初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!
第111話出立準備
「ミノル様、この子達を許してやってもらえないでしょうか?」
「ふむ、ノーラとプリネラとレイナだったね、それに他のパーティーメンバーの3人も、本気で俺の配下になりたいの?」
「正直に申し上げれば、配下になりたい訳ではありません。でもラーラさんの下で修行し直したいので、その為に仕方なくミノル殿の配下に加わるのです」
「ノーラ! この期に及んであなたは何ていう事を言うのです」
「まあまあラーラ、正直な方がいいよ。嘘をついて入ろうとしていたら、この場で殺していたよ」
「「「「「!」」」」」
「本当に愚かな弟子達で申し訳ありません」
「だが俺に反感を持っている人間を、村の中に立ち入らせる訳にはいかない」
「はい、それは当然でございます」
「村の外にキャンプを張るのは冒険者の自由だから止めないけど、ダルダーロさんやラーラさんがそれに付き合うのは許さないよ。ちゃんと家族と村の住居で暮らしてもらうよ」
「はい、そうさせていただきます。それで訓練をつけてやるのは許していただけるのでしょうか?」
「村とテトラの往復時や、見習達を実戦狩り訓練に連れて行くときに、ダルダーロさんとラーラさんの技を見て盗むのは自由だよ」
「ミノル様は、直接指導をするなと言われるのですね」
「今のテトラ冒険者組合では、ノーラ達パーティは1・2を争う実力者だろう? そんな者達に手取り足取り教えても対して役には立たないよ。ようは普段の心構えや立ち振る舞い、危機に接した時の行動を学び取る事が大切だよ」
「ミノル様の申される通りですよ、貴方。この子達に直接技を教えるよりは、私達が見習達に教える姿を見学させる方が、よほど身につきますよ」
「そうなのか? お前がそう言うのならそうなんだろうな」
「それでいいね、ノーラ!」
「はい、姉さん」
(ミノルにしては随分厳しいな)
(まあね、見習達はもちろんダルダーロさんやラーラさんにも口止めしているけど、御神木の存在は絶対知られる訳にはいかないからね)
(ノーラ達は信用できないのだな?)
(俺に反感を持っているからね、意識して言触らすか無意識に漏らすかは別にして、恐らく広めてしまうだろうな)
(ふむ、恐らくミノルの言う通りになるだろうな。だからノーラ達の気配を察して、村の外までで迎えに行ったのか?)
(ああ、ダルダーロさんとラーラさんは本質的に好い人だから、御神木の事は漏らさなくても、御神木がモンスターを運んでいる姿を見せてしまうかもしれないからね)
(だが村の周辺にキャンプを張られたら、どうしても見られてしまうのではないか?」
(非常脱出口にも使える地下トンネルを作り、そこから魔獣やモンスターを中庭に運ばせてくれ)
(森から魔獣やモンスターを集めるのはどうする?)
(テトラとの往復時や、実戦狩り訓練の時に集めさせてくれ)
(色々と面倒だな)
(仕方ないさ、ダルダーロさんやラーラさんにも絆と言うか、今まで生きてきたしがらみが有るんだから)
(人間とは面倒な生き物だな)
(よく言うよ、セイだってリュウや原初の人間とのしがらみは有るんだろ)
(ふむ、確かにそれはそうだな)
(だがこれで安心してビランに行けるよ)
(ふむ、確かにテトラとの往復も実戦狩りも、段違いに戦力が増強されたな)
(見習達も表面上のレベルは直ぐに上達するだろうけど、細かな事前準備や索敵はラーラさんやプリネラから学ぶところは多いだろう)
(ふむ、それでいつビランに行くんだ?)
