初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!
第157話宿泊所確保とジャイアント・ホワイトホエールの解体
ナーポリ漁師ギルド本部
「いよいよですね、マスター」
「そうだな、だが王侯貴族の接待は任せたぞ」
「任せて下さいと申し上げたい所ですが、それは全て領主様に御任せして、僕は領主様とだけ話すようにします」
「そうか、それが1番だな」
リュウに恐竜卵料理を食べさしてから10日経ったが、ようやくナーポリの主要な王侯貴族が集まった。王族と権力者の日程調整に大混乱したそうだが、誰もが伝説のジャイアント・ホワイトホエールを観たくて、国王陛下の最短予定に合わせる事になったそうだ。
日程が決まれば、後は移動方法の確保となったが、常時高速移動が可能な人材を確保できている貴族ばかりではない。普段なら民間の移動魔法持ちを、権力に物を言わせて安価に一時雇用するのだが、今回はより強い権力を持った者が強制確保してしまっている。
その為、弱小貴族はもちろん中途半端な権力者では、ナーポリまでの移動手段を確保出来ない状態だった。
移動手段が確保出来たとしても、次に問題となるのは宿泊場所の確保だった。王侯貴族とその随行員が多かったため、いかに富裕を誇ったナーポリでも宿の数が足らなくってしまった。
ナーポリ城の部屋を全て清掃確保したものの、護衛の将兵中には、ナーポリ城外の民家に分宿する者さえ出てきてしまった。
それもこれも、最低位でも有力男爵、最高位では大臣公爵がナーポリを訪れる為、設備の整ったホテルから最低限の民宿まで、専門の宿泊施設は一杯となっているのだ。
俺自身はこの10日間をブラブラと言うか、時間を潰すような日々を過ごしていた。ダイオウイカを喰い尽くしたジャイアント・ホワイトホエールがナーポリに近づかないように、既に狩ってアイテムボックスに入れてダイオウイカを、ナーポリとは反対側に撒き餌した。
撒き餌につられたジャイアント・ホワイトホエールが、まんまとナーポリの反対側に移動してくれたので、ナーポリの危機は去ったと思う。もちろんついでに、ジャイアント・ホワイトホエールを結構狩らせてもらった。
他にも日課のように、他のホエール種を狩ったり、恐竜の卵や翼竜の卵を盗った。俺1人なら、何千年も朝食に困らない量の卵を確保出来たが、リュウが毎日食べに来たら直ぐになくなってしまうだろう。もっとも自分の食べる分の卵を持参しなければ、絶対に食べさせたりしないけどね。
あと行ったのは、ローファン王国・ビラン街に行っての酒の卸だ。ドワーフ族はもちろん、他の種族の酒好き冒険者も、在庫の酒類が底をつきそうになると、狂気にかられたように買いだめするそうだ。
どうやら在庫が少なくなるごとに、俺がどこか辺境に地で死んだと言う噂が流れるそうだ。そんな事になれば、もう2度と俺あ卸す酒が手に入らなくなるから、必死になって確保に走るらしい。
オードリーが調べてくれて分かった事は、どうやら俺の酒を扱う闇組織があるようだ。俺が卸した直後から人手を雇って定期的に酒を購入し、在庫が減ったころに噂を流し、闇相場で高値が付いたころに転売するそうだ。
権力者や金持ちが大量買いして、値段を釣り上げて転売しないように、1人が買える量を制限してはいたのだが、人手を使ってチマチマ買い溜めされてはどうにもならない。
それに転売の手先になる事で、冒険者になれないような女子供でも、少しは小遣いを稼げる体制が出来あがっていたので、無暗に潰す訳にもいかない。
取りあえず冒険者ギルドが抱えられるだけの酒を卸したが、ジャイアント・レッドベアーも確保しておきたいビラン冒険者ギルドとビラン商人ギルドでは、酒を抱えられる量にも限りがあった。
そこで解決策として、リュウを使って毎日ビランにも立ち寄り、1日で売れた酒を全部補充する事で、闇売買組織がもうからないようにした。身代わり購入で小遣い稼ぎしていた女子供に対しては、冒険者ギルドと商人ギルドに、何か仕事を与えるように強く強く要望した。今の両ギルドは、俺の強い要望を拒否出来る状態では無いので、何か仕事を創り出すだろう。
アムラ王国の見習村も、完全放置と言う訳にはいかない。セイの分身体がいてくれるとは言え、あまり表だって分身体に活動されては大問題になりかねない。
ダルダーロ一家やノーラパーティーが指導してくれているとはいえ、俺には見習を助けて見習村を設立した責任がある!
