初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!
第128話リュウの押し売り
「ミノル、今度は何を喰わせてくれるんだ?」
「リュウよ、勝手に押しかけて来て随分な言いようだな」
「ふん! 食事をせぬセイには余の気持ちは分からん」
「ああ分からんな、ミノルが試作した料理は全て、分身体を通じて開拓民が再現しているであろう?」
「違うのだよ、何故かは余にも分からんが、微妙に味が違うのだ」
「ふむ、本当にわからんな、白虎のように主従契約をしていればともかく、ミノルとリュウは対等の関係だ。料理の味に違いが出るなど、全く持って理解に苦しむ」
(セイ、俺が微妙な火加減の違いや灰汁の取り方で、味が変わっているのかなと、俺が思ったのは理解してるんだよね?)
(もちろん理解しているぞ、だがそんな事をリュウに言ってしまったら、毎日3食リュウの食事を作る羽目になるが、それでもいいのか?)
(いや駄目だ! それは絶対駄目だ!)
(ならば嘘も方便と言うのであろう)
(了解した)
「違うと言ったら違うのだ、ミノル、お前の料理を喰わせてくれ」
「そうは言われてもな、俺はリュウの使用人でも無ければ奴隷でもないのだよ。リュウの為に365日四六時中料理を作らねばならない義理はないよ」
「ううううう、ならば前のように魔獣やモンスターを狩ってやろう、それを代価に料理を作ってくれ」
「いやもう必要ないよ、食べたい物は自分で狩れるし、主従契約を結んだ白虎にただ飯を喰わせる訳にもいかないから、魔獣やモンスターは有り余るほど手に入るんだ)
「ううううう、ならばテトラに戻してやろうではないか、その代価として料理を喰わせてくれ!」
「いや、今は戻る必要はないし戻る気もない、むしろテトラに連れて行かれたら迷惑だ」
「ううううう、ならばどこか行きたいとこはないか? 地の果てであろうと他の異世界であろうと連れて行ってやろうではないか」
「いや別に行きたいとこなどないよ、むしろ別の異世界に連れて行かれたら大迷惑だよ」
「ええええい! 喰わせてくれないと言うのなら勝負だ! セイと戦って余が勝ったら料理を喰わせろ!」
「なんでそうなるんだ? 原初の世界樹と原初の竜に戦われたら大迷惑だろうが!」
「四の五の言うな! セイを殺してでも料理を手に入れて喰うのだ!」
「あのなぁ、セイが死ねば俺も死ぬのだぞ、それでどうやって俺の料理を喰うんだ?」
「ううううう、なぁ~、意地悪しないで喰わせてくれよぉ~」
「あぁあぁあぁあぁ、原初の竜ともあろう者が情けない声を出すんじゃないよ。仕方ないなぁ~、作り置きでよければ直ぐに食べさせてあげるから、代価として海のある街に連れて行ってくれ。ただし治安のいい街だぞ」
「おおおおお、分かったぞ、食べたら直ぐに連れて行ってやるから、今直ぐ喰わせてくれ!」
(喰わせてやるのか?)
(仕方ないだろう、こんな所でセイとリュウが本気で戦ったら、それこそこの世界の崩壊に繋がるんじゃないのか?)
(そうだな、原初の人間も指を咥えて見てはいないだろうから、3つの世界が存亡をかけて戦う事になるだろうな)
(たかが飯を喰わせるか喰わせないかで、何百億、いや、何千億の生命を滅亡させる訳にはいかないだろう)
(ふむ、そうかもしれぬな、それで何を喰わせてやるのだ?)
(「魔獣肉のマリネ」と「醤爆魔獣肉片」の作り置きがあるから、それを食べてもらいながら、ジャイアント・レッドベアーの肉塊を焼いてやるよ)
(ふむ、だがリュウの食欲だと、ジャイアント・レッドベアーの肉でもすぐになくなってしまうのではないか?)
