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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第122話暇です

ビラン冒険者ギルド:査定場兼解体場

(暇であろう)

(まあな)

(直ぐにキャンプに戻ってアグネスと遊びたいのであろう)

(分かっているならいちいち念話を送ってくるな)

(我も暇なのだ)

(査定基準と解体法を覚えてくれたらいいだろう)

(もう覚えた)

(左様ですか)

(信用しているから任せると言えばよかろう)

(そんなことは出来んよ)

(何故だ?)

(そんな事を言えば、誠意をもって査定してくれているテューレ殿を侮辱する事になる)

(そうなのか?)

(少なくとも俺はそう思っているよ)

(それでアグネスに会いたいのを我慢して、査定を聞いているのだな)

(俺の知識とする為に聞いている面もあるよ)

(我が覚えたのだ、ミノルも覚えているではないか?)

(まあそうなんだけどね、以前の習慣で、知識は定期的に思いだす事で忘れなくする。技術も定期的に使う事で衰えないようにしたいんだよ)

(それでさっきから、ジャイアント・レッドベアーを解体するイメージ思い浮かべているのか)

(そうだよ、実際に解体することも大切だけど、現物がない場合もあるからね。そんなときはイメージトレーニングだけでもしておいて、技術を頭の中でだけでも再現するのさ)

俺はテューレ殿が査定しながら解体して下さる場にずっといた。ジャイアント・レッドベアーは勿論だが、ジャイアント・ブラウンボア、オークも持ち込んでいた。

何故どこでも解体できるオークまで持ち込んだかと言うと、ビランで急激な食肉不足・競売品不足が起きてしまったからだ。

そして何よりその原因が俺だったからだ!

まあ簡単な話なのだが、俺とドワーフ族と冒険者ギルドで締結した「はなたれ焼酎契約」の影響で、ドワーフ族が酒まみれと成って一切働かなくなったのだ。恐らく有り金全てを飲み尽くすまで、ドワーフ族の大酒宴は終わらないだろう。

次の日に起こったのが、ドワーフ族以外の酒好きによる大酒宴だった。まあこちらはドワーフ族のように全員が参加する者ではなく、気のあった者の集まりだったのだが、酒好きが働かなくなったのは同じだ。

まあドワーフ族とは違って、有り金全部飲み尽くすまで働かない訳では無いだろう。訳ではないはずだ。そうあってくれ!

そこでまたオードリーを通じて冒険者ギルドから依頼があり、手持ちの魔獣やモンスターを売る事になった。流石に俺が食べるジャイアント・レッドベアーとジャイアント・ブラウンボアの食肉を売る事は出来ないが、食べないオークの肉なら幾らでも売ってやる。それにビランなら、リーダー級以上の高級素材を高値で買ってくれる可能性が高い。

いや、大酒宴が開かれている今なら、酒の勢いで普段なら食べない高額料理を注文する可能性が有る。

現に目先の利く酒場の中には、テーブルチャージ料を支払い料理も注文する事を条件に、俺が売った焼酎の持ち込みを許す店が現れたのだ。そんな店では料理の単価を正当にあげるために、高級食材を仕入れだしたのだ。

この状況下で食材不足が起きたのだから、ビラン冒険者ギルドが慌てるのも当然のことだ。裕福な街だから、食材を輸入するなど簡単な事なのだが、それでは冒険者ギルドが全く利益を上げれないのだ。

そしてこの問題に1番反応したのは領主だったろう。領主からみれば、莫大な収入源である冒険者ギルドで狩りが行われなくなったのだ。しかもその上で食料を輸入するとなると、領内の金が流出する事になる。収入が途絶えた上に、今まで輸出していた食料を輸入しなければならなど、絶対見過ごせる事ではなのだ。

恐らくギルドマスターと領主は昵懇(じっこん)の仲なのだろう

冒険者ギルドは領主にとって、莫大な利益を上げる収入源であるだけでなく、反乱を起こせるほどの戦力を持っているのだ。常に情報を集め、即座に介入できる体制を築いているはずだ。

ギルドマスターも、根も葉もない噂や疑惑で殺されたくはないだろう。当然頻繁に御機嫌伺いに行き、全ての情報を提供する事で身の安全を図っているだろう。あのギルドマスターなら、当然それくらいの事は行っているはずだ。

(色々考えているのだな)

(当然だろう)

(全部実力で圧倒出来るであろう)

(実際やろうとしたら止める癖に、試しているのか?)