(明日だ)
「主~、昼飯も作ってくれるのか?」
「ミャウミャウミャ?」
「ああ、何がいい?」
「ステーキ!」
「ミャウ!」
「本当に朝昼晩とステーキでいいのか?」
「玉子もシチューも食べてるぞ?」
「ミャウ~」
「今朝の朝食だって、玉子だけでは物足らないと、ステーキも焼かせたじゃないか!」
「だから元々毎日生肉なの、肉なしの食事は有り得ないから!」
「ミャウ!」
「分かった分かった、直ぐ焼いてあげるよ。オーブンとバーベキューコンロを用意してくれ」
「え~、面倒だよ~」
「白虎!」
「ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい」
「セイも準備してくれるか? ジャイアント・レッドベアーの丸焼きも作りたいから、それが出来る野外装置が必要なんだ」
「リュウを釣り出すんだな」
「ああ、ビランに行くのなら、リュウの手助けが必要だからね」
「ジャイアント・レッドベアーの丸焼きで原初の竜を釣るのか、豪快な釣りになるな」
「まあそれに、愛情で美味しくなると言われちゃぁ~ね、時間が有る時に作り置きしておいてやりたくなるじゃないか」
「母性本能だな」
「父性本能だよ!」
「余を呼んだかミノル!」
「はやいな! また覗いてたのかよリュウ?!」
「ふん、たまたまじゃ」
「まだ焼けてないよ、焼けるまで待てなかったのかよ」
「生焼けでもよいぞ、早く喰わせろ」
「レアか? レアでも美味いのかね?」
「なんもよい、なんならミノルの故国の料理でもよいぞ」
「そうそう思い通りにされてたまるかよ! 今日は日本の料理は出さないからな!」
「ミノルはケチだな!」
「リュウ、開拓村で食事するようになって、変な言葉覚えたんじゃないか?」
「ふん、お前の行動を見て覚えたのじゃ、開拓村の所為ではないぞ」
「俺?! 俺がそんな言葉使ったか?」
「さぁな、ミノルだったか白虎だったか、それとも冒険者だったかは忘れたが、ミノルを見張っていて覚えたのじゃ」
「見張るってね~、よく平気で言ってくれるよ」
「ふん! 余に内緒で美味しい物を食べられる訳にはいかん」
「度し難い食意地だな」
「うるさいわ! まだ出来んのか?」
「今必死で焼いてるし揚げてるわ!」
「そうじゃ、あれを喰わせろ、作り置きがあったであろう」
「何の事を言ってるんだ?」
「オープレイのハンバーグステーキにハムやベーコンが有ったであろう。ジャイアントレッドベアーのハンバーグステーキにソーセージ、ベーコン、ハムもあったはずじゃ!」
「よくぞそれほど覗き見していたな、だが開拓村で同じ物を作らせたんじゃないのか?」
「まことに残念な事だが、ハムやベーコンはまだ出来ておらん」
「それはこっちも同じだよ」
「だがソーセージは喰えるであろう、喰わせるのだ!」
「あれはアグネスと白虎の為に作ったのものだよ」
「だがミノルは余に運んで欲しいのであろう、だったら余が望む物を喰わせるべきだ!」
「ミャウミャウミャウ!」
「アグネスの言う通りだぞ、リュウに喰わせるのなら俺達にも食べさせてくれよ~」
「ああああ、ウルサイ、うるさい、五月蝿い」
「じゃあ俺が焼いてる間にミンチ、それもソーセージ用にエマルジョン状にしたやつを作っておいてくれ」
「それはできん!」
「ええぇぇぇ」
「ミャあ?」
「何文句言ってんだよ、喰ったらなくなっちゃうんだぞ、次の下ごしらえ位してくれよ」
「余が料理の下ごしらえなど出来ん、そんな事をするのは恥である」
「今日はもう手伝ったじゃん」
「ミャウミャ?」
「ほい、ジャイアント・レッドベアー唐揚げが出来たぞ、中はレアかもしれないが、お前らなら大丈夫だろう」
俺はアグネス、リュウ、白虎のそれぞれが食べれる大きさの唐揚げを作っていた。話しかけていたのは、出来上がるまでの時間稼ぎだったのだ。せっかく面倒な下ごしらえをして作ったソーセージを、リュウに喰われる訳にはいかない。そんな事になったら、作り置きがどれだけ沢山あっても足らなくなるのは明々白々だ。
「おおおおお、美味いではないか、中がレアでろうが関係ないぞ!」
「本当だ、でもあんまりレアじゃないぞ?」
「ミャウ!」
「元々の肉の大きさが違うからね、リュウのは大きな塊になるから、どうしても中まで火が通らないよ」
「「「……」」」
「返事くらいしろよ!」