(在庫は1000頭あるだろう)
(数十頭は減っているであろう)
(その程度なら大丈夫だよ)
(海の街への移動は調理賃として、材料費は現物のジャイアント・レッドベアーで返させてはどうだ?)
(リュウにそんなこと言ってしまったら、それこそジャイアント・レッドベアーを絶滅させるまで狩ってしまうんじゃないか? それに下手をしたら、食べたい魔獣やモンスターを持ち込んで、料理をしろと迫って来る可能性もあるぞ)
(ふむ、今のリュウならそれくらいのことはしかねんな)
(だろ、まさかとは思うけど、食欲に狂ったリュウが、人間族を巻き込んで狩りをしてしまったら、それこそ原初の人間が黙っていないだろう)
(うむ、流石に自分の世界で他の原初がそのような暴挙に及んだら、存亡を賭けた戦いは必定だな)
(でだ、その原因の大本である俺とセイが無関係でいられるかい?)
(それも無理だな)
(だからもうリュウに狩りを頼むのは駄目なんだ、危険すぎて絶対に頼めない)
(ふむ、了解した)
俺はセイと念話密談しながらも、テキパキと料理に勤しんでいた。
在庫の試作料理をリュウに与えると共に、ジャイアント・レッドベアーの肉塊を次々と焼いて行った。オークを何頭も同時に丸焼きできる、白虎に預けてあるオーブンを使い、テキパキとロースト・ジャイアント・レッドベアーを焼いたのだ。
だがそれが出来あがるには時間が掛かるので、余分な寸胴鍋にほぼ同じ大きさの肉塊をぶち込み、ドローン配送で取り寄せた各種タレを寸胴鍋の隙間に注ぎ込み、焼き煮の要領で作ることにした。中はほぼレアでも構わないから、巨大なリュウが多少でも食べ応え噛み応えを感じられるように、出来るだけ大きな肉塊で作り上げることにした。
「ミャミャミャウ、ミャミャ、ミャウミャウミャ!」
「そうだよ、何で俺達が手伝うだけで食べれないだよ?!」
「ミャミャ、ミャウミャ、ミャミャミャウミャミャウミャ!」
「そうだそうだ、俺達にも喰わせろ!」
「じゃかましいわぁ!」
「ヒィ~、ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!」
「まぁまぁまぁ、アグネスが言う事ももっともだ」
「えぇ~、俺わぁ~、ねぇ主ぃ~、俺は無視なの?」
「黙れと言ったぞ!」
「ヒィ~、ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!」
「さぁアグネス、これを食べなさい」
「ミャウ!」
「ううううう、俺は? 俺のは無いの?」
「いい加減にせんと、ぶち殺すぞ!」
「ヒィ~、ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!」
「白虎はこれでも食べていなさい」
俺はリュウ用の料理を作りつつ、アグネスが丁度美味しく食べられる大きさにカットした、ジャイアント・レッドベアーの焼き煮を作った。これはリュウに作っているのと全く同じもので、カットの大きさが違うだけだ。
何故空いてるフライヤーなどの調理器を使って、フライや唐揚げなどを作らないかと言えば、そんな事をすれば、リュウが絶対その料理も喰いたがるからだ!
もうこれ以上余計な手間はかけたくないのだが、空腹と不公平を訴えるアグネスを無視する訳にはいかない。いや、アグネスに哀しい思いをさせるくらいなら、世界の存亡を賭けたリュウとの決戦も辞さぬ!
オークやティタノボアなどの、他の種族の肉を使わないのも同じ理由で、使えば必ずリュウが食べたいとごねだすだろう。余計な騒動や手間を避ける為には、使う食材も統一しておかなくてはならない。
(困ったものだな)
(本当にリュウの扱いには困るよ、まあ、俺の料理をこれほど食べたいと言ってくれるのは、嬉しい気持ちもあるにはあるが、もう少し周りに気を使って欲しものだ)
(ふむ、嬉しい気持ちもあるのだな?)
