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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第150話競売計画

ナーポリ冒険者ギルド:ギルドマスター室

「単刀直入に聞かせてもらうが、本当にジャイアント・ホワイトホエールを狩ったのか?」

「ええ、1頭だけですが、確かに狩りました」

「見せてもらう事は可能か?」

「可能ですが、全長60m体重1000トンですから、冒険者ギルド内にはとてもだせませんよ」

「そうか、では確認するのは無理か」

「いえ、海岸まで行って、海の上に出すのは大丈夫ですよ」

「そうか! そう言ってくれれば助かる」

「それでどうなんですか、ここでジャイアント・ホワイトホエールを解体出来るのですか?」

「残念ながら無理だ、とてもではないが不可能だ」

「では僕自身で解体しますから、これを興行にしましょう」

「なんだと?! ジャイアント・ホワイトホエールを解体できるだと?! それに興行とはどう言う事だ?」

「今ナーポリの悪い噂が流れていますし、しばらくは漁獲量が激減するでしょう」

「残念ながらそうなるだろうな」

「しかし私が狩ったダイオウイカ料理を名物に出来れば、漁獲量が回復するまでの時間稼ぎにはなります」

「そうだな、そうするべく、領主様がダイオウイカの売り込みをなされている」

「それですよ、その売り込みですが、ジャイアント・ホワイトホエールの競売を行うと発表すれば、近隣諸国からも大勢の商人がナーポリに訪れるのではありませんか?」

「そうだな、間違いなく大勢の商人が集まるだろうな」

「それに加えて、公開でジャイアント・ホワイトホエールの解体を行うとなれば、それを見ようと観光客も集まるのではありませんか?」

「そうだな、王侯貴族も領主様の城に滞在を望まれるだろうな」

「その時に、ダイオウイカ料理を振る舞えば、近隣諸国にまでダイオウイカ料理が広まるでしょう」

「そうか! そうだな、その件を領主様にご報告しよう!」

「では、報告の方は頼みますが、まずは論より証拠、ジャイアント・ホワイトホエールを確認して頂きましょう」

「そうか、そうしてもらえれば助かる」

「どうせなら、今からジャイアント・ホワイトホエールの検分をすると言って廻り、ナーポリ中に評判を広めましょう」

「分かった! 手空きの冒険者を総動員して、ナーポリ中に広めてくる。俺は噂が広まるまでの間に、領主様へ報告に行ってくるが、どれくらい後に検分すればいい?」

「2時間後を考えていますが、領主様の都合で遅れても構いませんよ」

「分かった、ではのちほど」





ナーポリ朝市

「親父さんどうだい?」

「マスター、今日も値下がりしています」

「おやおや、随分と改まった話し方ですね」

「俺達の代表、漁師ギルドのマスターですから、皆の手前、言葉使いも改めないといけませんから」

「そうですか、では偉そうにさせていただきます」

「お願いします、て、随分と丁寧なままですね」

「なかなか言葉使いは変えられませんよ」

「ゴホン! 頑張ります」

「それで今後のダイオウイカ商品の値段ですが、紙に書いておきましたので、これを基準価格にして下さい。というか、これ以下だと、干場の人達への報酬を下げる事になります」

「え~と、これはマスターから朝市の者達に売る値段ですか?」

「いえ、朝市で売る値段です」

「でしたら、マスターから朝市の者達が買う値段は幾らなんですか?」

「5掛けですね」

「5掛け?」

「半分の値段ですよ」

「え?! 半分も利益を得られるんですか!」

「ええ、但し! 大量に買い込んで、売りきれずに損が出そうだからと、不当に安売りするような者は、俺がこの手で殺しますよ」

「! 本気ですか?」

「ダイオウイカを狩る事は命懸なんですよ、それを、ナーポリ漁師ギルドの為に、他に売らず独占的に卸しているんです。しかも身銭を切って開発した調理法まで、職員や朝市の者に教えているんです。この状況で裏切るような者は、殺す以外にどうしろと言うんです?」

