初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!
第73話交渉
「御師匠様、明日出立されるのですか?」
「ああ、だが3・4日で必ず戻るから、心配しなくていい」
「ありがとうございます」
「食材は地下冷蔵室に入るだけ入れておくから、何の心配もない。万が一俺の帰りが遅れた場合は、解体出来ていない魔獣の肉を、お前たちに渡すように話しはしてある。確実に履行させるために、後で全員でギルドマスターと話をつけよう」
「はい、ありがとうございます、そうさせて頂ければ助かります」
イルオンが代表して俺と話してはいるが、周りで聞き耳を立てているジェミニやローザたちも不安な表情をしている。彼らにしたら、俺がここの冒険者ギルドに愛想がつきて、故郷に戻ったまま帰ってこないかもしれないと心配なのだろう。
俺が飢饉になった故郷を助けるために、出稼ぎに来たと言う話は聞いているだろうが、実際に実力を眼の前で見せつけられているから、どこの街や国に行っても俺が稼げると言う事を身に染みて実感しているだろう。故郷に食料を持ち帰った俺が、気に喰わないこの街に戻る保障など全然ないのだから。
昨日のように、索敵と収集の仕事を班ごとに与え、メガラニアの生息地域に向かった。まぁ狩り方も同じで、見習達に狩りの経験を積ませつつ、止めを刺させて経験値を稼がせた。俺も見習達も連携に慣れて来ているので、昨日よりも狩れる頭数が増えていた。
昼飯時間になって、メガラニアにはパラライズの魔法をかけたままにして、安全を確保しつつもマップとリサーチの魔法を常時発動させて、不意打ちを突かれないように気をつけた。その上で、見習達も交代で警戒索敵と食事をする班に分かれさせた。
彼らと一緒に食べたのは、じっくりと煮込んで柔らかくしたアナコンダ肉を使った具沢山の塩スープだ。入れる肉が違うと、同じ塩スープでも全く違った味になる。特に一緒に煮る野草と香草を計画的に使い分けることで、毎日違った料理の味を愉しめる事が分かった。
もっとも日本で生まれ育った普通の人間なら、飽きたかもしれないが、俺は元々好きな料理なら1週間でも2週間でも美味しく食べ続けることが出来る。ましてこの世界で生まれ育った貧民なら、お腹一杯食べれるだけで幸せなんだそうだ。
「待っていたよ、明日出発するんだって?」
「ああ、故郷の者達が首を長くして待っているからな」
「小麦やライ麦は買えたのか?」
「いや、マスターは約束を守れないのか守る気が無いのか、必要な量は確保出来なかった。だがこの街の周りには弱い魔獣が多くて、想像していた以上の肉を確保出来たから、取りあえずそれだけでも持って帰ることにしたよ」
「言ってくれるね! メガラニアやデイノスクス程度は弱い獲物でしかないと言ってくれるんだね」
「そうだ、俺の村の狩人から見れば、メガラニアもデイノスクスも危険の少ない美味し獲物だな」
「ちっ! 悔しいが私たちじゃそんな言葉は吐けないね、それでここには帰ってくるのかい?」
「見習達を一人前にすると約束にしたからな、少なくともパーティーを組んだらデイノスクスを1日1頭狩れるくらいには鍛える心算だよ」
「いつ帰って来るんだい?」
「3・4日を予定しているが、村の状況次第では遅れる可能性も少しは有るな」
「その間、見習達はどうやって暮らすんだい?」
「日持ちする食材を、1カ月分渡してあるし、何より解体が遅れている獲物は見習達が取に来たら渡してやってくれと言ってある。まあもっとも、解体長はギルドマスターの指示があれば、渡せないかもしれないと言っていたがね」
「何だって! そんな腐れ外道な事を言いやがったのか?!」
「おいおいおい、解体長の怒っても仕方がないだろう、冒険者ギルドのマスターが渡すなと言えば、解体長はその指示に従わない訳にはいかないだろう。まぁその時は俺とギルドの全面対決だな、最悪の場合は皆殺しにするかもしれないな」
「本気かい? 本気でこの街の冒険者ギルドと全面対決する覚悟が有るのかい?」
「覚悟? 覚悟するほどのことじゃないよ、メガラニアやデイノスクスを狩るのと同じように、群れ全てにパラライズとスリープの魔法をかけて、後は止めを刺すだけさ」
「私達にもかい?」
「当然だよ、解体長にも話したが、見て見ぬ振りは敵と同じだ! 冒険者ギルドがギルドメンバーの獲物を横領するんだ、ギルドメンバーも敵の構成員だ、皆殺しにして当然だろう」
女戦士・ノーラが冒険者ギルドの酒場で俺に質問攻めしてきたが、彼女達も噂を聞いて危機感を持っていたのだろう。もしかしたら解体長が故意に噂を流し、ギルドマスターが暴走しないように牽制したのかもしれない。
ノーラは口の利き方は悪いが冷静に対応している、だがパーティーメンバーのプリネラとレイナは俺に敵愾心を持っているようで、眼に炎を浮べて睨みつけている。もしかしたノーラの事が大好きなのかも知れないな、宝塚体質なのか?
