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初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

第15話リュウのおねだり

「ああ出来上がっているぞ、これが白虎が食べた分だ」

俺はとりあえず様子見に、ホーンラビットの塩胡椒丸焼き・ニンニク醤油丸焼き・カレー粉丸焼きを各4羽の合計12羽をリュウに渡すことにした。

「これとこれのコンロに入っているのがホーンラビットの塩胡椒丸焼きだ」

「おおおおお! これは美味いもっとくれ!」

「次に焼き上がるまで半日かかるし、そもそもホーンラビットがもうない。白虎が食べた分は後これとこれのホーンラビットのニンニク醤油丸焼きだ」

「う~む! このようないい香りの食べ物は初めてだ! もっとくれ!」

「白虎が食べた分はこれだけだ、次はこれとこれに入っているホーンラビットのカレー粉丸焼きだ」

「おうおうおう! これもまた一段と食欲をそそる香りにピリリと刺激のある美味しさだ! もっともっとくれ!」

「白虎が今朝食べた分はこれで全部だ」

「そんな意地悪を言うでない、これぽっちでは全然満腹にならぬ、生命の大樹よ御前からも口添えしてくれ」

「そんな事を言うがリュウよ、御前はまだミノルに何も渡してないぞ、本来なら昨日の食事代と合わせて先に獲物を渡すべきであろうが」

「おおおおお! それは済まぬ、今まで貢物(みつぎもの)を貰(もら)った事はあるが、余が人に何かを与えることなど初めてでな、忘れておった、これでどうだ?」

ゲゲゲ!

「おいリュウ! この恐ろしく巨大な生き物は何だ!」

「うむ、美味しい獲物と言われたのでな、キング・ジャイアント・レッドベアーを筆頭にジャイアント・レッドベアーの群れだ」

眼の前に例え話では無く、本当に小山の様に積み上げられた巨大生物たちがいた!

「リュウよ、御前馬鹿だろ」

「セイ、古き知り合いとはいえ言っていい事と悪いことがあるのではないか!」

「リュウよ、よく考えても見ろ。この世界に来たばかりのミノルに、キング・ジャイアント・レッドベアーを解体出来るわけがなかろう。そこにある村の人間たちもそうだ、こんな巨大で人間が狩れそうもないモンスターを持って来て、どう料理しろと言うのだ?」

「ううううう、それは」

「材料になるモンスターも無しに、どう料理を作れと言うのだ?」

「わかった! 次からは人間が料理できるような弱いモンスターを狩って来る、だからもう少し食べさせてくれ、こんな美味しい物をちょっとだけ食べさせられたら、食欲がわいた分生殺しと同じだ!」

「セイありがとう、おかげでリュウも分かってくれたと思う。今残っているのはこれだけだから、リュウには少ないだろうが我慢してくれ」

俺がハーブ塩麹焼き4羽分・BBQ味10羽分を出すと、リュウは美味そうにバリバリ食べ始めた。だがどうしよう、積み重なっているからはっきり判断できないが、ジャイアント・レッドベアーてとんでもなく巨大だし、その数も恐ろしいくらい多いのだが?

「やれやれ、キング・ジャイアント・レッドベアーはそれほど知能は高くないが、国のような巨大な群れを作り生きているのだ。しかも1頭1頭が人間基準だと恐ろしく強く、普通の冒険者なら並みのジャイアント・レッドベアー1頭狩る事も出来んよ」

俺が心で思った疑問にセイが答えてくれた。

「そんなに強いのか?」

「ああ、並みの大きさで10m20トン強で、キンググラスだと20m1万トンくらいかな?」

「随分いい加減だな」

「まあ我には直接害のない関係のない生き物だからな、興味がなかった」

「しかしそれだけ巨大な生き物が群れを成していたら、食べる量もハンパ無く多いだろうから、森や他の生物が喰い滅ぼされたりしないか?」

「ジャイアント・レッドベアーは雑食だからな、木の実や果実をたわわに実らせ、森の民に多少痛みを与える力があればそれほ害はない。それに高位種族のハイベアー族は、自分たちの領域で暮らしている」

「じゃあ人間の領域に住んでいるベアーは?」

「領域内での争いに敗れて逃げ出したか、他の領域を攻め取ろうとして自分たちの領域を出たか、どちらにしてもハグレ物の末裔(まつえい)だ」

「故郷の領域を失い、最後はリュウに狩られて滅んだが、哀れだな」

「何を勘違いしておる、キングの上にエンペラーがおり、その上に原初が君臨しておるのだ。確か人間の領域にいるジャイアント・レットベアーは、エンペラーによって統率されておる」

「じゃあそのエンペラーとやらは、報復に来たりするのか?」

「我とリュウがここにいるから、今頃一族を率いて逃げるための大移動しておるわ」

「それは! 人間界に取って大災害ではないのか?」

「そうかもしれないな」

「ミノルよ、話しているのに済まぬが、もう少し食べさしては貰えぬか?」

「仕方ないな、野菜が半分以上だが試しにこれを食べてみてくれ」

俺は仕方なしに寸胴鍋一杯に作っておいた、ホーンラビットマタギ汁10羽分をアイテムボックスから取り出してみた。

「おおおおお! これも美味いではないか! 野菜がこれほど美味しいとは思わなかったぞ!」

恐らく風魔法だろう、寸胴鍋を空中抜持ち上げて舌で味を確認した後、また風魔法で中身だけを取り出して口に入れている。

「じゃあこれとこれも食べてみるか?」

ここまで来たら仕方がない、リュウが満足するまで食べさせてやろう。

「うむ! これもこれも美味いぞ! みんな美味しいぞ!」

ホーンラビットのマスタード煮・ティファド風煮込み・薬膳参鶏湯(やくぜんさむげたん)風など30羽分を出してやった。だがまあなんだ、昨日の食べっぷりを考えれば、この程度では満足しないのだろう。かと言って昨日みたいに何度もドローン配送するのも面倒だ、ここは1回で済ませる事にしよう。

「リュウ、これをあげるから今日はこれで帰ってくれ」

「これは何だ?」

「チーズと言うものだが、少し火であぶって熔かせて食べたら美味いぞ、だがブレスを吐いて灰にするんじゃないぞ」

「分かった、ほんの小さな魔法で炙ってみる」

俺がドローン配送させたのは、ニュージーランド産の業務用エグモントチーズ・20kgブロック1000個だった。1個当たり26708もするが、これくらい与えておけば暫らく付きまとわれずに済むだろう。ホーンラビットの肝生姜煮と心臓焼き鳥風焼き煮は死守したいのだ!

「あの~すみません、もう宜しいでしょうか?」

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