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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第117話ドワーフ族代表

「値段はどうなるんだ?」

「領主御用達のワイン屋を基準にしたい」

「あの糞偉そうな店か!」

「ああ、あの店で年代別で売られている、最高級ワインと同じ値段で買ってもらう」

「それは余りに法外であろう!」

「だがどうしても欲しいのだろう?」

「欲しい! 欲しいわ欲しいが、高すぎると買えん」

「だがこの街のドワーフ族の稼ぎなら払える値段であろう」

「確かにたまには払えるであろう、高額な獲物を狩れた場合なら飲むことは可能だ。だがそんな値段では、普段から日常的に飲むことが出来なくなる!」

「だがな代表、俺の持っている酒は産地でも極少数しか作れない特殊なものだ。年代物のワインと同じで、欲しい人の数に比べて売れる量が少なすぎるのだよ」

「だが年代物のワインはもう2度と作れないが、ミノル殿の持ってくる酒はこれからも作れるのであろう」

「確かに作ることは出来る、だがその為には設備を整えなければならないんだ」

「それは我々ドワーフ族が高値で買えば、その金で酒を増産する設備に投資してくれると言う事か?」

「そうだ、それに本当に美味い酒を作るには、最低でも3年は熟成させねばならん。まして極上の酒を造るには、10年20年30年、いいや、100年200年と熟成させねばならん」

「なんだと! そんなに熟成させようと思ったら、何年もあの酒を飲めなくなるではないか!」

「だがな代表、10年熟成酒にすべき物を今年飲み切ってしまったら、来年作り出したとしても10年熟成酒が飲めるのは11年後になるんだよ」

「う~む、う~む、う~む」

「代表も1年物の泡盛と5年物・8年物の泡盛は飲み比べてのだろう」

「うむ、飲み比べた! 飲み比べて味の違いに愕然とした!」

「だったらどうだ、俺が責任を持って熟成泡盛古酒を作ってやる。それこそドワーフ族が大切にしている記念日に合わせて、10年20年100年熟成した熟成泡盛古酒を作ってやろう」

「その代わりに我らドワーフ族に、ミノル殿の持ってくる全ての酒に、年代物のワインと同じ値段を払えと言うのだな?」

「そうだ、もし俺が今年作られた泡盛を全て買い占めて、全部をドワーフ族に売ったとしよう。ドワーフ族はその泡盛を飲まずに、10年20年と熟成させる事が出来るのか」

「無理だな、働く事も止めて、全ての泡盛を飲み干すまで酒盛りを続けるだろう」

「だろう、もし俺がドワーフ族が普通に買える値段で、ウォッカ、テキーラ、ジンなどを売ってみろ。それこそ全ての酒が無くなるまで、ドワーフ族は働かなくなるのではないか」