「殺されて当然でしょうね」

「この事は、親父さんから徹底させてください」

「分かりました、何があっても守らせます。もし破るような者が出たら、マスターの手を煩わせる事無く、この手で処罰します」

「ダイオウイカの朝市販売価格」
(酒漬ダイオウイカ)
セルヴォワーズ  :1kg: 2600円:大銅貨26枚
エール      :1kg: 5200円:大銅貨52枚
ワイン      :1kg: 5200円:大銅貨52枚
ホップ      :1kg: 6500円:大銅貨65枚
ワイン      :1kg: 6500円:大銅貨65枚
(酒漬ダイオウイカ以外)
ダイオウイカ塩辛 :1kg: 1300円:大銅貨13枚
ダイオウイカ酢漬 :1kg: 4200円:大銅貨42枚
ダイオウイカスルメ:1kg: 6500円:大銅貨65枚
ダイオウイカスルメ:1kg:11200円:大銅貨112枚





ミンクホエール群生海域

「ほう、ここがミンククジラの群生海域か」

「そうだ、だが特別美味しい訳では無いぞ、陸に住む獣や魔獣と大して変わらんぞ」

「分かっていないな、俺が料理すれば、対して美味しく無かった獣が絶品の料理になるだろ」

全ては日本の調味料の御蔭だけどな!

「そうか、そうだな! ではさっそく余が狩ってやろう」

「おいおいおい、何もリュウの手を煩わせる必要はないんだよ。むしろ、これを代価に飯をせびられるのは嫌なんだがな」

「何を言う! ミノルの指示通りにいろんなところに移動すると、余の狩りの時間が減ってしまう。そうなったら、ミノルの料理の対する代価が支払えず、ミノルの料理が食べられないではないか!」

「あのなぁ~、身勝手も大概にしろよ」

「何が身勝手だ、正当な話ではないか!」

「よく聞けリュウ、獣や魔獣はもちろんモンスターもなのだが、殺したかたで競売の値段が違ってくるし、食べる時の美味しさが違うんだぞ」

「なに?! それは本当か?!」

「本当だよ、今手本を見せるからよく見ておけ」

「分かった!」

さて、そうは言ったものの、色々難しい。基本は体温をあげないように殺さなければならないから、暴れさせてはいけない。そして血抜きが大切で、心臓を動かせる状態で血管を傷つけ、出来るだけ失血死に近い状態で殺さないといけない。

それと熟成させるかさせないかだが、魔力を持たない獣は熟成させる事で美味しくなる。だが、魔力を持つ魔獣やモンスターは、肉から魔力が失われると美味しさも失われる。だから鮮度こそが命なのだ。

ここで優先順位を考えれば、雷撃魔法や即死魔法で暴れさせずに殺した方が美味しいのか、風魔法や圧縮水魔法で血管を切り、少々動けるようにして、完全な血抜きをした方が美味しいのかだ。

結局俺が選んだ方法は、1番小型のミンクホエールだったこともあり、ジャイアント・ホワイトホエールを殺した時とは違った。ビデオでみた鯨解体映像を参考に、解体手順にある部位を全て切り裂いて失血死させた!

もちろん貴重なホエールの血液を失わないように、魔力を使って、流れ出た血液をアイテムボックスに保管した。

「ホエールの種類」
ミンクホエール  : 8m:  8トン
イワシホエール  :16m: 16トン
ザトウホエール  :16m: 40トン
マッコウホエール :18m: 50トン
セミホエール   :18m: 80トン
ナガスホエール  :26m: 80トン
シロナガスホエール:30m:150トン





ナーポリ冒険者ギルド

「マスターは戻っているか?」

「これはこれはミノル様! 領主様もお待ちでございます!」

「そうか、では直ぐに案内してくれ」

「もちろんでございます、どうぞこちらへ」

「ミノル様をご案内させていただきました」

「入って頂いてくれ」

「失礼いたします! ミノル様、どうぞお入りください」

「失礼します」

俺は貴賓室と書かれた部屋に案内された。

質素とも言えたギルドマスターの部屋と違って、かなりの装飾品が飾られ、来賓の眼を楽しませる様にしてある。恐らくは領主様をもてなすために作られた部屋なのだろうが、普段はマスターが領主様のところに報告に行くのだから、無駄だと思うのだが、この街では必要な事なのだろう。

