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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第152話冒険者ギルドとの交渉

ナーポリ冒険者ギルド:受付

「ミノル様! 何か異変でもありましたでしょうか?!」

「いや、特にないよ。そうか、そうだな、ナーポリの街と言うよりは、冒険者ギルドにとっては大変な事態が起こるとは言えるな」

「え? 何事が起こると言われるのですか!?」

「それはギルドマスターに直接言った方がいいな、漁師ギルドのマスターとして、冒険者ギルドマスターのバルトロメオ殿に会いたい」

「! 分かりました、直ぐにお取次させていただきますが、公式訪問と言う事になりますので、先に来賓室にご案内させていただきます」

「そうかい、それはありがたいよ」





ナーポリ冒険者ギルド:来賓室

「入っていいですか?」

「どうぞ」

「ミノルマスター、公式の報告とお聞きしたが、何ごとがあったのですか?」

「何事があったと言うより、これから漁師ギルドが行う改革によって、冒険者ギルドに影響が起こると言う事です」

「そうですか、この緊急事態を乗り越えるには、漁師ギルドも改革を行う必要があるのは理解しています。以前から漁師ギルドの影響力が1番強い街でしたが、あれほど多くの船と漁師を失い、ジャイアント・ホワイトホエールの件以外に何をなされる心算なのですか?」

「ホエールの解体ショーと販売ですよ」

「は? それはお聞きしていましたが?」

「それはジャイアント・ホワイトホエールの解体です。今回行うのは、ミンクホエールの解体ですよ」

「な?! それはミノルマスターが、わずか1日でミンクホエールまで狩ったと言う事ですか?!」

「そう言う事です」

「その話を、冒険者ギルド員ではなく、漁師ギルドマスターとして話に来られたと言う事は、ホエールの競売も、魚と同じように漁師ギルドで行うと言う事ですね」

「そう言う事です」

「獣や魔獣やモンスターと同じような肉が取れるホエールを、漁師ギルドで競売をすれば、冒険者ギルドの収益を直撃する。それを事前に通告しに来てくださった、そう言う事ですね」

「ええ、そう言う事です」

「再考の余地はないと?」

「バルトロメオ殿が先ほど言われていたように、今の漁師ギルドの他者を思いやっている余裕など全くないのですよ。漁師ギルドマスターの大役を頂いた以上、生き残ったギルド員だけではなく、夫や父を無くした遺族の生活も護らねばならないのですよ」

「本来冒険者も漁師も自己責任、ダイオウイカ群の来襲で死んだ事は、漁師ギルドには何の責任も無い事ですよね?」

「ありません、ただ俺の自己満足で、遺族を助けたいと思っているだけですよ」

「だが私も冒険者ギルドマスターです、ギルドを守る責任があります」

「ええ、ですから警告に来たのですよ」

「警告ですか?」

「狩りと競売による正当な競争なら、正々堂々受けて立ちましょう。ですが、汚い妨害工作をするようなら、冒険者ギルドに所属する者全員を滅殺します」

「それは私が汚い事をすると言われているのか!」

「あなたの事ではない」

「ではどう言う意味ですか!」

「どれほど末端の三下冒険者であろうと、漁師ギルドに敵対行動をとったら、問答無用でギルド全体に責任を取ってもらう。特に! 未亡人や子供の危害を加えた場合は、目には目を歯には歯を方針で、ギルド員の家族も殺す! そう言う警告ですよ」

「! 本気ですか?」

「本気ですよ、領主様にも上奏させてもらっています」

本当はまだ送っていなくて、後で使者を送るんだけどね。

「そうですか、では私は私なりに行動させていただきましょう」





「奴はどうするであろうな?」

「セイはどう思っているんだ」

「そうだな、ミノルには逆立ちしたって勝てない事は、今までの実績で骨身にしみているだろう。そうなると出来る事は、ミノルの警告を全冒険者ギルド員に通告し、絶対敵対行動をとらせないようにする事だろうな」

「まあそれが常識的な行動だろうな」

「で、ミノルはどう思っているのだ?」

「どうとは?」

「冒険者ギルド員達が、大人しくバルトロメオの指示に従うかと言う事だ」

「そうだな、中には愚か者もいるだろうが、領主からの命令があれば抑えられるだろう。それにな、未来を想像できない愚か者ほど、落ち目に見えるナーポリから逃げ出すさ」

「だがな、行きがけの駄賃でナーポリで犯罪を犯して、その足でナーポリと敵対する領主の所に逃げ込む奴が出るかもしれんぞ」

「そうか、そうだな、現実の世の中にはそこまで下劣な奴も確かにいるな」

「対策はあるのか?」

「冒険者ギルドや領主も警備を厳重にするだろうが、盗人に店番させるような状態になるかもしれん。だったら、どこで何をしていようが、俺の眼からは逃れられないと思い知らせる方がいいな」

「どうするつもりだ?」

「そうだな、俺がナーポリのあらゆる上空にダイオウイカを浮遊させよう。どうせダイオウイカは天日干ししなければならないが、海岸線にはもう干す場所が無い。警告警戒のついでに大量のスルメを作ることも出来る」

