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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第124話ハニートラップ

ビラン冒険者ギルド:食堂兼酒場

(なあ、セイ)

(何だミノル)

(これってハニートラップだよな?)

(ミノルと共有している知識から言えば、おそらくそうであろうな)

(やっぱり俺は危険人物なんだろうな)

(ミノル自身がそう考えていたではないか)

(うん、そうなんだ、そうんだけど、俺はあくまで頭の中で考えていただけだった)

(日本にいた頃と違い過ぎて、頭で分かっていても感情が追い付かないと言うのだな)

(そうなんだよなぁ)

(まあ良いではないか、人間種は毎日でも種付けしたい種族であろう)

(それはそうなんだけどな、どうもな、こう言うのは苦手なんだよな)

(まあ日本では酒が飲めなかったから、こう言う場には慣れていないと言う記憶は共有している。だがな、今のミノルは解毒能力があるし、身体異常回復能力もある。酒をどれほど飲もうと酔う事はないぞ)

(酒や薬物によってトラップに引っかかる事はないと言いたいんだな)

(そうだ、全てをミノルの意思で行えるのだ)

(それが嫌なんだよ、酔った勢いって言い訳できないじゃないか)

(ふう、前もくどくどと考えていたではないか。まだ子孫を残すか残さないかの決断が出来んのか?)

(感情も俺と共有しているんだろ、だったら分かってるだろうが!)

(刻一刻と気持ちが変わっているな、人間種は本当に優柔不断だな)

(やかましいわ!)

(で、どうするのだ?)

(さっさと酔わせてアグネスの元に戻るよ)

(ふむ、まあ好きにするがよかろう。直ぐに気持ちが変わっても笑いわせんよ)

テューレ殿との話が終わり、テューレ殿の部下の1人が直ぐにギルドマスターに説明に走ってくれた。何であろうとギルドの規則を曲げるとなると、マスターの許可を受けなければならない。

すると直ぐに部下が戻って来てテューレ殿に報告をしたのだが、テューレ殿が眉を曇らせて話し出したのだ。いや、聞こえていたよ、別に盗み聞きする気が無くても、恐ろしく向上した身体能力の1つで、地獄耳になっているんだ。

マスターが直接話し合いたいから、食堂兼酒場で酒を酌み交わそうと言うのだな。

で、行ってみればマスターが、フィオレンザと3人の美女と共に待っていたのだ。

ちらっと受付を見て見れば、何時もより人数が少なく、冒険者への対応が出来ていない、とは言えなかった。

はなたれ焼酎で大宴会をしているドワーフ族は勿論、人間族や獣人族にリーザドマンなど、ありとあらゆる種族の酒好きが宴会を行い、ギルド自体が閑散としていたのだ。

「ミノル殿、今回は無理を聞いてくれてありがとう。今後の事を話し合いながら、ささやかではあるが、お礼を兼ねて酒を奢らせてほしいのだ」

「そのようなお気遣いなど不要ですよ」

「いやいやそうはいかんよ、御領主様からもくれぐれも宜しく伝えてくれと言われておる。直接御領主様がここに参られることは無理だが、名代の女官が来ると言う伝令があったのでな、その間ゆっくり飲もうではないか」

(ほっほう、領主が直接介入してきたか)

(いやな想像通りになって来たな、やっぱり目をつけられていたんだな)

「ありがとうございます。御領主様の名代が来てくださるとなると、遠慮させていただくわけにはいかないのでしょうね?」

「そうだな、遠慮が逆に無礼になってしまっては、余計な波風を立ててしまうかもしれんな」

「そうですね、だったら綺麗な女性もいてくれますし、ゆっくり時間を掛けて飲ませていただきましょう。これでも飲んでみて下さい」

「「「「キャァ~~~、嬉しぃ~~~」」」」

(うるさいな!)

「うるさいぞ! 静かにせんか! 申し訳ないな、ミノル殿、こんな貴重な酒を出してもらえるとは思ってもいなかったのでな。酒好きの女どもが思わず声を出してしまったようだ」

「仕方ないですよマスター! 比較的給料にいい私達ですけど、ミノル様の焼酎を買えるほどは裕福じゃないんですよ」

「そうですよマスター、冒険者の皆さんが焼酎を買うのを指を咥えてみるしかなかったんですよ!」

(ギルドマスターも、ミノルを酔い潰そうと美人で酒豪の女を集めたのだな)

(そのようだね、でもそれが裏目に出ちゃったね)

(そうとも限らんぞ)

(どう言う意味だい?)

(本当は分かっているのであろう。酒好きの美女がミノルと飲む機会を得たのだ、仕事や命令を越えて、本気でミノルを落としに来るぞ)

「情けない姿を見せてしまっているな」

「いえいえ、俺が提供した酒が評判になっていると実感できてうれしいですよ。まあ飲んで下さい」

「ありがとう」

俺が一升瓶を傾けてギルドマスターに御酌をしたが、フィオレンザと3人の美女も期待に満ちた表情で一升瓶を睨んでいる。流石に俺がテーブルの上にドンと出した、他の5本の焼酎に手を伸ばすような不調法はしなかったが、その眼は爛々と輝いている。

「私がミノル様に御酌させて頂きます!」

「いえ私が!」

「私がさせて頂くんです!」

「まあ、まずは皆に俺が酌をさせて頂きますよ」

(四匹の雌虎に囲まれているようだな)

(名代の女官が来るとしたら、5人いなる可能性もあるな)

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