(ああ、望まれ求められると言うのは、人の欲望の根源の1つだからね)
「リュウよ、勝手に押しかけて来て随分な言いようだな」
「ふん! 食事をせぬセイには余の気持ちは分からん」
「ああ分からんな、ミノルが試作した料理は全て、分身体を通じて開拓民が再現しているであろう?」
「違うのだよ、何故かは余にも分からんが、微妙に味が違うのだ」
「ふむ、本当にわからんな、白虎のように主従契約をしていればともかく、ミノルとリュウは対等の関係だ。料理の味に違いが出るなど、全く持って理解に苦しむ」
(セイ、俺が微妙な火加減の違いや灰汁の取り方で、味が変わっているのかなと、俺が思ったのは理解してるんだよね?)
(もちろん理解しているぞ、だがそんな事をリュウに言ってしまったら、毎日3食リュウの食事を作る羽目になるが、それでもいいのか?)
(いや駄目だ! それは絶対駄目だ!)
(ならば嘘も方便と言うのであろう)
(了解した)
「違うと言ったら違うのだ、ミノル、お前の料理を喰わせてくれ」
「そうは言われてもな、俺はリュウの使用人でも無ければ奴隷でもないのだよ。リュウの為に365日四六時中料理を作らねばならない義理はないよ」
「ううううう、ならば前のように魔獣やモンスターを狩ってやろう、それを代価に料理を作ってくれ」
「いやもう必要ないよ、食べたい物は自分で狩れるし、主従契約を結んだ白虎にただ飯を喰わせる訳にもいかないから、魔獣やモンスターは有り余るほど手に入るんだ)
「ううううう、ならばテトラに戻してやろうではないか、その代価として料理を喰わせてくれ!」
「いや、今は戻る必要はないし戻る気もない、むしろテトラに連れて行かれたら迷惑だ」
「ううううう、ならばどこか行きたいとこはないか? 地の果てであろうと他の異世界であろうと連れて行ってやろうではないか」
「いや別に行きたいとこなどないよ、むしろ別の異世界に連れて行かれたら大迷惑だよ」
「ええええい! 喰わせてくれないと言うのなら勝負だ! セイと戦って余が勝ったら料理を喰わせろ!」
「なんでそうなるんだ? 原初の世界樹と原初の竜に戦われたら大迷惑だろうが!」
「四の五の言うな! セイを殺してでも料理を手に入れて喰うのだ!」
「あのなぁ、セイが死ねば俺も死ぬのだぞ、それでどうやって俺の料理を喰うんだ?」
「ううううう、なぁ~、意地悪しないで喰わせてくれよぉ~」
「あぁあぁあぁあぁ、原初の竜ともあろう者が情けない声を出すんじゃないよ。仕方ないなぁ~、作り置きでよければ直ぐに食べさせてあげるから、代価として海のある街に連れて行ってくれ。ただし治安のいい街だぞ」
「おおおおお、分かったぞ、食べたら直ぐに連れて行ってやるから、今直ぐ喰わせてくれ!」
(喰わせてやるのか?)
(仕方ないだろう、こんな所でセイとリュウが本気で戦ったら、それこそこの世界の崩壊に繋がるんじゃないのか?)
(そうだな、原初の人間も指を咥えて見てはいないだろうから、3つの世界が存亡をかけて戦う事になるだろうな)
(たかが飯を喰わせるか喰わせないかで、何百億、いや、何千億の生命を滅亡させる訳にはいかないだろう)
(ふむ、そうかもしれぬな、それで何を喰わせてやるのだ?)
(「魔獣肉のマリネ」と「醤爆魔獣肉片」の作り置きがあるから、それを食べてもらいながら、ジャイアント・レッドベアーの肉塊を焼いてやるよ)
(ふむ、だがリュウの食欲だと、ジャイアント・レッドベアーの肉でもすぐになくなってしまうのではないか?)
(在庫は1000頭あるだろう)
(数十頭は減っているであろう)
(その程度なら大丈夫だよ)
(海の街への移動は調理賃として、材料費は現物のジャイアント・レッドベアーで返させてはどうだ?)