「そんなことをするには、莫大な量の魔力が必要なのは分かっているな?」

「魔力の無駄だと言いたいんだな」

「そうだ、そんな事をせずとも、漁師ギルド員やその家族を、一定の範囲に住まわせればよかろう。そうすれば、その範囲だけ警戒すればいい。どうせミノルの事だ、ギルド関係者だけではなく、ナーポリに住むすべての人間を守りたいとか思っているのであろう」

「そうだよ、いけないかい?」

「いけなくはないが、莫大な魔力を無駄にしてしまって、いざという時はどうするのだ?」

「いざといっても、俺とセイの魔力総量からすれば微々たるものじゃないか」

「そうれはそうだな」

「それに分身体が1つでも残っていれば、何時でも復活できるし、そもそも死ぬこともないのだろう」

「そうだな、だが無駄な魔力だとは思うぞ」

「俺の自己満足に付き合ってくれ」

「仕方あるまいな」





ナーポリ朝市

「親父さん、今日はどうだい?」

「これはこれはマスター、順調に平時の相場に近づいています」

「具体的には平時の何倍で売られているんだ?」

「魚種にもよりますが、平時の2倍から3倍の値段で取引されております」

「ふむ、じゃあ明日からは平時と同じ値段になるだろう」

「何かなされるのですか?」

「ジャイアント・ホワイトホエールの解体をする練習用に、ミンクホエールを狩って来たんですよ」

「な?! 昨日のように忙し合間に、ミンクホエールまで狩られていたんですか?!」

「ああ、それでジャイアント・ホワイトホエールの解体前に、街のみんなにはミンクホエールの解体ショウーを見せてやろうと思うんだ」

「では昨日と同じように、冒険者ギルドに宣伝させておられるのですか?」

「それは無理だな、冒険者ギルドとは敵対することになる」

「え? それはいったい、あ、そうか! ホエールの販売を漁師ギルドで行うのですね!」

「ああ、さっき冒険者ギルドのマスターに通告してきた」

「そうですか、だったら漁師ギルドで宣伝しなきゃいけませんな」

「ああ、手空きの職員総出で宣伝を行ってもらうが、冒険者からの嫌がらせがあるかもしれないから、男手だけでやってもらう。指揮は親父さんが執ってくれ」

「分かりやした! おいヴィゴール、男手を集めてくれ。ただし成人男性だけだぞ」

「任せて下さい!」

最近ではすっかり冒険者ではなく、朝市の販売員になりなりきっていたヴィゴールが、二つ返事で駆けだそうとした。

「それとヴィゴール、お前には領主様のとこに上奏書を持っていってもらうから、その心算でいてくれ」

「分かりやした!」

「しかし凄いですな、この近辺でも昔は、一頭のホエールで七浦賑うとまで言われております」

「そんな言葉があると言う事は、ジャイアント・ホワイトホエールはともかく、他のホエールは結構獲れていたのか?」

「かなり昔の話です、私が産まれてからは聞いた事がありません」

「そうか、だったらことわざに使われているホエールが、ミンクホエールなのかザトウホエールなの確認のしようがないな」

「そうですな、もはや確かめるすべはないでしょうな」

「では人が集まるまで狩りに行ってくるから、後の事は任せたぞ」

「はい、全身全霊を込めて働かせていただきますので、安心してお任せ下さい」





「ミノル、さっき言っていた、ダイオウイカ天日干しのついでに警戒するはなしだが、どうする心算なのだ?」

「やるよ」

「まさかとは思うが、リュウとともにホエール狩りを行いながら、超遠距離からダイオウイカを操作する魔法を駆使する心算じゃないだろうな?」

「まさかそんな事はしないよ、ダイオウイカには長時間の浮遊魔法をかけて、自然に浮かべておくさ」

「街の監視はしないのか?」

「リュウと同じように、遠見の魔法で見回るさ」

「だが何か忘れているとは思わないのか」

「何か忘れてるか?」

「見張りもせずにダイオウイカを浮遊させたら、鳥や魔鳥がダイオウイカを食べに集まってくるぞ」

「あ! 忘れてた!」

「まさか超遠距離から、攻撃魔法で鳥や魔鳥を狩るとは言わないだろうな」

「う~ん、さすがに非効率すぎるよな」

「当たり前であろう」

「どうしようか?」

「冒険者ギルドに分け前を与えてやれ」

「どう言う事だい?」

「ダイオウイカを浮遊させて、周辺で犯罪が起こらないか監視するが、ダイオウイカを食べに鳥や魔鳥が集まってくる。それを冒険者に自由に狩らせるから、収入の1つにしてくれと提案するんだよ」

「鳥や魔鳥を狩るくらいで、収入の足しになるのかな?」

「大した額にはならないだろうが、獲物がいる場所が確実に分かるのだ。毎日の食料確保には重宝するであろう」

「だが空中で飛び回る鳥や魔鳥だろ、狩るにはそれなりの実力がいるのではないか。飛行魔法や浮遊魔法、遠距離攻撃魔法が使えなければ狩れないだろう?」

「弓やスリングショットの訓練ついでに獲物を手に出来る可能性があるし、網を投げる方法もあるではないか」

「そうなると、結構低空を浮遊させる必要があるな」

「そうだな、その辺をバルトロメオと話してみろ」

「分かった、そうしてみよう」

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