俺は必死でありったけのフライヤーでジャイアント・レッドベアーの肉を唐揚げにしているが、使ってる肉は比較的脂の少ない、2級以下の部位を使っている。素材をそのまま焼いて勝負するステーキだと、1級の素材を使うのと2級の素材を使うのでは大きな差が出てしまう。
だが刺激的な香辛料をふんだんに塗し、油であげる唐揚げは違う。香辛料の衣と油を一緒に食べるから、脂分の少ない部位でも十分美味しく食べることが出きる。いやむしろ脂分が多すぎる部位だと、くどくなってしまう事すらあるようだ。
正直今はどの魔獣やモンスターの、どの部位の肉が何の料理に合うのか試行錯誤中だ。俺も3人の隙を見て味見をしているが、3人の正直な感想も聞いておきたい。俺はかなり味覚に偏りがあるから、アグネス、リュウ、白虎と言う種族の違う味覚の感想が今後のために必要だろう。まあ本当は同じ人間に感想を1番聞きたいのだけれど。
「オーブン焼きも出来たぞ、それぞれの分を食べな」
「「「……」」」
「返事くらいしろって言ってるだろ!」
俺の手持ちの調理器だけではなく、白虎が人型モンスター調理用に持っているフライヤーは勿論、オーブンやバーベキューコンロも総動員して料理している。セイが何も言わずに手伝ってくれているから、俺は仕上げだけに専念出来ているけど、そうでなければここまで手早く作ることは出来なかっただろう。
非常時だからストックしていた市販の調味料を総動員して、各社の塩胡椒・ミックス唐揚粉・バーベキューソース、焼肉ソースなど毎に焼き分けた。そのお陰なのか、あれほど騒がしかったリュウまで無言で貪り食っている。このままソーセージの事を忘れてくれれば助かる。
ソーセージの下ごしらえの大変さを考えれば、肉を切って下味をつけ、揚げるか焼くかするだけの今回の料理で満足してくれれば、それが1番楽なのだ。問題は底なしとも言えるリュウの食欲なんだが、これは普段白虎の与えている酒を飲ませて誤魔化してしまおう。いや駄目だ、酔払ったリュウに送ってもらうなど恐ろしくて恐ろしくてとても無理だ!
もうすぐジャイアント・レッドベアーをオークの大きさに切り分けて、回転式オーク20頭用魔道オーブン10台に放り汲んだ物が焼き上がる。唐揚げとバーべーキューで繋ぎながら、このペースで料理すれば絶え間なく料理を出すことが出来るだろう。流石にいつかはリュウも満腹になるはずだ!
「ふむ、ノーラとプリネラとレイナだったね、それに他のパーティーメンバーの3人も、本気で俺の配下になりたいの?」
「正直に申し上げれば、配下になりたい訳ではありません。でもラーラさんの下で修行し直したいので、その為に仕方なくミノル殿の配下に加わるのです」
「ノーラ! この期に及んであなたは何ていう事を言うのです」
「まあまあラーラ、正直な方がいいよ。嘘をついて入ろうとしていたら、この場で殺していたよ」
「「「「「!」」」」」
「本当に愚かな弟子達で申し訳ありません」
「だが俺に反感を持っている人間を、村の中に立ち入らせる訳にはいかない」
「はい、それは当然でございます」
「村の外にキャンプを張るのは冒険者の自由だから止めないけど、ダルダーロさんやラーラさんがそれに付き合うのは許さないよ。ちゃんと家族と村の住居で暮らしてもらうよ」
「はい、そうさせていただきます。それで訓練をつけてやるのは許していただけるのでしょうか?」
「村とテトラの往復時や、見習達を実戦狩り訓練に連れて行くときに、ダルダーロさんとラーラさんの技を見て盗むのは自由だよ」
「ミノル様は、直接指導をするなと言われるのですね」
「今のテトラ冒険者組合では、ノーラ達パーティは1・2を争う実力者だろう? そんな者達に手取り足取り教えても対して役には立たないよ。ようは普段の心構えや立ち振る舞い、危機に接した時の行動を学び取る事が大切だよ」
「ミノル様の申される通りですよ、貴方。この子達に直接技を教えるよりは、私達が見習達に教える姿を見学させる方が、よほど身につきますよ」
「そうなのか? お前がそう言うのならそうなんだろうな」
「それでいいね、ノーラ!」
「はい、姉さん」
(ミノルにしては随分厳しいな)
(まあね、見習達はもちろんダルダーロさんやラーラさんにも口止めしているけど、御神木の存在は絶対知られる訳にはいかないからね)
(ノーラ達は信用できないのだな?)
