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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第18話オークの解体と下ごしらえ

恥ずかしい植樹式を我慢して終えた俺は、実際にアイテムボックスが使えることを村人1人1人に教えるため、手取り足取り指導した。と言ってもやった事は簡単で、植樹したセイの挿し木に祈らせるだけだ。

俺がアイテムボックスから取り出したリーダーオークを、村人に祈らせてセイのアイテムボックスに収容させる。眼の前からリーダーオークが消えた事を確認させて、今度はリーダーオークをアイテムボックスから出して下さいとセイに祈らせ実行する。これを俺の目の前で1度と、俺が他の村人を指導している間にもう1度やらせる事で、セイの御加護を身に染みて確認させるのだ。

「いいか、決して忘れるんじゃない! 身勝手な事をしたり人を傷つけるような事をすれば、生命の大樹の御加護を失いアイテムボックスが使えなくなる。村人は助け合って生きて行くんだ、幼い子を護り年寄りを敬うんだ、分かったか!」

「「「「「はい!」」」」」

(ミノル、防御結界の事も話しておけ、祈りを欠かさず日々一生懸命働くなら、村を護る結界を張ってやる)

「今、生命の大樹様から御神託(ごしんたく)があった、毎日生命の大樹様に祈りをささげ怠ける事無く働くのなら、オークやジャイアント・レッドベアーから護る防御結界を張って下さるそうだ、守れるか?!」

「「「「「はい! 必ず護らせていただきます」」」」」

村人全てにセイとの付き合い方を教えるのは結構時間が掛かってしまった。俺もそうだが村人も空腹だろうと思ったのだが、貧しい村では1日1食が当たり前で、昨日入村税や解体料で俺から奪い取ったホーンラビットを食べれたので平気だと言う事だった。

だがせっかく全知全能の夢を見ているのだから、3食しっかり美味し物が食べたい。そこで作り置きしておいたホーンラビットの心臓・焼き鳥風焼き煮を食べることにした。元々白御飯もパンも好きではない、日本人らしくないと言われ続けたが、御蔭で夢の中でも困らないだろう。まあS社の御飯を買えば、いつでも美味しい白御飯は食べれるのだが、今は肉さえ食べれれば満足だ。

(ミノル、ホーンラビットの内臓を下ごしらえする時に、ずいぶん面倒だと思っていただろう)

その通りだセイ、下ごしらえは時間が掛かるからメンドクサイ、だがそこを手を抜くと美味しい料理が食べれない。

(ならばこの村の人々にやらせればいいではないか、これだけの食糧を寄付するのに何の代償ももらわないと言うのは、むしろ村人を堕落(だらく)させてしまうぞ)

確かにその通りだな、俺も村人が堕落した姿など見たくはないし、毎日セイが防御結界を張ることの対価は払わせた方が健全だろうな。

(もう我と村人全員はつながっている、今後の事もあるから我から念話で話し掛けたい。我が話せること、高等な知識がある事を理解させる事で、悪事を働く事を予防できるだろう)

そうだな、そうしてもらった方がいいかもしれないな、だったらその間が暇になるから料理でもしているよ。

(いや、一緒に念話に参加してくれ、我とつながった状態で下ごしらえを教えてくれた方が、我とミノルの繋がりの強さを理解させる事が出来る)

「みんな聞いてくれ! 今から生命の大樹様から御話がある」

(皆の者よく聞け、我こそは生命の大樹である! 我には無限に近い魔力と原初から生きて来たモンスターとしての経験と知恵がある、我を騙(だま)せると思うではない!)

「「「「「はい!」」」」」

(今から我への貢物のミノルに説明させる、手を抜く事無く一生懸命作るように!)

「「「「「はい!」」」」」

(さて、今から教えるのはモンスターや獣の内臓を美味しく食べるための手順だ、俺や生命の大樹様から解体を命じたモンスターや獣を同じ手順で下ごしらえするんだ)

「「「「「はい!」」」」」

(まずは量を覚えてもらう、内臓1kgに対して小麦粉をこれくらい(1カップ)を使う。この入れ物は後でみんなに配るからそれを使ってくれ)

俺はボウルにホルモンと小麦粉を入れ、ボウルの中でよくもむようにして手本を見せた。

(いいか、まずは石鹸と水で手を丁寧に洗って綺麗にするんだ、その後でアルコールで消毒をする。こうやるんだぞ、後で実際にやってもらうからな、御前たちはオークの内臓でやるんだぞ)

今は白モツの手本を見せているのだが、大きなボウルにホルモンを入れ水を流しながらゴシゴシ洗う。

おっと拙(まず)い!

