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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第112話酒場巡り

「ミノル様~、何とかして下さい」

「いや~、何とかと言われてもね~」

「毎日毎日ドワーフ族が、ミノル様はどこにいるんだって詰め寄って来るんですよ!」

「それは俺の所為じゃないだろう?」

「ミノル様が、あんなお酒をドワーフ族に与えたからじゃないですか!」

「おいおいおい、さっきから声が大きいよ。俺と一緒の所をドワーフ族に見つかっても大丈夫なのか?」

「! すみません!」

(この娘、随分と怯えておるな)

(相当ドワーフ族に攻め立てられたんだね)

(まあ仕方なかろう、酒にとち狂ったドワーフ族は始末に負えんからな)

見習村を任せられる人材が揃ったので、俺はリュウを料理で釣り出してローファン王国・ビランまで送ってもらった。

面倒事は避けたかったので、変装の魔法・ディスガイズを使ってビランに入った。行動を起こす前に詳しい状況を確認したかったので、俺専属受付になったオードリーを密かに呼び出したのだ。呼び出す時も気を使い、道を歩いていた子供に小銭を渡して呼び出してもらった。話をする場所も、ドワーフ族が近寄りそうになり喫茶店にしたのだ。

「まあここなら大丈夫だろうが、用心したほうがいいからね」

「はい、ごめんなさい」

「それでドワーフ族はともかくとして、俺が売ったジャイアント・レッドベアーの在庫はどうなっているの?」

「ほぼ完売いたしました、特に薬用に使う部位は即日完売いたしました」

「また持ち込んでも大丈夫かな、値崩れしたりはしないかい?」

「それは大丈夫でございます、ギルドにも随分利益が上がりましたから、在庫を持ってでも買い取らせていただくはずです」

「そうか、ドワーフ族対策が出来たら買い取ってもらう事にしよう」

「はい、ミノル様」

(この娘、随分嬉しそうだな)

(以前俺の専属受付になったと言っていたから、俺の売り上げによって歩合が出るんじゃないのかな)

(なるほど、金目当てか)

(そう言ってしまったら身も蓋もないけど、冒険者も商人も金目当てだからな)

(ふむ、それもそうだな)

「もう御菓子はいいのかい? オードリーにはこれからも世話をかけることになるから、好きな物を注文してくれ」

「いいんですか? ここはダリオールだけじゃなくクラップフェンも美味しくて有名なんですけど、その、少々お高いんです」

「俺の稼ぎは知っているだろ、遠慮せずに食べてくれ」

「本当ですか、ありがとうございます。すみません~ん、クラップフェン下さ~い」

「は~い、直ぐ御持ちします。御飲み物のお代わりはいかがですか?」

「俺はローズティを頼む、オードリーは何がいい?」

「ホットチョコレートを頂いていいですか!?」

「それとホットチョコレートを下さい」

「は~い、少々お待ちください」

「さてそれでだ、冷静に話し合うにはどうすればいい?」

「ギルドマスターとも話し合ったのですが、ミノル様が直接販売するよりは、ギルドを通じて商人に卸売し、商人がドワーフ族に売るのが1番問題がないと言われていました」

「そうか、だがそうなると直接販売より利益が薄くなるよな」

「そうですね、ただ販売の煩わしさはないと思われます。特に酒に狂ったドワーフ族に絡まれることがないのは、少々のお金には代えられないと思います」

「そうだな、だが直ぐに全部を決める訳にはいかんから、今夜も相談に乗ってくれるかい?」

「はい、お任せ下さい。どこで相談させていただきましょう?」

「酒の販売相場を知りたいんだけど、いい店はないかい?」

「そうですね、ミノル様の変装なら見破られないとは思いますが、最初はドワーフ族が行かない店がいいですね」

「ドワーフ族が行かない酒場なんてあるのか?」

「ドワーフ族は酒精の強い酒が好きなので、比較的酒精の弱い麦酒の専門には、ドワーフ族が少ないんです」

「この街には麦酒の専門店なんてものがあるのかい?」

「はい、この街には冒険者や商人でも裕福な者が多いですから、命の洗濯に多少の出費を厭わない者も結構いるのです」

「じゃあオードリーの仕事が終わったらそこで会おうか」

「はい!」




「自家製ビールメニュー」
マールス   :ランビックを造った後に造る薄いビール
グーズ    :熟成期間1年の若いランビックと2年物のブレンド
ファロ    :グーズに黒砂糖をブレンドした物
ランビック    :3年以上も樽の中で自然発酵させたもの

