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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第127話田舎の飲み物

(なあミノル、なんでこんなとこに来たんだ?)

(うん、まあ、ちょっと気紛れにね)

(あのなぁ、いい加減我とデュオだと言う事を理解しろよ)

(ああ、そうだったな、嘘や隠し事をしても、身体も心もつながっているから騙せないし隠せないんだったな)

(そうだ、だが念話とは言え話をするのだから、掛け合いする方が気持ちがいいだろう。それにミノルはまだデュオの力を使いこなせないから、我だけが気持ちや知識を隠したら気分が悪いだろう)

(まあそうだな、だが今までの生き方は直ぐ治せないから、つい隠したリ、とっさに嘘をつくのは多めに見て欲しいな)

(分かった、それでなぜここに来ようと思ったのだ)

(ヴィルナの言った事が気になってね)

(ゾッティ伯爵家のハウスキーパーだったな)

(ああ、彼女が飲み水に苦労していると聞いたからね。ゾッティ伯爵領の中には、飲み水に困窮している村があるのか気になったのだよ)

(それで辺境の村々を巡る気になったのか、それでどうだった)

(ビランを持つゾッティ伯爵領は基本豊かなんだが、村によったら貧しい所もあるんだと実感したよ)

(どう言う点が気になったのだ?)

(ヴィルナが言っていたように、水が汚い地方の村では大麦だけを使った自家製のセルヴォワーズと呼ばれる不味い物を飲んでいたからな)

(ああ、あれは栄養価は高いがトロッと濁っていて、とてもではないが美味しいとは言い難い飲み物のようだな)

(セイには、美味しいとか美味しくないとか言う味覚はないんだったな)

(そうだ、根から吸収する水分に栄養価があるかないかの違いだ)

(セルヴォワーズは、セイにとっては栄養があっていい水分なのか?)

(我には濃すぎるな、もっと薄めて欲しいな)

(そうか、そうだろうな)

(そもそも人間が飲めない水であっても、我には何の問題のない水分だ。それに少しでも余裕のある農民は、セルヴォワーズにセージやニガヨモギにゲンチアナの葉や根を加えて、少しでも美味しく飲もうとしていたではないか)

(ほう、結構細かい所まで見てくれていたのだな)

(さっきも言ったではないか、ミノルが興味を持って見ていたもの聞いた物は、我の知識の中でも重要に扱われている)

(そうか、それは有り難い話だな)

(だがミノルにしたら、何の援助の手も差し伸べないな)

(飲み水には適していないが、濁った水は川で十分確保出来ている。麦の収穫量も生きて行くのに困るほど少なくはない。だったら何れ領主がビールの作り方を教えるだろう)

(ふむ、確かにヴィルナがいるような領主なら、手をこまねいていないだろうな)

(だったら余計なことして、これ以上領主に目をつけられないようにしないとな)

(ふむ、だったらもう戻ってはどうだ?)

(俺の本心が分かっているんだろ?)

(ああ分かっているよ、単に会話のテンポをよくしたいだけだ)

(本当に段々俺に染まって来てるな)

(関西人の乗りであろう、それに河内のおっさんの下品さと口の悪さが加わっているのだったな)

(じゃかましぃわぁ!)

(ふむ、では次の村に行こうか)

(そうだな)





(この村の感想を聞かせてくれ)

(自分の本心を我から確認したいのか)

(そうだな、そうかもしれないな)

(ふむ、では話して聞かせてやろう。リンゴ栽培を主産業にしている村で、現金収入と保存の為に作っているリンゴ果汁を発酵させて作るリンゴ酒・シードルの搾りかすに、煮沸してから冷ました水を加えて飲んでいる。これならば何の問題もないと思ったのであろう)

(ああそうだな、俺の故国にも、ミネラルウォーターに僅かに風味付けした物を売っていたから、それほど悲惨な状態とは思えないしな)