「ミノル殿、よく来てくださった、こちらにおられるのが領主様のロンドレア・ドーリア伯爵だ」

「お初にお目にかかります、流浪の冒険者ミノルでございます」

「そうか、ミノルの提言は冒険者ギルドのマスターから聞かせてもらった。ミノルの献策は全て採用させてもらおう」

「有り難き幸せにございます」

貴賓室の上座にいる領主様のロンドレア・ドーリア伯爵から、穏やかに感謝の言葉をかけられたが、護衛の眼つきは鋭い。今の俺から見れば雑魚でしかないが、この街の冒険者と比べればトップクラスの力量だろう。

元々貴賓室自体が領主様の安全を配慮しており、ギルドマスターや同室の者との間は、前後左右に護衛が立てるような間隔が空いている。万が一同室の者が領主様を狙ったとしても、護衛が剣にも盾にもなれるように、十分空間的余裕が設けられている

「では早速だが、港に行ってジャイアント・ホワイトホエールを検分させてもらおう」

「その件に関してなのですが、新たな提案がございます」

「なんだ?」

「海に行ってからジャイアント・ホワイトホエールを出すより、この冒険者ギルドの上空に出して、そのまま浮かせて海まで運ぶ方が、武威の面からも好い噂になるのではないでしょうか?」

「それはミノルよ、貴君がジャイアント・ホワイトホエールを、港まで浮かせて運ぶ魔力量があるとう事かな?」

「左様でございます」

「さらに問えば、それだけの魔力量があるから、余計な口出しはするな。もし不当にミノルの邪魔をすれば、その魔力量で、ナーポリを含め近隣諸国を滅ぼすと言う警告なのかな?」

ロンドレア・ドーリア伯爵の言葉を聞いて、護衛はもちろん冒険者ギルドのマスターも、ギョッとした表情を浮かべている。

「左様でございます。互いの実力差に気付かず、無礼な行動をとって逆鱗に触れ、滅んでいった愚かな国々を沢山見知っております。私としても、国が滅び、多くの民が苦しむ姿など見たくはありません。そこで賢明な支配者がいる事を願いながら、やんわりと警告させていただくようにしております」

「その警告、余は身に染みて理解出来たが、中には実際に見なければ理解出来ない愚か者も多い。ぜひとも冒険者ギルドの上空にジャイアント・ホワイトホエールを出して、海岸線まで運んで、無知蒙昧な輩に知らしめてやってくれ」

「承りました、やらせていただきます」

俺と伯爵の会話を受けて、俺を先頭に部屋の中にいた全員が外に出た。

さっそくジャイアント・ホワイトホエールをアイテムボックスから出したのだが、余りの巨体が上空を覆ったため、一瞬で辺り一帯が影に隠れる事になった。

すでに俺がジャイアント・ホワイトホエールを狩り、それを領主に検分していただくと言う噂はナーポリ中に広まっていたから、上空に出現した圧倒的巨体を見逃す者はいなかった。

俺はこんな時にこそ、自分が桁外れの魔力を手に入れた事を実感する。強大な魔獣やモンスターを倒す時にもある程度実感するのだが、殺す場合は一瞬で済んでしまう。しかしこのように、長時間も渡って魔獣を浮かせると、しみじみと実感するのだ。

だがただ威圧行為の為に浮かせたわけではない。

血抜きが済んでいないジャイアント・ホワイトホエールを、より美味しく食べるために血抜きするためでもあるのだ。

殺して直ぐにアイテムボックスに保管した為、死後硬直を起こしていない事を利用したのだ。念動力系の魔法を使い、心臓を強制的に動かすと共に、水操作系の魔法を使い、瞬く間に全血液をジャイアント・ホワイトホエールから抜き出した。

だが血液を無駄にする気は毛頭ないので、抜いた血液をアイテムボックスに保管した。その光景を見ていた領主様は当然なのだが、歴戦の冒険者であるギルドマスターや、死線を何度も越えた護衛も、顔面蒼白となっていた。

事前通告の御蔭でパニックにはならなかったが、ナーポリに住む普通の市民たちも、心臓を鷲づかみになれたような恐怖感を覚えたようだ。

反省。

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