(俺に反感を持っているからね、意識して言触らすか無意識に漏らすかは別にして、恐らく広めてしまうだろうな)
(ふむ、恐らくミノルの言う通りになるだろうな。だからノーラ達の気配を察して、村の外までで迎えに行ったのか?)
(ああ、ダルダーロさんとラーラさんは本質的に好い人だから、御神木の事は漏らさなくても、御神木がモンスターを運んでいる姿を見せてしまうかもしれないからね)
(だが村の周辺にキャンプを張られたら、どうしても見られてしまうのではないか?」
(非常脱出口にも使える地下トンネルを作り、そこから魔獣やモンスターを中庭に運ばせてくれ)
(森から魔獣やモンスターを集めるのはどうする?)
(テトラとの往復時や、実戦狩り訓練の時に集めさせてくれ)
(色々と面倒だな)
(仕方ないさ、ダルダーロさんやラーラさんにも絆と言うか、今まで生きてきたしがらみが有るんだから)
(人間とは面倒な生き物だな)
(よく言うよ、セイだってリュウや原初の人間とのしがらみは有るんだろ)
(ふむ、確かにそれはそうだな)
(だがこれで安心してビランに行けるよ)
(ふむ、確かにテトラとの往復も実戦狩りも、段違いに戦力が増強されたな)
(見習達も表面上のレベルは直ぐに上達するだろうけど、細かな事前準備や索敵はラーラさんやプリネラから学ぶところは多いだろう)
(ふむ、それでいつビランに行くんだ?)
(明日だ)
「主~、昼飯も作ってくれるのか?」
「ミャウミャウミャ?」
「ああ、何がいい?」
「ステーキ!」
「ミャウ!」
「本当に朝昼晩とステーキでいいのか?」
「玉子もシチューも食べてるぞ?」
「ミャウ~」
「今朝の朝食だって、玉子だけでは物足らないと、ステーキも焼かせたじゃないか!」
「だから元々毎日生肉なの、肉なしの食事は有り得ないから!」
「ミャウ!」
「分かった分かった、直ぐ焼いてあげるよ。オーブンとバーベキューコンロを用意してくれ」
「え~、面倒だよ~」
「白虎!」
「ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい」
「セイも準備してくれるか? ジャイアント・レッドベアーの丸焼きも作りたいから、それが出来る野外装置が必要なんだ」
「リュウを釣り出すんだな」
「ああ、ビランに行くのなら、リュウの手助けが必要だからね」
「ジャイアント・レッドベアーの丸焼きで原初の竜を釣るのか、豪快な釣りになるな」
「まあそれに、愛情で美味しくなると言われちゃぁ~ね、時間が有る時に作り置きしておいてやりたくなるじゃないか」
「母性本能だな」
「父性本能だよ!」
「余を呼んだかミノル!」
「はやいな! また覗いてたのかよリュウ?!」
「ふん、たまたまじゃ」
「まだ焼けてないよ、焼けるまで待てなかったのかよ」
「生焼けでもよいぞ、早く喰わせろ」
「レアか? レアでも美味いのかね?」
「なんもよい、なんならミノルの故国の料理でもよいぞ」
「そうそう思い通りにされてたまるかよ! 今日は日本の料理は出さないからな!」
「ミノルはケチだな!」
「リュウ、開拓村で食事するようになって、変な言葉覚えたんじゃないか?」
「ふん、お前の行動を見て覚えたのじゃ、開拓村の所為ではないぞ」
「俺?! 俺がそんな言葉使ったか?」
「さぁな、ミノルだったか白虎だったか、それとも冒険者だったかは忘れたが、ミノルを見張っていて覚えたのじゃ」
「見張るってね~、よく平気で言ってくれるよ」
「ふん! 余に内緒で美味しい物を食べられる訳にはいかん」
「度し難い食意地だな」
「うるさいわ! まだ出来んのか?」
「今必死で焼いてるし揚げてるわ!」
「そうじゃ、あれを喰わせろ、作り置きがあったであろう」
「何の事を言ってるんだ?」
「オープレイのハンバーグステーキにハムやベーコンが有ったであろう。ジャイアントレッドベアーのハンバーグステーキにソーセージ、ベーコン、ハムもあったはずじゃ!」
「よくぞそれほど覗き見していたな、だが開拓村で同じ物を作らせたんじゃないのか?」
「まことに残念な事だが、ハムやベーコンはまだ出来ておらん」
