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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第146話ジャイアント・レッドベアーのみそ焼き

ナーポリ近郊の秘密キャンプ地

「白虎、リュウは来ていないのか?」

「ああ、まだ来ていないぞ、主」

「どうやら聞き分けてくれたようだな」

「お腹減ったみゃ、みそ焼きが食べたいミャ」

「そうかそうか、みそ焼きは何を焼くんだい?」

「ロースみゃ、ジャイアント・レッドベアーのロースをみそ焼きして欲しいミャ」

「よしよし、直ぐに作ってやるからな」

「主~、俺も頼むよ」

「ああ分かった、だがロースだけでいいのか? 白虎ならもっと堅い部位も食べたいんじゃないのか?」

「さすが主! よく分かっているね~」

「おだてても駄目だぞ、ちゃんと働いてもらうからな。リュウが食べる酒漬ダイオウイカの炭火焼と、酒漬ダイオウイカのフライを作りながら食べてもらうぞ」

「ちぇ! 何かしながらだと美味しさが半減するんだよ、食べ終えたらちゃんと作るから、食べる時は集中させてくれよ」

「白虎!」

「ゴメンナサイ! ごめんなさい! 御免なさい!」

「まあまあまあ、そう怒ってやるなセイ」

「だがな、いい加減主従のけじめはつけさせねばならぬ」

「そんな事は分かっているよな、白虎」

「ワカッテイマス! わかっています! 分かっています!」

「じゃあ食べ始める前と食べ終わってからは、しっかりと働いてくれよ」

「ハタラキマス! はたらきます! 働きます!」

「セイ、セイも頼むよ」

「任せてくれ、炭火焼とフライだな」

「ああそうだ、それと酒漬けと塩漬のに天日干しも頼む。更には酒漬けしたダイオウイカを、酢漬けと麹漬けした物も試したい」

「分かった任せろ」

俺はセイと白虎に指示を出しながらも、アグネスと白虎の為のジャイアント・レッドベアーのみそ焼きを作り続けていた。

「ジャイアント・レッドベアーのみそ焼き」
ジャイアント・レッドベアーのリブロース:適量
ジャイアント・レッドベアーのすね肉  :適量
ジャイアント・レッドベアーのスジ肉  :適量
ミョウガ               :適量
(味噌床)
中辛味噌:2kg
砂糖  :大さじ20杯
みりん :大さじ60杯
日本酒 :大さじ40杯
生姜  :10かけ分

1:ジャイアント・レッドベアー肉は、アグネスと白虎の好みの大きさにカットする。
2:味噌に調味料とおろし生姜を加えて、よく混ぜて漬床に広げる
3:2の味噌床にジャイアント・レッドベアー肉を入れ、味噌を塗して30分寝かせる
:肉の大きさによって、漬ける時間を長くする
4:ミョウガも洗って塩でもみ、肉と一緒に味噌床に漬ける
5:フライパンにジャイアント・レッドベアーの脂を入れて熱する
6:味噌を取り除いた肉を入れて、肉の大きさ厚みに合わせて焼いて行く
7:肉を焼いた後でミョウガを入れて焼く
:異世界の地方に応じた野草香草を使う

「どうだい、食べたかった味になってるかい?」

「なってるミャ、美味しいみゃ」

「美味いぞ主! これはこの世界では絶対喰えない味だ!」

「もっとみゃ、もっと焼いて欲しいみゃ」

「分かっているよ、味噌漬けする時間で味が変わるから、浅漬けから焼いてあげるね」

「どちらでもいいみゃ、どちらでも美味しいミャ」

「そうだよ主、久し振りに味噌を食べたけど、やっぱり主の故郷の味は美味いよな~」

「そうかそうか、俺も故郷を褒められるのは嬉しいから、どんどん焼いてあげるぞ」

「やったね! 作り置きしたみそ焼きもアイテムボックスに保管しておきたいんだ」

「いいぞ、アグネスが食べたがった時に、直ぐに出してやってくれよ」

「任せてくれ、主に気持ちを無にはしないよ」

「さあ、どんどん焼くぞ!」

「余にも喰わせよ!」

まさに突然リュウが現れた!

