話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第141話商人ギルドで交渉、塩と酒

ナーポリ商人ギルド:

「どうです、アイアス殿、ここは協力された方がいいと思いますよ」

「カルロ殿は我ら商人ギルドを脅迫するのか?!」

「そんな気は毛頭ない、むしろ心配しているのだ」

「どう言う意味だ?」

「分かっているはずだぞ! 今ナーポリは危急存亡の秋なのだ、領主様は形振り構わずあらゆる手を打たれている」

「それは理解している。あれほど力を持っていた漁師ギルドを、ダイオウイカ討伐に非協力的と言う理由で壊滅させられた」

「これも同じだよ、もしダイオウイカ討伐が成功したとしても、元のナーポリには戻れない」

「それは理解している。今までは我ら商人ギルドも、漁師ギルドが狩った魚や魔魚を主力商品に商って来た。だがダイオウイカに荒らされた漁場は、十数年は回復しないだろう。ナーポリの街を離れる商人もいれば、支店を撤退させる商会もあるだろう」

「あの領主様がそれを見逃すと思うか?」

「資産凍結か接収をすると言うのか?」

「漁師ギルドがそうなったのだ、冒険者ギルドや商人ギルドだけが見逃してもらえるはずがないだろう」

「そうか、そうだな、だがそれと安価に酒を売れと言うのがどうつながる」

「それはな、ここにいるミノル殿が、ダイオウイカを美味しく食べる為の加工を研究されておられるからだ」

「ダイオウイカを美味しくたべるだと?! ダイオウイカは煮ても焼いても食えたものじゃなかろう?」

「ちょっといいですか?」

「ああ、ミノル殿から直接説明してくれ」

「アイアス殿、カルロ殿、まず最初に確認しておきたいのだが、この地方の塩はどう言う流通をしており、どう言う価値があるのだ?」

「流通と価値だと?!」

「商人ギルドのマスターであるアイアス殿は、ナーポリ産の塩も扱っていただろう? それに塩魚も山間部に輸出していたのではないのか?」

「ふむ、よく知っているな、その通りだ」

「塩の種類と等級、等級ごとの使い方を売り先を大雑把でいい、教えてくれ」

「うむ、それが今回の件と大きく関係するのだな」

「関係する」

「大きく分けて真塩と差塩の2つがある」

「うむ」

「真塩とは、塩釜で煮て作った最初の塩を、1日2日かけてにがりを滴下するという、量も作れず手間暇もかかる塩だ。だがその淡い色と尖りのない塩辛さには、料理にすると特に素材の味を引き出し美味しくする力がある。だから貴族や金持ちだけが買える、とても高価で貴重な塩だ」

「それで差塩とはなんだ」

「差塩とは、真塩をとった後で、少しでも多くの塩を作るため、濃縮した塩水とにがりを足しながら釜で煮詰めた塩だ。にがりを多く含むため、どうしても尖りのある辛い塩味となるが、量が多く作れる分安い値段になる。だから比較的裕福な庶民が買う塩だな。もっともナーポリなどの海の街や村なら、自分達で海水を汲んで直接料理に使ったり、盥や大皿に海水を汲んで天日で干して自給自足している」

「貧困層は、密造の塩を使ってるのだな」

「よく知っているな」

「アイアス殿が普通の庶民や貧困層の事に触れなかったからな、分かり易い話さ」

「ミノル殿の想像通り、領主様や漁師ギルドが正規で作る専売の塩以外に、庶民や貧困層が密かに作る密造塩を集めて売る、密売塩商人がいる」

「庶民や貧困層が海水を汲んで天日干しした僅かな塩を集めて、それを山間部に売りに行くのだな」

「ああ、税がかかっていないし、密造だから買い叩ける。だから山間部の貧民でもなんとか買える値段になっている」

「塩を作り為には、塩釜を煮るための燃料が必要だから、ある程度の資金力が必要だし、そもそも密造塩を大っぴらに煙を出して炊けないしな」

「その通りだ、それに塩釜を手に入れること自体が難しい」

「その上で聞くが、山間部の貧民が、安価に塩分を買える正規ルートが塩魚だね」

「そうだな、小魚を開いて海水で洗ってから干す。美味しく作るなら、ある程度の大きさの魚に塩を振って作る。だが安価な塩代わりに作るのなら、何度も海水に漬けては干して、表面に塩の結晶が浮き出るまで繰り返す」

