せと理性的に言ってるからね)
「あの、気に障られたのでしょうか?」
「違う違う、グラスが来るまでアイテムボックスの中を確認していただけだよ。はいこれ、7年熟成酒粕焼酎と、荒濾過芋焼酎に米焼酎に、ちこり焼酎と黒糖焼酎ね。飲み足らなかったらいくらでも出すから、じゃんじゃん飲んでくれていいよ」
「はい! ありがとうございます!」
オードリーも喜んでくれているが、給仕の為に控えているウェイターとウェイトレスの4人が、それこそ目をむかんばかりに驚いている。
それもそうだろう、この「はなたれ焼酎」は、ドワーフ族だけに卸している特別な酒なのだ。いくら領主が支配下に置いている店でも、ドワーフから酒を奪って仕入れるなど不可能だ!
万が一領主自身がそれをしようとしても、実行したらドワーフ族の反乱を誘発すると、周りが絶対反対するだろう。そして反乱は確実に起こり、鎮圧できたとしてもビランは壊滅的な被害を被るだろう。
いや、反乱鎮圧など出来ないかもしれない!
酒に狂ったドワーフ族は、それこそ狂戦士と言うしかない存在だ。一騎当千のドワーフ族が、狂気にかられて潜在能力全てを発揮するのだ。ドワーフ族以外の冒険者を強制依頼しようとしても、ドワーフ族を恐れる冒険者の動員は難しいだろう。ゾッティ城の兵力だけで、狂戦士化した全ドワーフの攻撃を防げるわけがない。
だからこそ「はなたれ焼酎」は、ドワーフ族だけが飲める幻の酒なのだ!
他のドワーフ族に奪われる事も怖い為、全てのドワーフが、厳格な規制で守られた俺の委託の販売所(ここで争った場合は、はなたれ焼酎の販売を永遠に中止する)でだけ飲む。つまり売られて直ぐにその場で飲み干されてしまうのだ。
そんな「なたれ焼酎」が、1本どころか5本もテーブルの上に並んでいるのだ。価値の分かる人間なら、驚かないはずがないのだ。
「まあ食前酒にしたら酒精が強いけど、このまま飲むかい? それとも水かお湯で割るかい?」
「そのまま飲ませてください!」
「好きな物を頼んでくれていいよ」
「ありがとうございます! ジャイアント・レッドベアーのサーロインステーキをお願いします」
「オードリーは1人前でいいの?」
「あのぉ~、後でタンステーキの頂きたいんですが?」
「いいよ、焼き方はどうする?」
「どちらのもェルダンで食べたいんです」
「分かったよ、君、注文のお願いするよ」
俺の言葉を受けて、近くに控えていたウェーターが素早く近づいてきた。今のビランで、俺の顔と名声を知らない者などいないから、例え領主がオーナーの店であろうと、俺の機嫌を損ねる従業員など1人もいない。
「取りあえず、ジャイアント・レッドベアーのサーロインステーキとタンステーキを、この子と私に1人前づつ持ってきてくれ。追加はその都度注文させてもらうが、飲み物は何があるんだい?」
「正直に申し上げますが、ジャイアント・レッドベアー程の高レベルモンスターのステーキに合わせる御飲み物となりますと、ミノル様の御売りになっている焼酎でないと負けてしまいます」
「そうなのか? だったら焼酎を出してくれ」
「そう出来ましたらいいのですが、この店であっても仕入れられる焼酎の量には限りがりまして」
「ふむ、だがだからと言って、自分の焼酎をここで飲む訳にはいかんだろう?」
「この部屋はVIPルームとなっておりますので、こちらが御用意できなかったお酒を、お客様が持ち込まれるのは仕方がないと言う事になっております」
「なるほどね、ゾッティ伯爵閣下が持ち込まれるお酒は黙認すると言うルールが、元からこの店にはあるんだね?」
「はい、左様でございます」
「だったらグラスだけ用意してくれるかな、俺はオードリーの為にお酒を用意するよ」
「こちらの身勝手な言い分を御聞き届けて頂き、真に感謝いたします」
「なぁに、それくらい容易いことさ」
「ミノル様、何を飲ませていただけるのですか?!」
「そうだね、オードリーは何が飲みたい?」
「正直に言っていいのですか?」
「構わないよ、何でも言ってごらん」
「はなたれ焼酎が飲みたいです!」
(やはりそう言うと思っていたぞ)
(俺もそう言うと思っていたけど、ステーキに焼酎が合うのかな?)
(それは合うのであろうよ、そうでなければ毎晩毎晩白虎も酒を飲まんさ)
(それもそうだな、高レベルモンスターのレベル旨味に焼酒が負けるのなら、白虎も酒ではなく、リュウのようにスープをがぶ飲みするわな)
(リュウがいくら酒を寄越せて言っても、ミノルが金が無いの一言で却下しているではないか)
(そうだな、だからリュウが白虎から酒を奪うようになったんだったな)
(白虎がどれだけ泣きついても、ミノルは助けてやらんしな)
(それはセイも同じじゃないか)
(白虎は図に乗る性格だからな、少々痛い目にあった方がいいのだ)
(俺も少しそう思ったから、酒に関してはリュウの我儘を少しだけ見逃してやっているんだよ。それにリュウも全部取り上げる訳じゃなく、半分寄越せと理性的に言ってるからね)
「あの、気に障られたのでしょうか?」
「違う違う、グラスが来るまでアイテムボックスの中を確認していただけだよ。はいこれ、7年熟成酒粕焼酎と、荒濾過芋焼酎に米焼酎に、ちこり焼酎と黒糖焼酎ね。飲み足らなかったらいくらでも出すから、じゃんじゃん飲んでくれていいよ」
「はい! ありがとうございます!」
オードリーも喜んでくれているが、給仕の為に控えているウェイターとウェイトレスの4人が、それこそ目をむかんばかりに驚いている。
それもそうだろう、この「はなたれ焼酎」は、ドワーフ族だけに卸している特別な酒なのだ。いくら領主が支配下に置いている店でも、ドワーフから酒を奪って仕入れるなど不可能だ!
万が一領主自身がそれをしようとしても、実行したらドワーフ族の反乱を誘発すると、周りが絶対反対するだろう。そして反乱は確実に起こり、鎮圧できたとしてもビランは壊滅的な被害を被るだろう。
いや、反乱鎮圧など出来ないかもしれない!
酒に狂ったドワーフ族は、それこそ狂戦士と言うしかない存在だ。一騎当千のドワーフ族が、狂気にかられて潜在能力全てを発揮するのだ。ドワーフ族以外の冒険者を強制依頼しようとしても、ドワーフ族を恐れる冒険者の動員は難しいだろう。ゾッティ城の兵力だけで、狂戦士化した全ドワーフの攻撃を防げるわけがない。
だからこそ「はなたれ焼酎」は、ドワーフ族だけが飲める幻の酒なのだ!
他のドワーフ族に奪われる事も怖い為、全てのドワーフが、厳格な規制で守られた俺の委託の販売所(ここで争った場合は、はなたれ焼酎の販売を永遠に中止する)でだけ飲む。つまり売られて直ぐにその場で飲み干されてしまうのだ。
そんな「なたれ焼酎」が、1本どころか5本もテーブルの上に並んでいるのだ。価値の分かる人間なら、驚かないはずがないのだ。
「まあ食前酒にしたら酒精が強いけど、このまま飲むかい? それとも水かお湯で割るかい?」
「そのまま飲ませてください!」
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