「確かにその恐れは十分にある! いや、多分儂もラム・ロンリコやウォッカ・スピリタスを飲み出したら働かなくなるだろう。特にアブサンを飲んだら絶対に働かなくなるな」

「ほう、そんなにアブサンが気に入ったか」

「ああ、あの独特の風味は癖になる! あれを取り合って多くのドワーフ族と殴り合いになった」

「日頃から行われている酒の争奪戦の勝者が、ドワーフ族の代表になるとオードリーから聞いたが、それは本当の話なのか?」

「うむ本当の話だ、だがあくまでも酒の争奪戦を繰り広げる程度に集まる人数の代表だ」

「なるほどな、仲間内の代表と言う事なのだな」

「ああそうだ、今回はこの街に住んでいるドワーフ族の総意で、ミノル殿と酒売買交渉をすると決めていたから結構大人数の代表だがな」

「普段は仲良く飲む間柄あいだがらだけでの習慣なのだな」

「そうだ、普段はパーティー内での代表や連合パーティー内での代表だ」

「その全てを殴り合いで決めているのか?」

「いや普段は違う」

「普段はどうやって決めているんだ?」

「酒の飲み比べだ」

「何故今回は飲み比べをしなかったんだ?」

「この街にいる全てのドワーフ族が、一斉に飲み比べをするのだぞ、そんな事が可能な店はないし酒自体が揃わん」

「なるほどね、酒が足らなくなるのだな」

「そいう事だ」

「で、殴り合いで決める事になったのか」

「そうだ、腕っぷしが強い者が代表でなければ、ミノル殿から買い取った酒を公平に分けることが出来なくなる」

「ああそう言う事か、弱いものが代表だと強い者が腕力で奪おうとするんだな」

「ああ、恐らく、いや、必ずそうなるであろう。儂が代表でも、幾人か幾十人かは分からぬが、酒を奪おうとする者が現れるはずだ」

「ドワーフ族の酒好きは度し難いな」

「それは仕方がない事だ、ドワーフ族にとって酒を失った生活など生きる価値がないのだ」

「俺には理解出来んよ」

「人間族に理解してもらおうとは微塵もおもっておらん! それで値段の事は納得したが、肝心の量はどうなるのだ?」

「そうだな、前金制なら全部の注文に応じよう」

「あぁ?! 喧嘩売っているのか!」

「いや本気だ」

「ドワーフ族の酒好きと資金力を舐めているのか?!」

「ふむ、ではさっき言ったように泡盛は無理だが、Uウオッカなら証明できるがそれで好いか?」

「証明出来るのなら証明してもらおうじゃないか!」

「ではこれでどうだ?」

俺はアイテムボックスから、U社の1800mlのウォッカ6本セットを100セット取り出して見せた。最初は怒りに満ちら目で見ていたドワーフ族の代表だが、次々と取り出されるウォッカのセットを見て段々唖然とした表情と成り、最後には涎を垂らし始めた。

「こ、こ、こ、これを全部売ってくれるのか!」

「ああ、あくまでも前金を支払ってくれればだがな」

「ここで売ってくれるのか?!」

「おいおいおい、それでは代表が不正を疑われてしまうのではないか?」

「そんな事はない! 代表ではあるが、ミノル殿の酒は冒険者ギルドでドワーフ族だけが買える物と言う、ミノル殿、ドワーフ族、冒険者ギルドの契約を締結する心算だった」

「心算だったと言う事は、今は締結する気が無くなったのか?」

「なくなった!」

「何故だ?」

「締結する前に、俺の有り金全部で酒を売ってもらう!」

「そう言う事か、それならば何が買いたいんだ」

「ウオッカ以外でもいいのか?」

「年代物のワインと同じ値段を払ってくれればな」

「具体的にいくら払えばいいんだ!?」

俺はオードリーやフィオレンザが、冒険者ギルドのマスターや販売責任者、果ては隻腕の鑑定官・テューレ殿まで巻き込んで決めてくれた値段表を、アイテムボックスから取り出してドワーフ族の代表に見せた。

U社・40度1800mlウォッカ   :小金貨45枚
S社・40度1800mlウォッカ   :小金貨45枚
テキーラ:40度750ml      :小金貨20枚
イエーガーマイスター:35度700ml:小金貨18枚
ジン:47度750ml        :小金貨20枚
ブッカーズ:63度750ml     :小金貨20枚
アブサン:70度500ml      :小金貨14枚
ラム・ロンリコ151:75度700ml:小金貨18枚
ウォッカ・スピリタス:96度500ml:小金貨14枚

正直俺の仕入れ値段はぼろくそに安い!

暴利と言うしかない値付けなので、多少の仕入れ値の違いなど無視して、量による値段設定にしてある。

それに細かい事を言えば、酒を入れてある透明なガラス器を作り出す技術は、この世界には存在しないものだ。ガラス自体を創り出すことも、酒瓶として成型することも可能なのだが、全く濁りのない透明なガラスを創り出すことは出来ない。更に言えば、ガラス瓶の強度も俺がドローン配送で取り寄せた物の方がはるかに強い。だからドワーフ族が少々乱暴に扱っても割れ砕けることがないのだ。

今はまだほとんど存在しない綺麗なガラス瓶だから、それだけでも小金貨で5枚6枚の値段がついてもおかしくはない。

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