「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻

克全

第6話残虐な表現あり

ええ、と、月神テーベ様と癒しの聖女アリス様の愛息ライデン様
神が直接治める国と名高いアリスランド王国の王族ですか?!
そんな方と一緒にダンジョン探査をしていたというのですか?!
そんな方と相思相愛になったというのですか?!
信じられません!

「やかましいわ!
戦の神ではなくても、人間ごときが神に勝てるわけがないであろう!
クヴァシル神得意の酒を毒酒に変えて、王族を皆殺しにすればよかろう!」

「無理無体を言ってくれる。
それでは民が死に絶えてしまうではないか。
それに、この国には魔王の使徒が入り込んでいたのだよ。
忌々し話だが、我が神殿に入り込み、聖女を騙っていたのだ。
我の力は抑え込まれ、他の神に助けを求めることもできなかったのだ」

「なに?!
魔王の使徒だと?
そのような気配は全く感じないぞ?!」

「テーベ殿に恐れをなして、直ぐに逃げ出してしまったよ。
だから我もこうして表に出られたのだよ」

「なんだ、逃げたのか。
ならしかたがないな」

しかたがないですませてしまうのですね。
大らかと言ううべきか、大雑把と言うべきか?
ライデン様らしいと言えばライデン様らしいですね。

「それでライデン殿はどうしたいのだ?
我を追い出して、この国を守護すると言うのか?」

「そんな面倒な事はしない。
俺はヴァイオレットと幸せに暮らしたいだけだ。
ただヴァイオレットを虐め、義父母を殺したという、王族とダベルノワ伯爵家をできるだけ苦しめて滅ぼしたいだけだ」

「ヒィィィィイ!
お許しください、お許しください、お許しください」
「私ではありません。
私は何も知らなかったのです。
全部ダベルノワ伯爵がやったことでございます」

神の逆鱗に触れて、ラウール国王とダベルノワ伯爵はガタガタと震えています。
もう逃げることもできないようです。

「ライデン殿が直接殺すかい?」

「ふむ。
爪を剥ぎ、指を潰し、眼をえぐり、身体を切り刻み、塩を塗りこむ。
身体を焼肉にして、本人に喰わせる。
腹を裂いて内臓を引きずり出し、糞尿まみれの内臓を喰わせる。
四肢を牛に引き千切らせる。
それくらいしか思いつかないな」

それで十分です、ライデン様。
聞いているだけで気分が悪くなります。

「私に任せてくれるのなら、特別製の毒酒を飲ませるぞ。
内臓と体表が徐々に腐り、狂う寸前の激痛を七日七晩与えるのだ。
虫が好む臭気を出し、内臓と体表が虫に喰われ激痛を感じるのだ」

「ふむ、なかなかよい殺し方だな。
だが七日七晩は短すぎる。
せめてひと月は苦しめて欲しいな」

「分かった。
そのように調合しよう。
ところで国の成り立ちはどうするのだ?
ライデン殿とヴァイオレットの間にできた子供なら、神の血が薄まることなく伝わるから、アリスランド王国に匹敵する国ができるぞ。
我など不要になると思うが?」

「それは子供達が成長してから話し合ってくれ。
俺は人として生きるぞ」

ああ、私の生む子は神になるのですね。
こんな事になるとは思ってもいませんでしたが、ライデン様と結婚できるのなら、他の事はどうでもいいです。
祖父と祖母を大切にして、家族仲良く暮らせるのなら、少々の事は気になりませんが、半神を夫に持つことが少々かどうかは分かりませんが。

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