(リュウにそんなこと言ってしまったら、それこそジャイアント・レッドベアーを絶滅させるまで狩ってしまうんじゃないか? それに下手をしたら、食べたい魔獣やモンスターを持ち込んで、料理をしろと迫って来る可能性もあるぞ)
(ふむ、今のリュウならそれくらいのことはしかねんな)
(だろ、まさかとは思うけど、食欲に狂ったリュウが、人間族を巻き込んで狩りをしてしまったら、それこそ原初の人間が黙っていないだろう)
(うむ、流石に自分の世界で他の原初がそのような暴挙に及んだら、存亡を賭けた戦いは必定だな)
(でだ、その原因の大本である俺とセイが無関係でいられるかい?)
(それも無理だな)
(だからもうリュウに狩りを頼むのは駄目なんだ、危険すぎて絶対に頼めない)
(ふむ、了解した)
俺はセイと念話密談しながらも、テキパキと料理に勤しんでいた。
在庫の試作料理をリュウに与えると共に、ジャイアント・レッドベアーの肉塊を次々と焼いて行った。オークを何頭も同時に丸焼きできる、白虎に預けてあるオーブンを使い、テキパキとロースト・ジャイアント・レッドベアーを焼いたのだ。
だがそれが出来あがるには時間が掛かるので、余分な寸胴鍋にほぼ同じ大きさの肉塊をぶち込み、ドローン配送で取り寄せた各種タレを寸胴鍋の隙間に注ぎ込み、焼き煮の要領で作ることにした。中はほぼレアでも構わないから、巨大なリュウが多少でも食べ応え噛み応えを感じられるように、出来るだけ大きな肉塊で作り上げることにした。
「ミャミャミャウ、ミャミャ、ミャウミャウミャ!」
「そうだよ、何で俺達が手伝うだけで食べれないだよ?!」
「ミャミャ、ミャウミャ、ミャミャミャウミャミャウミャ!」
「そうだそうだ、俺達にも喰わせろ!」
「じゃかましいわぁ!」
「ヒィ~、ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!」
「まぁまぁまぁ、アグネスが言う事ももっともだ」
「えぇ~、俺わぁ~、ねぇ主ぃ~、俺は無視なの?」
「黙れと言ったぞ!」
「ヒィ~、ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!」
「さぁアグネス、これを食べなさい」
「ミャウ!」
「ううううう、俺は? 俺のは無いの?」
「いい加減にせんと、ぶち殺すぞ!」
「ヒィ~、ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!」
「白虎はこれでも食べていなさい」
俺はリュウ用の料理を作りつつ、アグネスが丁度美味しく食べられる大きさにカットした、ジャイアント・レッドベアーの焼き煮を作った。これはリュウに作っているのと全く同じもので、カットの大きさが違うだけだ。
何故空いてるフライヤーなどの調理器を使って、フライや唐揚げなどを作らないかと言えば、そんな事をすれば、リュウが絶対その料理も喰いたがるからだ!
もうこれ以上余計な手間はかけたくないのだが、空腹と不公平を訴えるアグネスを無視する訳にはいかない。いや、アグネスに哀しい思いをさせるくらいなら、世界の存亡を賭けたリュウとの決戦も辞さぬ!
オークやティタノボアなどの、他の種族の肉を使わないのも同じ理由で、使えば必ずリュウが食べたいとごねだすだろう。余計な騒動や手間を避ける為には、使う食材も統一しておかなくてはならない。
(困ったものだな)
(本当にリュウの扱いには困るよ、まあ、俺の料理をこれほど食べたいと言ってくれるのは、嬉しい気持ちもあるにはあるが、もう少し周りに気を使って欲しものだ)
(ふむ、嬉しい気持ちもあるのだな?)
(ああ、望まれ求められると言うのは、人の欲望の根源の1つだからね)
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
52
-
-
4
-
-
3395
-
-
111
-
-
337
-
-
841
-
-
4112
-
-
549
-
-
1
コメント