「仕入れビールメニュー」
セルヴォワーズ:大麦だけを使った不味い物
メドン    :蜂蜜入りセルヴォワーズ
ヴィット   :小麦粉が原科でオレンジピールで風味づけ
バイツェン  :小麦粉が原科で酵母が白く混在する
ホップ    :ホップだけを入れています
エール    :酵母が泡の表面に浮かぶ上面発酵方式です

「酒精別メニュー」
シングル  : 3度
ダブル   : 6度
トリプル  : 9度
クァドルプル:12度
ストロング :15度

「随分と個性的な店だね」

「はい、麦酒好きが集まる店なんです」

「メニュー表が幾つにも分かれているけど、どうなっているんだい?」

「まず自家製の麦酒を飲ませてくれるのがいいんです!」

「そ、そうなのかい?」

「はい! まず3年以上熟成させた自家製ビールを飲ませてくれるのは、この店以外にはないんです!」

「お、お、そうか」

(この娘、随分とビール好きのようだな)

(そうだな、下戸の俺はちょっと引いてしまうな)

(我とデュオとなったのだから、どれほど酒精の強い酒でも飲めるようになっているぞ)

(分かっているんだけどな、それでもあまり飲みたいとは思わないんだよな)

(で、酒好きの女は苦手か?)

(まぁそうなるな)

「それでですね! 自家製だけだとランビック の製造が追い付かなくなって、各地の銘麦酒を取り寄せるようになったんですよ」

「ほ、ほう、だが自家製メニューには、ランビック以外の麦酒もあるようだが?」

「まあ、ねぇ、麦酒好きでもみんな裕福とは限りませんから、安い麦酒で我慢する人もいるんですよ。それに普段は裕福な冒険者や商人の方でも、手元不如意の時が有るんですよ」

「そうだな、いつもいつも狩りや商売が上手くいくとは限らないからな」

「そうなんですよ! でもこの店はそういう人にも麦酒を提供できるように、安い麦酒も作ってくれているんですよ!」

「お、お、そ、そうか、ビールばかり飲んでいたら身体に悪いぞ、食べ物も頼んだらどうだ」

「いいんですか?」

「いいぞ、何を頼もうか?」

「ここのフリッターの盛り合わせが、麦酒に最高に合うんですよ!」

「そ、そうか、お姉さん! フリッターの盛り合わせを2人前頼む」

(食べるのか?)

(ああ、この店で人気のようだからな、この街で好まれる味覚を知るには丁度いいからな)

(そうだな、この娘以外にも多くの客が注文しているようだな)

(そうだね、川鱒のパイ包み焼きもよく出ているね)

(そのようだな、頼まないのか?)

(2人じゃ食べ切れないだろう)

(食べ切れなければ、アイテムボックスに入れておけばよかろう)

(そうだった!)

「それですね、ミノル様、聞いてますかミノル様!」

「シィィ! 声が大きい」

(遮音の魔法をかけておくぞ)

(頼むよセイ)

「仕入れ麦酒は毎日毎日メニューが変わるので、どんな麦酒が入ったのか気になって気になって、毎日来たくなるんですよ、分かりますか? 分かりますよね、聞いてますか?」

「そうかそうか、分かるよ、聞いているよ」

「それにね、ミノル様、この店は酒精別に麦酒を選ぶことも出来るんで、酒精の強い麦酒が飲みたい通な人もたくさんたくさんあつまるんですよぉ~」

(この娘、ドワーフ族が来ない店と言うのは嘘で、自分の行きつけの店に案内したな)

(多分そうだな、だがお陰でいい勉強になったよ)

(何のことだ?)

(日本で酒を飲まなかったから、麦酒の酒精がこんなに幅広いとは知らなかったんだよ)

(ふむ、我もこれは知らなかったな。ミノルの知識を共有しているから、沢山の新たな知識を得たが、ミノルの知らないことは知りようがないからな)

「ミノル様! 聞いてられますか?」

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