「おまえなぁ~、開拓村で焼いてもらえよ!」

「無理を言うな!」

「何が無理なんだ? リュウがジャイアント・レッドベアーを狩って持っていけば、あの村には味噌や醤油などの調味料があるんだから、村人の作ってもらえるだろうが」

「何を言う! 開拓村にジャイアント・レッドベアーを解体出来る者などおらんぞ」

「セイの分身体に頼めばいだろう、分身体ならセイと知識を共有しているから、簡単に解体してくれるじゃないか」

「うぬぅぅぅぅ、次からそうするが、今はジャイアント・レッドベアーが無いし、せっかくここに来たんだから喰わせろ!」

「身勝手な奴だな! で、代価はどうするんだ」

「これだ、これだけ多種多様なモンスターがいればよかろう」

リュウが自分のアイテムボックスから、それこそ数えるのも嫌になるくらい、多種多様なモンスターを取り出した。

「分かった分かった、リュウが食べ応えを感じる大きさの肉を、美味しく漬けるには少々時間がかかる。取りあえず前菜に、オークの丸焼きでも食べていてくれ」

「そうか、それは仕方がないな、オークの丸焼きを食べて待ってやるから、急いで漬けるのだ」

「本当に偉そうにするな! 少しは謙虚になれんのか?」

「無理を言ってやるなミノル、リュウはある意味純真なのだ。原初の竜としての叡智は備えているものの、それを超える本能には逆らえないのだ」

「セイ、それって遠回しに馬鹿にしていないか?」

「そんな事はないぞ、いかに冠絶した力をもつ原初の生物でも、種族の特性は現れるのだ。そうでなければ、我とリュウは全く同じ存在となってしまう」

「なるほどね、それもそうだな」

「まだ漬け終わらんのか?」

「ボリボリバリバリ、頭から骨ごとオークを貪り喰っといて、よく言えるな?」

「これは前菜とミノルも言ったではないか、前菜の後でメインディッシュを期待するのは当然であろう」

「はいはい分かりましたよ、悪いがセイ、リュウに出した作り置きを補填しておいてくれないか」

「オークの丸焼きと、これからリュウに出す料理を作れと言う事だな?」

「そうだ、頼む」

「白虎には手伝わせんのか?」

「食べ終わったら手伝わせるよ、でも食べる時は料理を愉しむ事に集中させてやるよ」

「ふむ、白虎などはどうでもいいが、自分の料理を美味しく食べてくれるのを見るのが好きな、ミノルの為に見逃してやろう」

「ありがとう」

「おい、味噌漬けはまだか?!」

「まだだよ! リュウはこれでも食べてろ」

俺は作り置きしていた、ジャイアントレッドベアーとジャガイモのトマトスープ煮と、ジャイアントレッドベアーのポトフを、寸胴鍋10杯分取り出しリュウに与えた。

「おおおおお、美味い! 何故だかミノルが作った料理の方が、開拓村で作らせる料理より美味い!」

リュウはそう言うが、分身体がセイの知識と記憶を共有しているから、ほぼ同じ料理を再現出来ているはずだ。開拓民に伝えた時点で、切り方や微妙な火加減が違ってきてしまうかも知れないが、その違いが分かるほどリュウが美食家とは思えない。

多分だが、絶対服従の開拓民にかしずかれて食べるより、同格のセイや俺とワイワイしながら食べることが、精神的に影響して美味しく感じるのだと思う。

リュウ用の味噌漬けが漬かる頃には、満腹になったアグネスはベットで眠り、白虎も食べ終えて料理を手伝ってくれた。

セイと白虎と言う作り手が揃ったので、俺は自分のみそ焼きを作ってゆっくり食べることにした。俺が食べ終える頃には、リュウが愉しみにしていた味噌漬けが焼かれ始めたが、その頃にはリュウは満腹になってしまっていた。

食意地の張ったリュウは、明日焼こうかと言う俺の提案を一蹴し、明日の昼食に喰うと言い張り、セイと白虎にこれでもかと言う大量の味噌漬けを焼かせていた。

大量の味噌漬けを手に入れたリュウは、一旦消えていなくなったものの、予想通り朝食時間に現れ、大量の卵料理を要求してきた。

今朝はオムレツの日だったのだが、プレーンオムレツだけではなく、チーズ入りからトマト入りまで、色々な具材を入れたオムレツを焼きあげた。

そして当然なのだが、具材を変えただけではなく、かけるソースも幾種類も用意した。デミグラスソースやトマトケチャップは当然として、ホワイトソースにカレーソース、それも辛みなどを等級分けして色々な味を愉しめるようにした。

だがリュウも手ぶらで来襲した訳では無く、夜の間にいくつもの世界を渡り歩き、多種多様のモンスターを狩って来てくれた。その量は夜に持って来たモンスターの量に匹敵し、ドローン配送販売の入力時間の頭を痛めるほどだった。

まあ面倒な仕事はセイが肩代わりしてくれるものの、セイでも知らない事はある。特にモンスターの正統な価値は、人間世界での価値を知らなければ入力しようがない。

人間世界の価値が正しいと言う訳ではなのだが、俺が人間であり、俺を通じて売買するのだから、基準を人間世界に合わせるしかない。

「なあ主、アグネスのレベリングの事なんだが」

「なんだ! 何か問題があるのか?!」

「いやなに、どれくらいまでレベルを上げればいいのか相談しておこうと思ってな」

「相談も何も、上げれるだけ上げてくれればいいよ」

「本当にそれでいいのか?」

「何だ? 何が問題なんだ?」

「主はいたくアグネスを気に入っているようだが、まだアグネスの種族がはっきりしていないんだろう」

「そうだな、気にしていなかったな。種族名は分かっているが、それが何者なのかはセイでも分からないからな」

「そんな正体不明のアグネスを、制限なしにレベリングすれば、後で取り返しのつかない事になる可能性もあるだろう」

「アグネスが人類の敵になるかもしれないと言いたいのか?」

「そうだ、人類だけではなく、あらゆる生命の敵になる可能性もあるぞ」

「そうだな、だが逆に味方になる可能性もある」

「それはそうだ、だが危険を考えておく方がいいのではないか?」

「その時は親としての責任を取るさ」

「親か?」

「親だよ、少なくとも俺は、アグネスを子供のように思っているし、育ての親だと自覚している。だからこそ、育ての親としての責任は、俺の正義でとるよ」

「そうか、余計な事を言ったな。主がその覚悟でいるなら、俺も全身全霊をもってアグネスのレベリングをやろう!」

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