初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第67話カラス料理

さて、一旦全てのメガラニアを麻痺魔法と睡眠魔法で動けなくして、見習達の準備が整ったら1頭づつ魔法を解除して動けるようにする。見習達がトラウマを残すような怪我を負わないように見守りつつ、順番に狩りの練習をさせた。

だがリサーチの魔法で詳しくメガラニアを調べた結果、こいつらは見習どころか中級冒険者パーティーでも狩るのが難しいと分かった。全長9m・体重5000kgの肉食オオトカゲだから、1頭を相手にしても手強い所なのに、常に集団で獲物に襲い掛かると言うのだ。

いや、決して連携する訳ではないそうなのだが、餌を得るために争って襲いかかってくるそうなのだ。獰猛な5000kgのオオトカゲが一斉に襲いかかって来るのだから、範囲魔法を使える魔法使いと一撃必殺の力を持つ戦士が数人いるパーティーでなければ、とてもではないが狩るのは不可能だろう。

アナコンダといいデイノスクスいい、街の近郊と言うのに、どうして見習達が狩れるような獲物が少ないのだろう?

まあこんなアンバランスな街だからこそ、冒険者ギルドにおける見習の待遇が悪いかったのだろう。比較的弱い獣や魔獣・モンスターがいるのなら、見習達だけでパーティーを組み経験と食料を得る事も出来ただろう。

つらつらとそんな事を考えながら、手隙の見習達に昼食の準備をさせている。安全の為に1頭のメガラニアに1組のパーティーを対峙させているのだが、他のパーティーにも周辺警戒や食糧収集をさせてはいるが、余り遠くに派遣するのは危険だから、やってもらえることには限りがあった。

そこで少し早いのだが、手隙の冒険者達に昼食の準備を始めてもらう事にした。今回材料に使うのは、昨晩下準備をしたアナコンダではなく、見習達でも安全に狩りが出来そうな鳥類にした。特に数が多く比較的食べ応えがあるカラスそっくりな鳥を試食することにした。

手早く解体して香草塩をまぶして焼いてみたのだが、鶏肉と比べてかなり弾力があり、筋肉質で砂肝を少し柔らかくしたようなザクザクとした食感で、想像していた以上に臭みがなくクセもなくて食べやすい。あえて例えるとしたら、カモに似た赤身でより濃厚な味わいだった。とくに絶品なのが脳みそで、鶏のレバーのような濃厚な味わいだが、レバーほど苦味がなくて非常に美味だ。

まあこの世界に来る前の日本では、カラスを食べるなどほとんど聞いたこともない。だがフランスでは「ジビエ」の高級食材一種として扱われており、フランス料理の古い文献には大変美味だという記述もあるとネット記事で読んだことがある。

40年以上昔だが、親戚の兄貴がカラスを捕まえて食べた事があると言っていた。味の感想を聞いた覚えはないが、兄貴の言っていたように、羽をむしった後の皮は黒い色だ。俺には食欲を減退させる色なんだが、一緒に食べた見習達にはとても美味しい食材だったようで、貪るように食べている。

油と唐揚粉が使えたらもっと美味しく食べられるだろうに!

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