何より見習達をテトラ街屈指の冒険者に育てた、保護者としての責任は重い!
急激なレベルアップによって、見習達が驕り高ぶり、他人を害したり弱者を踏みにじるような者になった場合、責任を取らねばならない。いや、絶対にそんな者にしてはいけないのだ!
そこでレベリングを中止するくらい強くなった見習達の、その心の動きを見逃さないように、毎日顔を出して話をするようにした。彼らの言動に、僅かでも驕り高ぶりが無いか、毎日注意深く見守ることにしたのだ。
「「「「「おおおおお!」」」」」
「何と巨大なのだ!」
「これ以上近づけるではない! 陛下に何かあったらどうするのだ!」
「公爵様の申される通りだ、ロンドレア伯爵、冒険者にジャイアント・ホワイトホエールを遠ざけるように伝えよ」
王侯貴族の臨席準備がようやく整い、1時間遅れで始まったジャイアント・ホワイトホエールの公開解体だが、王侯貴族を牽制するために、彼らが恐怖を感じるほど近づけてやった。
全長60m体重1000トンの巨体を誇るジャイアント・ホワイトホエールが、それこそ自分達を圧し潰すかのように頭上に近づいてくるのだ。その恐怖感は、筆舌に尽し難いものだろうし、俺もそれを想定してこの行動をとったのだ。
一時的に王侯貴族も目前上空にまで移動させたジャイアント・ホワイトホエールを、その場で魔法を使って解体を始めた。莫大な量の血塊や巨大な肉塊を、王侯貴族の眼前にまで移動させ、彼らはもちろん護衛の将兵にも実力差を認識させた。
多少でも考える能力があったり、僅かでも実戦経験があれば、俺の圧倒的な魔力量と実力を感じることが出来るだろう。そうなれば、無暗に俺を怒らせるような真似をしないとは思うのだが、世の中には想像を絶するほどの愚か者もいる。そんな馬鹿が権力を握っていないとは言い切れないのが怖い。
「ミノル殿、もう少しジャイアント・ホワイトホエールを後方に下げて頂きたい!」
「分かりました、では100mほど遠ざけましょう」
権力者と護衛の怒りを受けて、ロンドレア伯爵配下の伝令がやってきたが、伝令がたどり着くまでに十分示威行為は成功しただろう。いや、これほど慌てて伝令を寄越すくらいだから、想定以上の効果があったのかもしれない。ここはちょっと懐柔策を取っておかないと、窮鼠猫を噛むような状態になるかもしれない。
俺は急いでジャイアント・ホワイトホエールのタンと尾の身を捌き、事前にロンドレア伯爵と打ち合わせていた、料理の提供を行う事にした。
ロンドレア伯爵は切れ者だから、俺が王侯貴族相手に示威行為を必ず行うと予測しており、その後の懐柔策を俺に用意させていたのだ。
もちろんそれは胃袋を掴む料理の提供であり、そもそも王侯貴族の臨席解体ショー自体が、ホエール種を高価に売るための策略なのだ。
莫大な魔力を含んだジャイアント・ホワイトホエールの肉は、酒池肉林の毎日を過ごしている権力者にとっても、舌が蕩け頬が落ちるほどの魅惑の味なのだ。俺が与えた恐怖や無礼など、地の果てまで飛んで行って消えてなくなるほどの美味しさなのだ!
さらに俺が料理を引き立てる日本産のワインを提供した事で、もはや誰も解体ショーなどには目もくれず、王侯貴族の食事とは思えないくらいマナーの悪い、ひたすら自分が食べる料理と酒を奪い合う場になっていた!
