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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第88話歩合契約

「ミノル殿、この条件でジャイアント・レッドベアーの討伐を御願い出来ないだろうか?」

ノドが単刀直入に条件を提案して来たが、この世界の常識を知らないから返答のしようがない。そこで俺の担当として同席しているオードリーの意見を聞いてみることにした。

「オードリーさん、率直な話、この条件はどうなんだい?」

「そうですね、鉱山の埋蔵量にもよりますが、破格の好条件だと思われます」

「そうですか、僕はドワーフ族に知り合いがいないので、失礼な事を聞くかもしれませんが、ドワーフ族を信じていいのでしょうか?」

「確かに失礼な言動ですから、今後は気をつけられてください。ドワーフ族は人間族と違って剛毅朴訥(ごうきぼくとつ)で仁者に近いとも言われております。ただ多少気難しい面がありますから、このような契約の場で疑われると怒り出す場合もあります」

「ノル殿申し訳ない、ただ俺としても実際の鉱山生産量を毎日確認する訳にもいかないから、命懸けでジャイアント・レッドベアーを狩る価値があるか判断出来ないんだ」

「腹は立つが、人間族が他人を信用できないのは理解している。だから説明するが、ローファン王国内のドワーフ鉱山は、王国派遣の代官が税を取り立てるために生産量をキッチリ確認している。だから生産量を誤魔化すことは出来ん」

「あえて怒らすような事を聞くが、代官が不正を持ちかけて、生産量を誤魔化そうとしたらどうなるんだ?」

「その代官を捕まえて王国につきだし、生産量に見合った真っ当な税金を支払う!」

「そうか、だが万が一不正が発覚した場合の罰金・賠償金の規定も契約書に盛りこんでもらいたい」

「ミノル様! 本当に辞めて下さい! ドワーフ族の信義を疑う言葉は決闘を引き起こしてしまいます」

オードリーは本気で心配してくれているようだが、契約は厳格なものだから、疑わしいことは締結前に確認しておかなければならない。金が欲しい訳ではないのだ、騙され裏切られ心が傷つくのが嫌なのだ。

「オードリーさん大丈夫だ、人間族の猜疑心には慣れている」

ノドも心の中では激怒しているようだが、ドワーフ族の悲願の為に怒りを抑えているのだろう。昨日の話では、ドワーフ族の子孫繁栄のためには洞窟確保は絶対条件のようだ。

オードリーを間に入れた条件闘争は纏まったのだが、それを王国側が認めてくれるかどうかが大問題のようで、俺は何の為に長時間話し合っていたのか分からなくなり、少々腹が立ってしまった。だがオードリーの話では、まず当事者同士で話し合って条件を整えて、それを国側に提出して裁可を仰がなければならないようだ。

結局ローファン王国に提出する条件は以下のようなものとなった。
1:洞窟内のモンスターは俺が全滅させる
2:全滅させたモンスターの所有権は俺にある
3:洞窟の所有権はドワーフ族に譲渡する
4:譲渡の見返りに鉱山生産量の1%、もしくは販売金額の1%を俺が得る
5:生産量をドワーフ族が胡麻化した場合、誤魔化した量の10倍を俺に賠償する

はてさて、この条件を王国側は認めるのだろうか?

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