この村に水道なんかないんだ、俺はセイから教わったウォーターの魔法で無尽蔵の水を使えるが、村人には無理な話だった。

(村人たちよ心配する事はない、我が水を与えるから、これからは小川まで水を汲(く)みに行く必要はなくなる。水を汲みに行ってモンスターに襲われることが無くなる、だからしっかり祈りをささげ働くのだぞ)

「「「「「はい!」」」」」

すまんセイ、日本基準で考えていた。

(気にするな、我とミノルはデュオではない)

ありがとう!

(次に袋状になっているから包丁で開く、包丁でゴシゴシとヨゴレを擦り落とすが、この時にホルモンの一番美味しい脂(ゴロ)を絶対落とさないように!)

「「「「「はい!」」」」」

(もう1度小麦粉を入れてゴシゴシ洗う、それから食べやすい大きさに切る、分かったか!?)

「「「「「はい、分かりました!」」」」」

(次は胃・小腸・大腸だ、これには塩をたっぷり入れてゴシゴシともむ、ヌメリや匂いが取れたら塩が取れるまで水洗いして、よく水切りして食べやすい大きさに切るんだ、分かったか?!)

「「「「「はい、分かりました!」」」」」

「聖者様、よろしいでしょうか?」

(どうした村長?)

「恐れながら、このような貧しい村には小麦粉も塩もないのですが?」

(え? 小麦粉も塩もないのか?!)

「はい、このようなモンスターに囲まれた村で小麦を栽培することなど出来ません、食料の多くは村人総出で狩った獣やモンスターでございます。果物や野草でさえ、村人総出で護衛をしながら集めるのでございます。まして塩に至っては、命懸けで大きな村にまで買いに行かねば手に入りません」

(心配するでない、全て我が与えてやる、御前たちは我に祈りを捧げて、我が与える命に従うのだ)

「生命の大樹様! ありがとうございます!」

「「「「「生命の大樹様、ありがとうございます」」」」」

俺はセイと村人の話を聞いて落ち込んでしまった、平和で豊かな日本で生まれ育ったから、危険な異世界での生活を理解していなかった。夢の話だとは言え、真剣にやらなければ自己嫌悪(じこけんお)になってしまう。それにしても、セイの力の御蔭か念話も会話も違和感なく使い分けることができる。村人の方は念話で聞いて会話で返事する形だな。

(まあ気にするなミノル、全ては我がミノルを異世界に召喚した事から始まっているのだ)

本当にありがとう、セイ!

(続けるぞ! 必要な物は生命の大樹様に祈れば手に入るようにしておく、だから今はこの作業を覚えるんだ)

「「「「「はい!」」」」」

(ホルモンを洗ったらよく水をきって、30分ほど牛乳に付けておく。牛乳が少しだけピンクがかってくるが、この牛乳は捨てて再度水洗いをして表面の牛乳を落とす。そうすれば牛乳臭さもなくホルモンの臭みも取れる)

「「「「「はい!」」」」」

(牛乳の代わりに焼酎を使う事も出来る、その場合はこうやるんだ)

「「「「「はい!」」」」」

俺は丁寧にいろいろと教えたのだが、そのために色々と買い揃えなければならない物が出て来てしまった。その都度俺がここに来て買い与える必要があるのかと思ったのだが、俺と一緒にいるセイに渡せば、生命の大樹界にいるセイの本体を中継して、この村のセイ2のアイテムボックスに渡るそうだ。

まあなんだ、危険性を無視すれば、本体のセイや俺と一緒にいるセイ、この村にいるセイが同じアイテムボックスを共用することもできるそうなんだが、そんなことをしていて万が一命にかかわる攻撃や病気になった場合、全員が1度に死んでしまう可能性があるのだそうだ。

せっかく分身していれば、1つのセイが死んでも記憶を持ったまま復活できるのだから、少々手間で魔力を余分に消費しても、挿し木や接ぎ木で増やしたセイは別々に生きて行くべきだろう。

説明と買い物が終わったら猛烈な空腹に襲われた、そこでホーンラビット肝生姜煮を6羽分食べたのだが、ちょっと同じ物を大量に食べ過ぎてしまった。どうも昔から食べたいと思った物だけをドカ食いしてしまう悪い癖がある。そのせいで好きだった物が嫌いになってしまう事もあるのだが、今回は何とかそこまで行かずに済んだ。

蓋つきステンレスボウル・5個セット:16300×50=815000
ステンレス包丁・ヴェルダン5本セット:9500×50=475000
25kg強力粉:7460×50=373000
1000ml紙パック牛乳12本セット:3420×50=171000
600ml20度乙種麦焼酎:276×500=138000
5kg食塩:461×500=230000

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