「それはこっちも同じだよ」
「だがソーセージは喰えるであろう、喰わせるのだ!」
「あれはアグネスと白虎の為に作ったのものだよ」
「だがミノルは余に運んで欲しいのであろう、だったら余が望む物を喰わせるべきだ!」
「ミャウミャウミャウ!」
「アグネスの言う通りだぞ、リュウに喰わせるのなら俺達にも食べさせてくれよ~」
「ああああ、ウルサイ、うるさい、五月蝿い」
「じゃあ俺が焼いてる間にミンチ、それもソーセージ用にエマルジョン状にしたやつを作っておいてくれ」
「それはできん!」
「ええぇぇぇ」
「ミャあ?」
「何文句言ってんだよ、喰ったらなくなっちゃうんだぞ、次の下ごしらえ位してくれよ」
「余が料理の下ごしらえなど出来ん、そんな事をするのは恥である」
「今日はもう手伝ったじゃん」
「ミャウミャ?」
「ほい、ジャイアント・レッドベアー唐揚げが出来たぞ、中はレアかもしれないが、お前らなら大丈夫だろう」
俺はアグネス、リュウ、白虎のそれぞれが食べれる大きさの唐揚げを作っていた。話しかけていたのは、出来上がるまでの時間稼ぎだったのだ。せっかく面倒な下ごしらえをして作ったソーセージを、リュウに喰われる訳にはいかない。そんな事になったら、作り置きがどれだけ沢山あっても足らなくなるのは明々白々だ。
「おおおおお、美味いではないか、中がレアでろうが関係ないぞ!」
「本当だ、でもあんまりレアじゃないぞ?」
「ミャウ!」
「元々の肉の大きさが違うからね、リュウのは大きな塊になるから、どうしても中まで火が通らないよ」
「「「……」」」
「返事くらいしろよ!」
俺は必死でありったけのフライヤーでジャイアント・レッドベアーの肉を唐揚げにしているが、使ってる肉は比較的脂の少ない、2級以下の部位を使っている。素材をそのまま焼いて勝負するステーキだと、1級の素材を使うのと2級の素材を使うのでは大きな差が出てしまう。
だが刺激的な香辛料をふんだんに塗し、油であげる唐揚げは違う。香辛料の衣と油を一緒に食べるから、脂分の少ない部位でも十分美味しく食べることが出きる。いやむしろ脂分が多すぎる部位だと、くどくなってしまう事すらあるようだ。
正直今はどの魔獣やモンスターの、どの部位の肉が何の料理に合うのか試行錯誤中だ。俺も3人の隙を見て味見をしているが、3人の正直な感想も聞いておきたい。俺はかなり味覚に偏りがあるから、アグネス、リュウ、白虎と言う種族の違う味覚の感想が今後のために必要だろう。まあ本当は同じ人間に感想を1番聞きたいのだけれど。
「オーブン焼きも出来たぞ、それぞれの分を食べな」
「「「……」」」
「返事くらいしろって言ってるだろ!」
俺の手持ちの調理器だけではなく、白虎が人型モンスター調理用に持っているフライヤーは勿論、オーブンやバーベキューコンロも総動員して料理している。セイが何も言わずに手伝ってくれているから、俺は仕上げだけに専念出来ているけど、そうでなければここまで手早く作ることは出来なかっただろう。
非常時だからストックしていた市販の調味料を総動員して、各社の塩胡椒・ミックス唐揚粉・バーベキューソース、焼肉ソースなど毎に焼き分けた。そのお陰なのか、あれほど騒がしかったリュウまで無言で貪り食っている。このままソーセージの事を忘れてくれれば助かる。
ソーセージの下ごしらえの大変さを考えれば、肉を切って下味をつけ、揚げるか焼くかするだけの今回の料理で満足してくれれば、それが1番楽なのだ。問題は底なしとも言えるリュウの食欲なんだが、これは普段白虎の与えている酒を飲ませて誤魔化してしまおう。いや駄目だ、酔払ったリュウに送ってもらうなど恐ろしくて恐ろしくてとても無理だ!
もうすぐジャイアント・レッドベアーをオークの大きさに切り分けて、回転式オーク20頭用魔道オーブン10台に放り汲んだ物が焼き上がる。唐揚げとバーべーキューで繋ぎながら、このペースで料理すれば絶え間なく料理を出すことが出来るだろう。流石にいつかはリュウも満腹になるはずだ!
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