「分かった、私達も一緒にギルドマスターと交渉させてもらおう」
「どう言う事だい?」
「見習達の待遇は、私達も苦々しく思っていた、ミノル殿がそれを改善してくれるなら協力しよう。それに、ギルドマスターの暴走に巻き込まれて、一緒に殺されるのは趣味じゃない」
「なるほど、そう言う事なら協力してもらいましょう」
「ああ、だが3・4日で必ず戻るから、心配しなくていい」
「ありがとうございます」
「食材は地下冷蔵室に入るだけ入れておくから、何の心配もない。万が一俺の帰りが遅れた場合は、解体出来ていない魔獣の肉を、お前たちに渡すように話しはしてある。確実に履行させるために、後で全員でギルドマスターと話をつけよう」
「はい、ありがとうございます、そうさせて頂ければ助かります」
イルオンが代表して俺と話してはいるが、周りで聞き耳を立てているジェミニやローザたちも不安な表情をしている。彼らにしたら、俺がここの冒険者ギルドに愛想がつきて、故郷に戻ったまま帰ってこないかもしれないと心配なのだろう。
俺が飢饉になった故郷を助けるために、出稼ぎに来たと言う話は聞いているだろうが、実際に実力を眼の前で見せつけられているから、どこの街や国に行っても俺が稼げると言う事を身に染みて実感しているだろう。故郷に食料を持ち帰った俺が、気に喰わないこの街に戻る保障など全然ないのだから。
昨日のように、索敵と収集の仕事を班ごとに与え、メガラニアの生息地域に向かった。まぁ狩り方も同じで、見習達に狩りの経験を積ませつつ、止めを刺させて経験値を稼がせた。俺も見習達も連携に慣れて来ているので、昨日よりも狩れる頭数が増えていた。
昼飯時間になって、メガラニアにはパラライズの魔法をかけたままにして、安全を確保しつつもマップとリサーチの魔法を常時発動させて、不意打ちを突かれないように気をつけた。その上で、見習達も交代で警戒索敵と食事をする班に分かれさせた。
彼らと一緒に食べたのは、じっくりと煮込んで柔らかくしたアナコンダ肉を使った具沢山の塩スープだ。入れる肉が違うと、同じ塩スープでも全く違った味になる。特に一緒に煮る野草と香草を計画的に使い分けることで、毎日違った料理の味を愉しめる事が分かった。
もっとも日本で生まれ育った普通の人間なら、飽きたかもしれないが、俺は元々好きな料理なら1週間でも2週間でも美味しく食べ続けることが出来る。ましてこの世界で生まれ育った貧民なら、お腹一杯食べれるだけで幸せなんだそうだ。
「待っていたよ、明日出発するんだって?」
「ああ、故郷の者達が首を長くして待っているからな」
「小麦やライ麦は買えたのか?」
「いや、マスターは約束を守れないのか守る気が無いのか、必要な量は確保出来なかった。だがこの街の周りには弱い魔獣が多くて、想像していた以上の肉を確保出来たから、取りあえずそれだけでも持って帰ることにしたよ」
「言ってくれるね! メガラニアやデイノスクス程度は弱い獲物でしかないと言ってくれるんだね」
「そうだ、俺の村の狩人から見れば、メガラニアもデイノスクスも危険の少ない美味し獲物だな」
「ちっ! 悔しいが私たちじゃそんな言葉は吐けないね、それでここには帰ってくるのかい?」
「見習達を一人前にすると約束にしたからな、少なくともパーティーを組んだらデイノスクスを1日1頭狩れるくらいには鍛える心算だよ」
「いつ帰って来るんだい?」
「3・4日を予定しているが、村の状況次第では遅れる可能性も少しは有るな」
「その間、見習達はどうやって暮らすんだい?」
「日持ちする食材を、1カ月分渡してあるし、何より解体が遅れている獲物は見習達が取に来たら渡してやってくれと言ってある。まあもっとも、解体長はギルドマスターの指示があれば、渡せないかもしれないと言っていたがね」
「何だって! そんな腐れ外道な事を言いやがったのか?!」
「おいおいおい、解体長の怒っても仕方がないだろう、冒険者ギルドのマスターが渡すなと言えば、解体長はその指示に従わない訳にはいかないだろう。まぁその時は俺とギルドの全面対決だな、最悪の場合は皆殺しにするかもしれないな」
「本気かい? 本気でこの街の冒険者ギルドと全面対決する覚悟が有るのかい?」
「覚悟? 覚悟するほどのことじゃないよ、メガラニアやデイノスクスを狩るのと同じように、群れ全てにパラライズとスリープの魔法をかけて、後は止めを刺すだけさ」
「私達にもかい?」
「当然だよ、解体長にも話したが、見て見ぬ振りは敵と同じだ! 冒険者ギルドがギルドメンバーの獲物を横領するんだ、ギルドメンバーも敵の構成員だ、皆殺しにして当然だろう」
女戦士・ノーラが冒険者ギルドの酒場で俺に質問攻めしてきたが、彼女達も噂を聞いて危機感を持っていたのだろう。もしかしたら解体長が故意に噂を流し、ギルドマスターが暴走しないように牽制したのかもしれない。
ノーラは口の利き方は悪いが冷静に対応している、だがパーティーメンバーのプリネラとレイナは俺に敵愾心を持っているようで、眼に炎を浮べて睨みつけている。もしかしたノーラの事が大好きなのかも知れないな、宝塚体質なのか?
「分かった、私達も一緒にギルドマスターと交渉させてもらおう」
「どう言う事だい?」
「見習達の待遇は、私達も苦々しく思っていた、ミノル殿がそれを改善してくれるなら協力しよう。それに、ギルドマスターの暴走に巻き込まれて、一緒に殺されるのは趣味じゃない」
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