「いよいよですね、マスター」
「そうだな、だが王侯貴族の接待は任せたぞ」
「任せて下さいと申し上げたい所ですが、それは全て領主様に御任せして、僕は領主様とだけ話すようにします」
「そうか、それが1番だな」
リュウに恐竜卵料理を食べさしてから10日経ったが、ようやくナーポリの主要な王侯貴族が集まった。王族と権力者の日程調整に大混乱したそうだが、誰もが伝説のジャイアント・ホワイトホエールを観たくて、国王陛下の最短予定に合わせる事になったそうだ。
日程が決まれば、後は移動方法の確保となったが、常時高速移動が可能な人材を確保できている貴族ばかりではない。普段なら民間の移動魔法持ちを、権力に物を言わせて安価に一時雇用するのだが、今回はより強い権力を持った者が強制確保してしまっている。
その為、弱小貴族はもちろん中途半端な権力者では、ナーポリまでの移動手段を確保出来ない状態だった。
移動手段が確保出来たとしても、次に問題となるのは宿泊場所の確保だった。王侯貴族とその随行員が多かったため、いかに富裕を誇ったナーポリでも宿の数が足らなくってしまった。
ナーポリ城の部屋を全て清掃確保したものの、護衛の将兵中には、ナーポリ城外の民家に分宿する者さえ出てきてしまった。
それもこれも、最低位でも有力男爵、最高位では大臣公爵がナーポリを訪れる為、設備の整ったホテルから最低限の民宿まで、専門の宿泊施設は一杯となっているのだ。
俺自身はこの10日間をブラブラと言うか、時間を潰すような日々を過ごしていた。ダイオウイカを喰い尽くしたジャイアント・ホワイトホエールがナーポリに近づかないように、既に狩ってアイテムボックスに入れてダイオウイカを、ナーポリとは反対側に撒き餌した。
撒き餌につられたジャイアント・ホワイトホエールが、まんまとナーポリの反対側に移動してくれたので、ナーポリの危機は去ったと思う。もちろんついでに、ジャイアント・ホワイトホエールを結構狩らせてもらった。
他にも日課のように、他のホエール種を狩ったり、恐竜の卵や翼竜の卵を盗った。俺1人なら、何千年も朝食に困らない量の卵を確保出来たが、リュウが毎日食べに来たら直ぐになくなってしまうだろう。もっとも自分の食べる分の卵を持参しなければ、絶対に食べさせたりしないけどね。
あと行ったのは、ローファン王国・ビラン街に行っての酒の卸だ。ドワーフ族はもちろん、他の種族の酒好き冒険者も、在庫の酒類が底をつきそうになると、狂気にかられたように買いだめするそうだ。
どうやら在庫が少なくなるごとに、俺がどこか辺境に地で死んだと言う噂が流れるそうだ。そんな事になれば、もう2度と俺あ卸す酒が手に入らなくなるから、必死になって確保に走るらしい。
オードリーが調べてくれて分かった事は、どうやら俺の酒を扱う闇組織があるようだ。俺が卸した直後から人手を雇って定期的に酒を購入し、在庫が減ったころに噂を流し、闇相場で高値が付いたころに転売するそうだ。
権力者や金持ちが大量買いして、値段を釣り上げて転売しないように、1人が買える量を制限してはいたのだが、人手を使ってチマチマ買い溜めされてはどうにもならない。
それに転売の手先になる事で、冒険者になれないような女子供でも、少しは小遣いを稼げる体制が出来あがっていたので、無暗に潰す訳にもいかない。
取りあえず冒険者ギルドが抱えられるだけの酒を卸したが、ジャイアント・レッドベアーも確保しておきたいビラン冒険者ギルドとビラン商人ギルドでは、酒を抱えられる量にも限りがあった。
そこで解決策として、リュウを使って毎日ビランにも立ち寄り、1日で売れた酒を全部補充する事で、闇売買組織がもうからないようにした。身代わり購入で小遣い稼ぎしていた女子供に対しては、冒険者ギルドと商人ギルドに、何か仕事を与えるように強く強く要望した。今の両ギルドは、俺の強い要望を拒否出来る状態では無いので、何か仕事を創り出すだろう。
アムラ王国の見習村も、完全放置と言う訳にはいかない。セイの分身体がいてくれるとは言え、あまり表だって分身体に活動されては大問題になりかねない。
ダルダーロ一家やノーラパーティーが指導してくれているとはいえ、俺には見習を助けて見習村を設立した責任がある!