(いや、単なる嫌がらせだ)

(段々性格が悪くなってないか?)

(ミノルの本性に影響を受けているのだ)

(それはそうだろうが、本当のことを言われると腹が立つな!)

「ミノル様、聞いておられますか? 怒ってしまわれました?」

「ちゃんと聞いているし怒ってもいないよ」

「で、どうでしょうか?」

(売ってやればよかろう)

(だがなぁ~、俺も好きだしアグネスも白虎の1番美味しいと言ってるからな)

(何を食意地を張っている、あれほどの量のジャイアント・レッドベアーは人間や白虎で喰い切れる量ではあるまい)

(分かっているよ、分かってはいるんだが、何時までも全部劣化させずに保存できるとなったら、無理に売らなくてもいいなぁ~と思っちゃうんだよ)

(領主と揉め事を起こしたくないのであろう、だったらオークだけではなくジャイアント・レッドベアーの食肉も売ってやれ。100頭しかないジャイアント・ブラウンボアまで売れとは言わん)

(そっかぁ~、仕方ないな、領主にはいい印象を与えておくべきだよな)

(酒の件で恨まれているんだ、それくらいの事はやっておけ)

(はいはいはい、分かりましたよ)

「分かったよ、ジャイアント・レッドベアーの食肉なら売ってもいいよ」

「本当ですか?! ありがとうございます!」

「あぁあぁぁ、いいなぁ~」

「なによフィオレンザ、貴女仕事もしないで私達につきまとってどう言う心算なの?」

「仕方ないじゃない、ギルドマスターにミノル様を見張れって言われてるんだから」

「なによそれ!?」

「あのねぇ~、今ミノル様がギルドの命運を握っているのよ、マスターが気にかけるのは当然じゃないよ」

「そんなの仕方ないじゃない、ミノル様が実力があるからで、何も悪いことされてないわよ」

「悪気が無くても、実際に大きな影響が出てるんだから、ギルドが警戒するのは当然なの。オードリーもミノル様の専属に任命されてなかったら、私と同じように警戒していたでしょ」

「それは、それはそうだけど、でも今の私はミノル様の専属担当よ、ミノル様の利益を図るのが当然よ」

「そうよね、ミノル様の御蔭で莫大な歩合が手に入るんですものね」

「フィオレンザ!」

「そう妬まれているのよ! 気をつけなさいよ」

「そう言う事か、だったら何とかしなければならないな」

「ミノル様!」

「どうしてあげてくれるのかな?」

「ギルドマスターにオードリーの護衛をつけてもらおう」

「えぇぇぇぇ!」

「そんなこと出来るんでしょうか?」

「できるよなフィオレンザ」

「それは」

「ギルドマスターから俺の監視を命じられているんだろう? だったら俺が、オードリーに迷惑をかけるくらいなら、別の冒険者ギルドにジャイアント・レッドベアーを売る事を考えていると伝えてくれ」

「ミノル様、そこまでして頂かなくても大丈夫です」

「本気ですか、ミノル様」

「俺の所為でオードリーが苦しむのは見ていられないよ」

「ありのまま伝えてこい、フィオレンザ」

「テューレ殿」

「ギルドが働いている職員を護るのは当然のことだ、それが出来ないようならギルドを解散するべきだ」

「そんな」

「マスターに伝えろ、職員を護らないようなギルドなら、俺も他のギルドに移るとな」

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