「それを塩ではなく塩魚として売るんだな」

「ああ、山間部の貧民は、塩魚の塩分が散らないように、決して煮て食べない。必ず焼いて食べる。しかも1日で食べ切らず、焼いた日はまず舐めて塩分を補給する。2日目に頭を食べ、3日目に胴体を食べ、4日目に尻尾を食べる。それくらい山間部の貧民は、塩を大切にして食べるのだ」

「山間部の貧民は、魚が欲しくて塩魚を手に入れる訳では無く、塩分を欲して食べると言う事だろう」

「それが、あ?!」

「そう言う事だ、ダイオウイカが不味いと言うのは、あくまで港町の人間の味覚だ。山間部の貧民にとったら、味よりも塩分補給だ」

「なるほど、ダイオウイカを干物にして塩魚の代わりにするのか」

「そうだ、ダイオウイカも干せばある程度食べれる味になるのは分かっている。最初から美味しくしようなどとは思わず、海水を使って安価な干物にすれば、十分商品として輸出が可能だ」

「だがそれなら、余分な費用になる酒の輸入など不要であろう?」

「俺はダイオウイカが美味しく食べれると思っているのだよ」

「本気か?」

「本気だ、その為ならある程度の研究開発費を使うべきだと思っている。思ってはいるが、出来るだけその費用は低くしたいとも思っている」

「う~ん、酒を輸入するのはいいのだが、出来るだけ同じ品質の酒と言う条件が厳しい。それに今のナーポリの現状は、既に近隣領主に知れ渡ってしまっている。この状況では、足元を見てあらゆる商品を高値で売りつけられるし、売り物も全部買い叩かれる」

「それは理解している、だからこれだ」

俺はドローン配送で手に入れた粗塩をテーブルの上に置いた。

「これは俺の仲間が、既に塩商人に販売を持ちかけている塩だが、これを新たなナーポリの主力商品には出来ないか?」

「こ、こ、これは!」

「これは凄い、これほど白い塩を見たことがない」

「舐めてみていいか?」

「ああ、商品として扱うのなら、味見は当然だ。納得出来るまで味見してくれ」

アイアス殿、カルロ殿は何度も塩を舐めてはウンウン唸ってる。

「どうだ、これなら今まで以上の値で売れるのではないか?」

「ああ売れる、間違いなく高値で売れる」

「この国の状況は分からんが、国王陛下やこの国の権力者にこれを献上することで、近隣領主の策謀を抑える事は出来ないか?」

「待ってくれミノル殿、王都の権力闘争は複雑怪奇で、我らが判断を下せるものではない。ここは領主様に相談した上で、そもそも表に出すべきかどうかも決めた方がいい。下手をすれば、国王陛下や権力者が、ナーポリを手に入れようと動く切っ掛けになるかもしれない」

「そうか、ならばこの件はカルロ殿に任せよう。だがこれで分かってもらえたと思うが、俺にはある程度の資金力と戦闘力に加え、沢山の商品がある。どうだろうアイアス殿、酒を集めてもらえないかな」

「分かった、だが品質の均等だけは約束できん」

「分かった、そこは妥協しよう」

「現在のダイオウイカ討伐金」
1回目:1218匹×大銀貨1枚=大金貨12枚・小金貨1枚・大銀貨8枚
2回目:1283匹×大銀貨1枚=大金貨12枚・小金貨8枚・大銀貨3枚
3回目:1382匹×大銀貨1枚=大金貨13枚・小金貨8枚・大銀貨2枚
4回目:1403匹×大銀貨1枚=大金貨14枚・小金貨0枚・大銀貨3枚

小計 :大金貨51枚・小金貨17枚・大銀貨16枚


美味しい塩の系譜を参考参照
https://saltstory.wordpress.com/2014/06/14/%E7%BE%8E%E5%91%B3%E3%81%97%E3%81%84%E5%A1%A9%E3%81%AE%E7%B3%BB%E8%AD%9C/

「初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く