何より見習達をテトラ街屈指の冒険者に育てた、保護者としての責任は重い!
急激なレベルアップによって、見習達が驕り高ぶり、他人を害したり弱者を踏みにじるような者になった場合、責任を取らねばならない。いや、絶対にそんな者にしてはいけないのだ!
そこでレベリングを中止するくらい強くなった見習達の、その心の動きを見逃さないように、毎日顔を出して話をするようにした。彼らの言動に、僅かでも驕り高ぶりが無いか、毎日注意深く見守ることにしたのだ。
「「「「「おおおおお!」」」」」
「何と巨大なのだ!」
「これ以上近づけるではない! 陛下に何かあったらどうするのだ!」
「公爵様の申される通りだ、ロンドレア伯爵、冒険者にジャイアント・ホワイトホエールを遠ざけるように伝えよ」
王侯貴族の臨席準備がようやく整い、1時間遅れで始まったジャイアント・ホワイトホエールの公開解体だが、王侯貴族を牽制するために、彼らが恐怖を感じるほど近づけてやった。
全長60m体重1000トンの巨体を誇るジャイアント・ホワイトホエールが、それこそ自分達を圧し潰すかのように頭上に近づいてくるのだ。その恐怖感は、筆舌に尽し難いものだろうし、俺もそれを想定してこの行動をとったのだ。
一時的に王侯貴族も目前上空にまで移動させたジャイアント・ホワイトホエールを、その場で魔法を使って解体を始めた。莫大な量の血塊や巨大な肉塊を、王侯貴族の眼前にまで移動させ、彼らはもちろん護衛の将兵にも実力差を認識させた。
多少でも考える能力があったり、僅かでも実戦経験があれば、俺の圧倒的な魔力量と実力を感じることが出来るだろう。そうなれば、無暗に俺を怒らせるような真似をしないとは思うのだが、世の中には想像を絶するほどの愚か者もいる。そんな馬鹿が権力を握っていないとは言い切れないのが怖い。
「ミノル殿、もう少しジャイアント・ホワイトホエールを後方に下げて頂きたい!」
「分かりました、では100mほど遠ざけましょう」
権力者と護衛の怒りを受けて、ロンドレア伯爵配下の伝令がやってきたが、伝令がたどり着くまでに十分示威行為は成功しただろう。いや、これほど慌てて伝令を寄越すくらいだから、想定以上の効果があったのかもしれない。ここはちょっと懐柔策を取っておかないと、窮鼠猫を噛むような状態になるかもしれない。
俺は急いでジャイアント・ホワイトホエールのタンと尾の身を捌き、事前にロンドレア伯爵と打ち合わせていた、料理の提供を行う事にした。
ロンドレア伯爵は切れ者だから、俺が王侯貴族相手に示威行為を必ず行うと予測しており、その後の懐柔策を俺に用意させていたのだ。
もちろんそれは胃袋を掴む料理の提供であり、そもそも王侯貴族の臨席解体ショー自体が、ホエール種を高価に売るための策略なのだ。
莫大な魔力を含んだジャイアント・ホワイトホエールの肉は、酒池肉林の毎日を過ごしている権力者にとっても、舌が蕩け頬が落ちるほどの魅惑の味なのだ。俺が与えた恐怖や無礼など、地の果てまで飛んで行って消えてなくなるほどの美味しさなのだ!
さらに俺が料理を引き立てる日本産のワインを提供した事で、もはや誰も解体ショーなどには目もくれず、王侯貴族の食事とは思えないくらいマナーの悪い、ひたすら自分が食べる料理と酒を奪い合う場になっていた!
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