(村人が独自で成し遂げた結果なのか、領主の指導で行われたのかは別にして、シードル自体の生産で安定した収入があり、シードルウォーターで飲料水は確保している。全然問題はないし、次の村に行こうではないか)

(そうだな、そうしよう)





(この村も特に困った様子はないな)

(そうだな、地主クラスの豊かな家はワインを常飲しているし、それなりの自作農はブドウの搾りかすに水を加えて作るピケットを飲んでいる。リサーチで調べたが、汁を抜いたブドウの残りかすにも色素・タンニン・糖分がかなり含まれていて、水を加えると再び発酵し、少し酸っぱいが爽やかな飲み物になっているから、何の問題もないな)

(我もそう思うぞ、それに小作農もピケットにリンゴ・梨・野生の桑の実・ニワトコの実・ナナカマドの実など、手に入る物を片っ端加えて、アルコール度を高め量を増やした物を飲んでいる。全く何の問題もないだろう)

(最下層の小作農や作男も、酢になったワインを貰って、煮沸して冷ました水に加えて常飲しているから、日常生活では何の問題もないだろうな)

(そうだな、それに重労働の合間に飲む物は、ワインが支給されているようだから、酢水ばかりを飲んでいる訳でもないようだ)

(そうだね、ゾッティ伯爵領内は治安も安定しているし、民の暮らしも最低限の保証がされているようだね)

(もうこれだけ沢山の村を周ったら、ゾッティ伯爵の政策に納得できたであろう)

(そうだね、もうこれで安心してビランに拠点を築く事が出来るよ)

(見習村は捨てるのか?)

(捨てる訳ではないよ、でもセイの分身体がいてくれるし、見習達が育ったら定期的に戻る必要もないだろう?)

(ふむ、確かに定期的に絶対戻らねばならぬとなると、行動を束縛される事になるな。だが帰りたいとか会いたいと言う気持ちはないのか?)

(本心は分かっているのだろう?)

(何度も言わすでない、会話のテンポだよテンポ)

(ふぅ~、そうだな、会話は分かり切った事を聞いてでも、テンポよく掛け合いすべきだな。今はまだ義務と言うか、助けなければいけないと言う意識だけで、どうしても会いたいと言う感情ではない)

(だったらそれでよかろう、今後1度も見習村に行かないとしても、分身体が上手く運営するだろう)





「主~遅いぞ~」

「やかましいぞ!」

「ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!」

「まったく! 主従契約で家臣となったのだから、もう少し礼儀正しくしろ!」

「ヒィ~、御免なさい!」

「白虎、アグネスへの食事は何を作ってくれたんだ?」

「アグネスがホルモンの焼肉を食べたがったので、ジャイアント・レッドベアーのホルモンを焼いてやりました」

「そうか、だったら晩飯は別の物にした方がいいな」

「ミャミャミャウ、ミャミャミャミャウ!」

「いや、最近毎食毎食ジャイアント・レッドベアーの焼肉だしな、ここはせめて別の魔獣やモンスターを焼肉にしたらどうだ」

「ミャウミャ、ミャミャ、ミャウミャウミャミャミャ!」

「分かった分かった、じゃあジャイアント・レッドベアーのシャトーブリアンとサーロインを厚切りで焼いて、レアの状態で薄切りにしてあげるよ」

「ミャウ!」

「やったね! 俺にも同じ物を焼いてくれるんだよね」

「図々しいぞ!」

「ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!」

「同じ物を焼いてあげるよ、それに白虎用に厚切りにして上げようか?」

「やったね! ぜひ厚切りでお願いします」

「でも味はともかく、シャトーブリアンとサーロインだけじゃ歯応えが頼りないんじゃないか?」

「う~ん、それは確かにそうだな、同じ美味しさで噛み応えのある肉も食べたいかも」

「ツラミを塊で焼いてやるから、それでどうだ?」

「確かにツラミの塊は噛めば噛むほど美味しいな、だがそれだけではなく、カタサンカクとブリスケも塊で焼いて欲しい」

「やかましい!」

「ヒィ~、ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい!」

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